マイナス金利時代の住宅ローン[5] 借り換えるといくらトクなのか?
日銀のマイナス金利政策で住宅ローン金利も下がっているが、ローンを借り換えると実際のところどのくらいオトクなのか。手間とお金をかけて手続きするだけの価値はあるのだろうか。実際に試算してみた。
残高1000万円、残期間10年、金利差1%で約30万円のトク
住宅ローンを金利の低い銀行に借り換えれば、返済額は確実に軽くなる。だが、手続きにそれなりの手間がかかるうえに、抵当権を登記し直したり、借り換え先の銀行で新たに借り入れたりするための費用が数十万円必要だ。
(※借り換えの手続きについては、前回の記事「借り換えの手続き5つのポイント」をご参照ください)
そのため、ローンの借り換えでトクするには、「金利差1%以上、ローン残高1000万円以上、残りの返済期間10年以上」が目安とされる。では実際に、この条件で借り換えるとどのくらいトクするのか試算してみよう。
まず借り換え前のローン残高1000万円、残期間10年、金利2%とすると、毎月返済額と今後10年間の総返済額は以下のようになる。
[残高1000万円、残期間10年、金利2.0%のケース]
毎月返済額/約9万2000円
残り10年の総返済額/約1104万円
この条件で金利1%のローンに借り換えると、返済額は以下のとおりだ。
[借入額1000万円、返済期間10年、金利1.0%に借り換えたケース]
毎月返済額/約8万7600円(差額約4400円)
総返済額/約1051万円(差額約53万円)
さらに借り換え費用がいくらかというと、約23万円かかる。費用というのは抵当権設定費用や保証料、手数料などだ。つまり、トータルでトクするのは下記のように約30万円という試算結果になった。
総返済額の差額約53万円-約23万円=約30万円
10年間で30万円のトクというのは、手間をかける価値があるのか微妙なところだが、金銭的に黒字になることはたしかだ。
5年前に3000万円のローンを組んだ人は、借り換えると約680万円トクするケースも
もう少し現実的なケースも検証してみよう。例えば5年前に(全期間)固定型で借りた人が、今の固定型に借り換えたらどうか。
まず5年前に3000万円を35年返済で借りたとする。当時の固定型は2%台後半〜3%前後が主流だったので、返済開始から5年後の現在は以下のとおりだ。
[借入額3000万円、返済期間35年、金利2.6%で借りた住宅ローンの5年後]
残高/約2720万円
毎月返済額/約10万8860円
残り30年の総返済額/約3919万円
では今の固定型の金利はというと、35年固定型は1.5%前後が中心だが、30年固定型だと1%そこそこのケースもある。そこで1.05%の金利に借り換えると、試算結果は以下のようになった。
[借入額2720万円、返済期間30年、金利1.05%で借り換えたケース]
毎月返済額/約8万8110円(差額約2万750円)
総返済額/約3172万円(差額約747万円)
借り換え費用はというと、返済期間が30年と長いため保証料が約52万円かかり、総額では約75万円必要だ。
総返済額の差額約747万円-約67万円=約680万円
30年で約680万円なので、年間22万円以上オトクになる計算だ。これだけトクできるなら、借り換えの手間と費用もかける価値があるといえるかもしれない。あなたもさっそく、今の住宅ローンの返済予定表をチェックしてみては?
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