スペインが生んだ偉大な舞踊家アントニオ・ガデス、その遺志を継ぐ舞踊団が7年ぶり再来日
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フラメンコ界に革新をもたらしたアントニオ・ガデスの生誕80周年を記念し、9月17日から「アントニオ・ガデス舞踊団」が7年ぶりの来日を果たし、ガデスの愛弟子だったステラ・アラウソ監督の元『血の婚礼』『フラメンコ組曲』『カルメン』を上演した。
初日、9月17日のプログラムはガルシア・ロルカの戯曲を元にした『血の婚礼』から始まった。奇しくも今年はロルカが銃殺されてから80年周年という年でもある。1936年8月にこの世を去ったロルカの戯曲は、11月生まれのガデスの、そしてアントニオ・ガデス舞踊団のターニング・ポイントとなった作品となった。
冒頭では、もうすぐ結婚式を迎える息子と母親の愛と不吉の前兆が、ギターの音にのせたマイムで表現される。従来の「フラメンコ」のステージを想像して見に来ると、それが物語を紡ぐ総合藝術としてのステージであることに気づくだろう。二組の男女による愛と嫉妬、情熱と情念が、生々しいまでに描かれる人間的なステージ。
一方で、舞台上に音楽(歌とギター)も共に在り、ダンサーがその足音に表現の翼を乗せる要素は、いかにもフラメンコ。ゆりかごを揺らしながら物悲しく聞こえてくる子守歌、結婚式につきものの楽しげなパソドブレ。喧噪から一転して、ナイフとナイフが絡み合う決闘のシーン、緊張が高まる無音のスローモーションに観客は息をのむばかりだ。
後半の『フラメンコ組曲』では、伝統的なフラメンコ舞踊を、ソロ、デュオ、群舞で次々と披露。舞台上にギタリストとカンタオール3人が現れ、マシンガンの様なパルマ(手拍子)と迫力在る歌声で舞台を彩る様は圧巻だ。祭りの終わり、フィン・デ・フィエスタではカンタオール達も踊り出し、ダンサー全員のパルマと共に最高潮の盛り上がりを見せ、終幕。満員の客席は頭上に手をかざし、大きな拍手でステージを讃えた。
ガデスの遺志を継ぎ、伝える名門カンパニー、アントニオ・ガデス舞踊団の来日公演。9月18日、19日は東京にてガデスの代表作である「カルメン」上演、その後、兵庫公演、福岡公演を行った。text by yokano / 「血の婚礼」photo by 小川峻毅
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