東海発!DIYで賃貸ライフを楽しくする「賃貸DIY部」
昨年末、「ニッショー.jp賃貸DIY部」を立ち上げたニッショー。名古屋市に本社があるニッショーは、東海エリアで最大級の賃貸住宅仲介会社だ。名古屋は住まい選びに対しては「伝統的」「保守的」な印象がある地。なぜ、大手が革新的な賃貸DIYを推進するのか?
部屋への愛着を深めてもらうための賃貸DIY
ニッショーといえば、東海エリアに住む人ならおなじみの賃貸住宅仲介会社。入居者のための部屋探しと、オーナーに向けた物件管理会社としての役割をもち、管理戸数はおよそ8万4000戸。76支店と24営業所がある東海最大級の大手だ。いい部屋発見犬「サガッシー」のゆるいキャラクターは、東海各地で放送されているテレビCMのアイコン的存在でもある。
そんなニッショーのグループ会社であり、ウェブでの物件情報発信を担当するのが、今回「賃貸DIY部」を立ち上げたニッショー.jpだ。代表取締役社長である加治佐(かじさ)弘さんにお話を聞いた。【画像1】左:ニッショー.jp代表取締役社長の加治佐弘さん。右:人気キャラクターが受付に。向かって左が「ミツケール」で右が「サガッシー」。中央は楽しいお部屋を「ツクルーノ」というサルで、2015年より登場(写真撮影:倉畑桐子)
「賃貸DIY部」とは、賃貸住宅での自分らしく楽しい部屋づくりのためのDIYをサポートするプロジェクト。
これまでも、新しいタイプの賃貸住宅をつくりだすために「ニッショー×ヴィレッジヴァンガード」のコラボルームや、女性をターゲットにした「なごや女子部屋」などをつくってきたニッショー.jp。しかしこれらは、どちらかといえば供給サイドが考える部屋づくりだったという。「次は、入居者さんの目線で楽しいと思える部屋づくり・部屋探しのお手伝いをと考えました。部屋をつくって楽しむことで、1日でも長く住んでいただきたいからです。自分で好みのものをつくることができれば、より愛着をもってもらえるのではと思ったのがプロジェクトのきっかけです」(加治佐さん)
しかし、“賃貸DIY”には3つの問題点があるという。「1つ目は、経験値がなくセンスにも自信がもてないので、尻込みしてしまう人が多いこと。2つ目は、実際に手を動かしたことがないので作業ができないこと。そして3つ目は、どんなものになるかは分からないのに、供給サイドが簡単にはOKできないという事情です」
確かに、次の入居者が気に入らない物件になってしまっては困る。趣味の違いやスキルの問題もあるだろう。「つまりオーナーさんにとってはメリットがよく分からず、一般社会に広がっていかないというのが現実です」(加治佐さん)
原状回復前提のルール内で、「ここまで!? 」のアイデアが続々
名古屋のオーナーは、投資目的ではなく、「土地を守る」という意識で物件を持つ人が多いという。最初の段階で、元に戻せないようなDIYを目にしてしまうと不安をもつはず。オーナーの理解と協力なくして賃貸DIYは始まらないのだ。そこで、「“原状回復できることが前提”での賃貸DIYのアイデアを、広く一般募集することにしました」(加治佐さん)
入居者に対しても、大掛かりでハードルが高いDIYではなく、まずは賃貸DIYでものづくりの楽しさを知ってもらおうと考えた。また、作品をヒントに賃貸DIYのバリエーションやつくり方を発信して、部屋探しをする人に楽しみを提供したいという思いもあった。
「名古屋で1番に始めなくては!」という考えで、さっそく賃貸DIY作品を募集。2015年12月から2016年3月末まで、ニッショー.jpのサイト上に投稿コーナーを設けた。3月上旬の時点で200近くの作品が続々と集まり、アップされている。造作家具から、市販のアイテムを使ってキッチンを大変身させるものまで、投稿内容はさまざまだ。
「一つひとつが全く違う、気持ちがこもったDIYなので見ていても楽しいですね。原状回復が前提でもここまでできるのか!と私たちも驚き、勉強になりました。棚の位置やフックの高さなど、その人に合ったサイズ感にもこだわり、機能的で生活しやすくなるようなDIYが目を引きました」(加治佐さん) 【画像2】ニッショー.jp賃貸DIY部に投稿された作品。1mの長ネジ8本と木材を使用して、玄関につくった靴棚。スペースを天井まで有効活用している。制作時間約2時間(画像提供/ニッショー.jp) 【画像3】棚をつくって出窓にはめ、隙間をスポンジで埋めたことで、収納を増やしつつ結露を防いだ。採光面を考え、背面板には乳白色のプラダン(プラスチック製のダンボール)を使用。制作時間約3時間(画像提供/ニッショー.jp) 【画像4】こちらはDIY上級者の作品。突っ張り柱を使って、ダイニングの壁面に本棚をつくった。下部分は有孔ボードを扉にして掃除道具などの収納に。制作時間約2時間(画像提供/ニッショー.jp)【画像5】カラーボックスを土台にして、周りに板を張ったキッチンカウンター(トップの写真と同じ作品)。ボトル用の棚やワイングラスホルダーも自作し、店舗風に。制作時間約10時間(画像提供/ニッショー.jp)
ニーズをつかみ入居者とオーナーの双方にメリットを
今回のプロジェクトで得たものを、今後どのように部屋づくりに反映させていくのだろう。「第1弾として、“貼れる”ことを打ち出した部屋をつくりたいと思います」と加治佐さんは話す。部屋の1面のみにするかなど、制約についてはまだ検討中というが、すでに試作を始めているという。
「まずは、既製品の軽量レンガタイルを壁に“貼れる”部屋を考案しました。『これなら費用を負担して入居者にプレゼントしてもいい』という声があるなど、オーナーさん側からも反応は上々です」(加治佐さん)。入居者にとっては手軽に部屋の印象が変えられるうえ、貼る作業自体も楽しめそうだ。
「ニッショーなら壁にDIYできると考えてもらい、部屋選びの差別化につながればうれしい」と加治佐さん。入居者のニーズをつかみ、それをオーナーの利益が高まるように提案するのが管理会社の役目でもある。「結果的に双方にメリットがあれば」と考えているそうだ。
立地の利便性などから選ぶことも多い賃貸物件。元々の間取りやインテリア、収納などが好みでなかったり、不便なこともあると思う。それをオーナーがOKした賃貸DIYで、楽しみながら暮らしやすいように工夫できたらベストだ。今回の取り組みを知って、今後賃貸DIYの裾野が広がりそうだと感じた。●取材協力
・ニッショー.jp
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