ゆとり第一世代がドラマ『ゆとりですがなにか』を見て思ったこと(第6話)

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こんにちは。ゆとり記者のよしだです。

日本テレビのドラマ『ゆとりですがなにか』(日曜22時30分~)について、ゆとり第一世代の視点から思ったこと、思い出したことなどをアレコレと書き連ねております。

※これまでの記事を振り返るにはコチラ
【連載】ゆとり第一世代がドラマ『ゆとりですがなにか』を見て思ったこと

第6話のハイライトは、何と言っても小学校教諭の山路(松坂桃李さん)が「ゆとり教育とは」をテーマに授業を展開した場面。児童たちの親世代にもゆとり世代がチラホラと交じってくる時代だとすれば、教育現場でも賛否が分かれそうなテーマです。

山路は「先生はゆとり教育を受けた最初の学年です。ゆとり第一世代って言われています」と児童たちに告白し、「(ゆとり教育とは)テストの成績を上げるために知識を頭に詰め込むんじゃなくて、興味があることを自主的に学んだり、体験したりする時間を増やそうという考え方です」と説明します。

そして山路が「ゆとり教育を受けた結果、子どもたちはどうなったと思う?」と問うと、「バカになった!」と笑われてしまうのです。

正解です! 学力が低下して社会問題になりました!

「おまけに社会に出たら、使えない。覇気がない。ガッツがない。言われたことしかやらない。ライバル意識がない。危機感がない。緊張感がない。予期せぬアクシデントに対応できない」と言われる始末。

全部言いがかりです。

「国が勝手に土曜日を休みにして、教科書を薄くして、それでテストの成績が下がったからってポンコツ扱い」してるだけじゃないですか。もちろん、家庭環境の変化とか、学外での学習機会の減少とか、大学の乱立とか、学力低下との因果関係については並行して語られるべき議題が数多くあります。

上の世代と同様に土曜日も学校に来れば学力が向上するのなら、今すぐにでもそうすれば良いと思います。しかしながら、世界でもトップレベルの学力を誇るフィンランドでは、学習時間がヨーロッパ諸国で最も少なく、小学校低学年で週に20時間程度。さらに政府が宿題や統一テストを廃止してしまったそうです。

フィンランドの文科省の担当者曰く、「脳を休ませないと。ずっと酷使していると学べなくなる」とのことで、放課後には友達と遊び、家族と会話し、スポーツや音楽、読書を楽しむなど、子どもらしい日々を送ることで「問題意識をもって自分で考えるようになる」と提言しています。テスト対策に授業時間を費やし、試験科目ではない音楽や美術の時間は軽んじられる他の国々と違い、「学校は幸せになる方法を見つける場所」として存在しているのです。

詳しくは、マイケル・ムーア監督の映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』(5月27日より日本公開)をご覧ください。

フィンランドの場合は基本的に私立の学校が認められておらず、各学校のレベルは全国で同一に整えられている、というかなり特異なケースです。しかし、実践している教育自体は本来のゆとり教育が目指すべき姿だったように思います。

目指すべき方向は正しかったのに、方法を誤ってしまった。日本の場合は政府が間違ってしまったのか、あるいは社会の変化か、親か、子ども時代の我々なのか……原因の所在も曖昧なままに“脱ゆとり”は実現するのでしょうか。

話をドラマに戻します。山路がゆとり世代の長所を「他人の足を引っ張らない。周囲に惑わされずベストを尽くす」と語った場面。これは「ライバル意識がない。協調性がない」と表裏一体の言葉で、子ども相手の詭弁だと思ってしまいました。自意識過剰ですか?

「第一世代はゆとり教育の影響をほとんど受けてないぞ!」「お国の政策に付き合わされて迷惑だわ!」と強がっていても、「ゆとり」という本来プラスの意味を持つ言葉を汚してしまった世代であることに、どこか後ろめたさを感じている証拠なのかもしれません……。このドラマを見始めてから、「ゆとりですがなにか」と思う自分と、「これだからゆとりは」と思う自分のどちらも存在していることに気付きました。

それでも、山路が最後に語った、「(学習障害を抱える)大悟が電卓を使っても良い時代がそのうち来ると思います。それが本当の平等。本当のゆとり教育だと、先生は思います」という言葉に、何か希望のようなものを感じることができた感動的な回でした。

日曜ドラマ「ゆとりですがなにか」第7話予告編(YouTube)
https://youtu.be/G07_yLPeljM

日本テレビ『ゆとりですがなにか』公式サイト:
http://www.ntv.co.jp/yutori/index.html[リンク]

※画像は日本テレビ公式サイトより引用

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よしだたつき

よしだたつき

PR会社出身のゆとり第一世代。 目標は「象を一撃で倒す文章の書き方」を習得することです。

TwitterID: stamina_taro

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