Ximena Interview
NeoL Magazine JP | Photo/Interview: Machi Panasonic | Text/Edit: Ryoko Kuwahara
タトゥー・アーティストであり、ファッション・アイコンとしてもフォロワーを増やし続けているメキシコ出身のヒメナ。日本のカルチャーに影響を受けてドローイングを始めたという彼女が描く繊細な線の小さなタトゥーがトレンドを巻き起こしている。
——Ximenaが日本に来たきっかけを教えてください。
Ximena「影響を受けた人が日本人の中にたくさんいて、日本に来たいと思っていたんです。旅行費用が稼げるような仕事があったので(笑)、ようやく日本に来れました」
——影響を受けた日本人とは?
Ximena「ファッションやその他のデザイナー、映画のディレクターとか。すぐに名前が出てきませんが、例えば草間彌生や、ブランドでいうとコム デ ギャルソン、クリスチャン ダダなどです」
——メキシコでは日本のファッションは人気ですか?
Ximena「日本の文化はまだメキシコではそんなに知られてなくて、アンダーグランドの人たちだけ知ってる感じです。私は昔からテレビで日本のアニメを見るのが好きで、『ふしぎの海のナディア』がお気に入りでした(笑)。そこからドローイングの影響を受けたし、アニメを見ながら大人になった感じです」
——タトゥーはどこで勉強したんですか?
Ximena「タトゥー・ショップです。16歳で勉強を始めました。タトゥーは、される側より、する側の方が病気になりやすいんです。安全にやっていたら血液感染しないけれど、B型肝炎などになりやすかったり。だから3ヶ月間はタトゥー・ショップで病気のことなどを勉強しました。私は5年間勉強しているけれど、まだ学ぶことがあるし、他の先輩も10年やっても今もまだ勉強しているし、学ぶことをやめてしまうといろんな人からバッシングされてしまったり、自分の可能性を閉ざしてしまうことになる。だから一生勉強は続けなくてはいけないと思っています」
——Ximenaは「タトゥー・パーティー」という言葉を使っているけど、それはどういうものですか?
Ximena「いわゆる“パーティー”というものではなくて、友達同士で集まって自然の流れでお互いにタトゥーをするんです。リラックスして、楽しく毎回やっています。でもタトゥーを身体に入れるというのは一生のものだから、その瞬間を友達と一緒に過ごすというのはスペシャルな体験ですよね」
——なるほど。Neckface(グラフィティ・アーティスト)と一緒にやったタトゥーのイベントは、とても話題になりましたね。
Ximena「そうですね。コラボレーション・イベントをサンディエゴでやって、メキシコも回りました。Neckfaceがオリジナルのドローイングを描いて、それに対して私がタトゥーを入れて、というイベントでした」
NeoL Magazine JP | Photo/Interview: Machi Panasonic | Text/Edit: Ryoko Kuwahara
——Ximenaも絵を描くのが好きですよね。絵とタトゥーはどちらが好きですか?
Ximena「ドローイングとタトゥーは全くの別物なんだけど、『好きなように好きな物を作っていいんだよ』ってことは伝えていきたい。私はアーティストだから、タトゥーで彫ってほしいアイデアを出してもらっても、ここをこうした方がいいんじゃないかとか付け加えてオリジナリティを出して行きたいと思ってます。トラディショナルなタトゥー・アーティストには批判されることもあるし、新しく作って行くのは何事も大変なもので。タトゥー・アーティストという言葉が広まって来ているけど、私はまだまだアーティストではないし、アーティストというのは今までの自分の人生をタトゥーやドローイングで表現するものであって、自分の生き方についてくる呼称だと思います」
——いまのタトゥーのトレンドを教えてください。
Ximena「シーンにも寄るけど、言葉をいれるのが流行っていますね。あとはやっぱり有名人が入れているもののコピーや、細くて小さい柄でしょうか」
——Ximenaがカッコいいと思うタトゥーは?
Ximena「他の人がいれてないようなタトゥーを入れるのが一番クール。オーダーメイドというか、自分で作り上げたようなもの。恋人の名前を入れるのはダサいし、後で後悔すると思うから一度は止めますね。それでもどうしてもやりたかったら入れるけど……。友達に、2年考えてもう一度入れたいならやるって言って、本当に2年後にお願いしてきた子がいます(笑)」
——(笑)。今までタトゥーを入れた事のない子が新しく入れるなら、どういうところにどういうものを入れるのがいいと思いますか?
Ximena「まず最初に家族、仕事、友達のことを考えたうえで、本当に入れたいのかどうか、自分で決めることが大切。家族や宗教とかではなく、私が自分でこういうものを入れる、と決めたなら入れたらいいと思います。私は、自分からはディレクションせずに、あくまで本人の意志を尊重します。メキシコでは就職の際にタトゥーを入れているかチェックされることもあって、本当に一生に関わるものだから、慎重に考えて決断してほしいと伝えるんです。私もタトゥーをやっていることで、親戚から白い目で見られたりしました」
———そうなんですか! メキシコではタトゥーはもっと一般的なものかと思っていました。最後に、日本に来るまでと来てからでイメージが変わりました?
Ximena「日本には来てみたかったけど、全然知り合いがいなくて、でもアートブックフェアでいまインタビューしてくれているMachiと出会って、思い切って来てみたら今ではたくさんお友達ができて、ますます大好きな街になりました。イメージと違うところは、そうですね……来る前は完璧な世界だと思っていたけど、来てみたら、綺麗だけど完璧ではないとは思ったかな。ごはんを無駄にしすぎているのが気になります。メキシコだと残したら持ち帰ったりするんだけど、残しちゃって後に捨てられるのは悲しい。あと私は奇抜な格好が好きで、メキシコだと変な風に思われるし、ギョッとされるけど、東京では街を歩くのが心地よいし、自分が普通な人間だと思えるので好きです。東郷神社あたりを散歩していたら蛙と出会って、私は蛙も好きだから、こんなに蛙と出会えるなんて東京っていい街だなと思いました(笑)」
NeoL Magazine JP | Photo/Interview: Machi Panasonic | Text/Edit: Ryoko Kuwahara
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Ximena
メキシコ出身のタトゥー・アーティスト。細い線で小さく描くファッショナブルなタトゥーで世界中にファンをもつ。ファッション・アイコンとしても注目を集めている。
https://www.instagram.com/nemixtl/
photo&interview Machi Panasonic
text&edit Ryoko Kuwahara
photo edit Lina Hitomi
都市で暮らす女性のためのカルチャーWebマガジン。最新ファッションや映画、音楽、 占いなど、創作を刺激する情報を発信。アーティスト連載も多数。
ウェブサイト: http://www.neol.jp/
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