オタク社会人的コミケの楽しみ方【オタク社会人ノススメ】

こんにちは、中年オタク社会人の富士野一徳です。

コミックマーケット。通称コミケ。オタクでなくとも名前くらいは誰でも知っている、日本最大、いや世界最大級の同人誌即売会です。

「今度国際展示場でやるイベント、君も行ってもらうから。ビッグサイト、行ったことある? 広いよーあそこ」

「ええ……まあ……(目を泳がせながら)」

などと半笑いをしていたのも今は昔、今では堂々と「コミケに行くので夏期休暇はお盆まわりで取ります」と言えるようになりました。それがいいことかどうかはともかく、学生だった頃と今とでは、コミケに参加する姿勢がだいぶ変わってきています。今回はそのあたりの変遷と、「年相応」なイベントへの参加について少し考えてみます。

「ずっと興味はあったけどコミケに行ったことがない、でも今更…」

なんていう人にも、少しだけ参考になるかもしれません。

f:id:gennishdempa:20160308231223j:plain

大人になると、時間も体力も失われていく

「富士野君さー、昔からお盆前後に必ず休むよね?」

言うまでもなく、学生時代と比べて、社会人が自由にできる時間は非常に限られています。幸いコミケの日程は毎年かなり前から発表されているものの、そもそも仕事が忙しく、「休みを取ること自体難しい」という人もいるでしょう。

そこは根性で何とか休みを取れたとしても、オタク社会人、気付けばもういい歳。始発の満員電車に揺られて、夏は蒸し暑く冬は突き刺さるように寒い会場の外で五時間も並ぶ体力はもうありません。肌のハリはないし、風邪を引けば治りも遅い。視力だって落ちている。

いざコミケが始まってしまえば、上がりまくったテンションのおかげで、重い紙袋を抱えて会場を歩き回っても疲れなど感じませんが、中年の疲れは翌日以降に来ます。三十代後半のある夏のコミケで、ポロシャツ一枚でむき出しの腕に紙袋、肩にボストンバッグを食い込ませて半日歩いた結果、肩と腕にびっしりと紐状の痣ができて数日消えず、蛇のたたりでも受けたような有様になったことがあります。

とかく無理をしてはいけないし、しようとしてもできない。そういう年代であることを自覚することが、コミケを楽しむための基本姿勢です。

当日まではじっくり体調をととのえて。参加したその日の夜には、お風呂で手足をよく揉むなどして疲労回復に努めることです。

しかし金とコネはある

一方、社会人オタクが学生に比べて何が勝っているかといえば、それはもう何をおいても財力です。なんと言っても社会人。バイトで小遣いを稼ぐスネかじりの小僧どもとは財布の次元が違います。お目当てのジャンルを扱うエリアが見つかったら、端から端まで新刊を全部買うこと(これを俗に「絨毯爆撃」といいます)だってできる。「おとなになってよかった…!」とばかりに、思い切り社会人の醍醐味を味わいましょう。

また、社会人ともなればオタクの十年選手、二十年選手も珍しくありません。オタクは総じて社交的とは言えない人種ですが、それだけ長く続けていれば、コミケにサークルを出している知り合いの一人や二人、作れる人もいるでしょう。そういう人のツテを頼って、参加サークルとして入場してしまえば、入場待機列に並ばずに済みます。ただこの場合、自動的にサークルの一員になるので、販売の手伝いや買い物の依頼など様々な作業が生じます。

社会人ならではの余裕を楽しもう

十代後半か二十代前半頃の学生時代、コミケに行って探すものといえば好きなアニメや漫画の同人誌でした。

しかし繰り返しますがオタク社会人、もういい歳。流行りのアニメの二次創作を血眼になって追い求める歳でもありません。

ちょっと目を上げれば、コミケには他にも面白いものが色々売られています。どこの誰に需要があるのかさっぱりわからない、謎すぎるテーマの解説系同人誌(ちなみに私が覚えている中で一番誰向けかわからなかった本は『ビルの排水管の留め金特集』でした。買わなかったのでどんな中身なのかは不明ですが)。手持ちのフィギュアにぴったりで、商業ベースではあまり出なさそうな小物類(いつかの夏に買った1/12の金盥とポリバケツは今でもうちのfigmaと一緒に飾っています)。拙いながらも情熱を感じさせる学漫(大学などの漫画研究会)系同人誌。単に拙いだけの学漫系同人誌。

たまには買い物の手を休めて、そうしたエリアをのんびり見て回るのも大人の余裕というものです。そういうジャンルのあたりは空いてることも多いですし。

くれぐれも、大人らしい振る舞いを

コミケに参加する人の年齢はさまざまです。中には初代『ゴジラ』(1954)の封切りを観たなんていう縄文杉みたいな人もいますが、そういう古参中の古参を除けば、我々オタク社会人は参加者の中でも年長の部類に入ります。ここはやはり年長者として、社会人として、若者の手本になるようなふるまいを見せたいところ。
ルールを守る

これはまあ、言うまでもないことですが。カタログに付いてくる注意書きをよく読んで、禁止行為や迷惑行為に気をつけましょう。カタログ本体にも書いてありますが、禁止行為の範囲などはわりと頻繁に、微妙~に変わります。知らないうちにやらかしていた、などということのないように。
人を不快にさせない

コミケといえば人混み。場所と時間帯によっては、力ずくで人をかき分けないと一歩も動けない、などということも珍しくありません。冬でも暑苦しいのに、夏コミともなれば不快指数は天井知らず。さらにその全員が、めいめい行きたい場所があって勝手に動いているのですから、およそ世の中にこれほどイライラが積もり積もる場所もありません。経験のある人もいるでしょうが、時には周囲の人間が全部己の行く手を邪魔する単なる障害物に見えてきます。

そういう時こそ社会人として、周囲に配慮した言動を心がけたいところ。別にニコニコ愛想を振りまく必要はありません(クソ忙しい最中にそんなことをされたらかえって腹が立つだけです)が、「焦ってイラついているのは皆同じ」ということを肝に銘じて、寛容と謙譲、そしてユーモアの心を持ち続けましょう。でかいスーツケースに足を踏まれても、隣で聞こえよがしに舌打ちをされても、グッと我慢し大人の対応を。
必需品は多めに

タオル、ウェットティッシュ、筆記用具、水ボトル、ビニール袋、酔い止めや痛み止めの薬等々、どこへ行くにしても持ち歩くと何かと役に立つ品々というのがありますが、これらは多めに持っていくことを心がけましょう。単純に、自信の体力や気力を過信してドツボにはまる事態を避けられますし、まさかの時に人に分けてあげることもできます。 何かをするなら率先して

オタク的には、もしかするとこれが一番苦手なことかもしれない。具合の悪い人がいた時、誰かが売り物や紙袋をひっくり返してしまった時、購入待ちの人が増えて整列の必要が出てきた時、「誰かが何かをしなきゃ」という時には、率先して動くように心がけましょう。

初めてコミケへ行く人は

色々書きましたが例によってこれも、別にオタク分野に限らず社会人なら気をつけるべき(もしくは、気をつけているであろう)一般常識をほんのちょっと拡張したものにすぎません。

もし、「コミケに興味はあったけど、一度も行かないまま社会人になってしまった……」などという人がいたら、ここまで書いたことを参考にしてもらえれば、無理なく楽しむのはそれほど難しくないはず。

あなたがオタクなら、またはそういう文化に興味があるのなら、是非一度行ってみることをお勧めします。あの熱気に満ちた空間は(快適かどうかはともかく)一度は経験して損のないものです。三度繰り返しますがオタク社会人、もういい歳。初体験の、しかも体力的に結構過酷なお祭り騒ぎを楽しめるのはそろそろラストチャンスかもしれません。

一方もし、あなたがオタクでも何でもなく、単に有名なイベントを興味本位で見学に行ってみたいという場合には……正直、あまりお勧めはしません。コミケは趣味のエネルギーが炸裂するイベントです。「趣味」と「エネルギー」、どちらかでも共有していれば十分に楽しめますが、どちらもない場合は少々厳しい。それでも行く場合には、会場がある程度空いてくる午後1時以降がお勧めです。人混みの少ないエリアをぶらぶらと見て回り、目に止まった物があれば売り子の方に声をかけてみてもいいでしょう。中小サークルの売り子さんはたいていの場合買い手の声に飢えているので、フレンドリーに答えてくれるはずです。

なんであれオタク業界最大のイベント、ルールとマナーを守って今後も末永く繁盛してほしいものです。

富士野一徳f:id:tany_tanimoto:20150929144939j:plain

中小企業勤務の40代会社員。

独身。

好きな印刷所はPOPLS。

関連記事リンク(外部サイト)

マンガ『20世紀少年』に学ぶ、スランプに陥ってしまったときに思い出したい言葉――大事なことは全部マンガが教えてくれた
リラックスのもとは好きなものに正直でいること。例えば「純喫茶」はいかがでしょう?
「稼ぎ方」は「お金の使い方」で変わる?何のために働くのか考えてみた

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. オタク社会人的コミケの楽しみ方【オタク社会人ノススメ】

リクナビNEXTジャーナル

ビジネスパーソンのための、キャリアとビジネスのニュース・コラムサイト。 キャリア構築やスキルアップに役立つコンテンツを配信中!ビジネスパーソンの成長を応援します。

ウェブサイト: http://next.rikunabi.com/journal/

TwitterID: rikunabinext

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。