第6回:BOOKOKA 実行委員 大井実氏・藤村興晴氏(前編)

第6回:BOOKOKA 実行委員  大井実氏・藤村興晴氏(前編)

11月に福岡の書店さんが様々なイベントを繰り広げるブックオカ。そのひとつである「書店員ナイト」は、なんと二日間・合計10時間にわたって本屋の未来をとことん語りあうという、大変熱気溢れるイベントでした。会の終了直後、熱い余韻がまだ収まらない中、設立者の大井さん、藤井さんにお話を伺ってきました。

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ブックオカを立ち上げた「七人の侍」

―イベントが終わったばかりで大変お疲れのところお時間をいただき、有り難うございます。まずは10年前にブックオカを立ち上げたきっかけをお話しください。

藤村:僕が語る経緯と大井さんのとでは、だいぶ話が違うかも知れないけど(笑)

まずは、私から話しましょうか。だいぶ時間が遡るのですが、2000年に「博多版元新聞」というフリーペーパーが福岡の版元6社合同でスタートしました。当時僕は石風社にいて、この新聞の編集実務をしていました。その第4号で、ブックスキューブリッックを始めたばかりの大井さんを取材し、それがきっかけで、その後ちょくちょく会って話をしたり、3時頃から近所の角打ち屋で飲んだりするような間柄になりました。その後フリーペーパーの取材で知り合った古書店の女性がいらして、その方が「福岡で本のお祭りをやりたい。」と、仰るので、これまた近所の角打ち屋さんで大井さんを引き合わせたところ、そこで科学反応がおこり、けやき通りで一箱古本市をやることになったのです。2006年のことですね。三人で手分けして、書店員さんや、webが得意な人、デザインが出来る人、広告を集めることが出来る人などを呼び込んで、7人の侍じゃありませんが、チームが結成されていったのです。一箱古本市以外にも、それぞれがアイディアを出し合って、ブックオカの雛形ができてきました。

それまでにも書店員などと、「福岡で本のお祭りができたらいいね。」などと話していたのですが、思っていたことが一気に2006年に実現した感がありましたね。

―大井さんからもお伺いできますか。

大井:だいたい同じような話なのですが、ちょうどその頃東京千駄木の往来堂店主笈入さんが、ネット21の集まりで福岡に来ていたので、お会いして谷根千で開催している一箱古本市の名前を使わせてもらう許可をもらいました。

また、別のルートでも南陀楼綾繁さんにも許可を得てスタートしました。謂わば一箱古本市地方開催の始まりが福岡で、その後全国で開催されていくきっかけになったのかもしれません。

藤村:南陀楼さんが先日仰っていたのですが、「福岡は一箱古本市に加え、総合的なブックイベントを始めた。そのやり方を後々我々上野不忍でも参考にさせてもらっている。」

大井:たしかにその後、2007年にブックマークナゴヤや仙台など、地方開催での本のイベントが増えてきましたね。ブックマーク名古屋もブックオカにインスパイアされて始めたと言っています。打ち合わせは藤村さんが以前勤めていた会社を借りました。そこの社長さんが、毎週毎週、誰が来て飲んでもいいよという(笑)、とても太っ腹な方だったので、夜な夜な集まって飲みながらアイディアを出し合っていました。

アイディアが沢山出過ぎて、初年度は3日間の会期なのに15ものイベントをすることになってしまいました。

藤村:結構目新しいことを企画したので、お陰さまでマスコミがかなり取り上げてくれました。イベントのスケールや予算のわりにかなりメディアが好意的に取り上げてくれた。ほんとうは街の一角でやっている小さなイベントなのに、あたかも福岡中で大々的に開催しているような錯覚をあたえるような(笑)パブリシティ効果がありましたね。

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「福岡」の明るさ

―ブックオカという名前はどうして決まったのですか。

藤村:私は「ブックどんたく」がいいと言ったら速攻で却下されましたが(笑い)。皆で案を出し合ってきめました。

―福岡って本屋さんの数がとても多いですよね。

大井:確かに昔から「福岡書店戦争」と言われるくらい数は多いです。でも、神田神保町のような古本屋さんも含めた本の街という所はない。古本屋さんの数はあまり多くないですね。

―福岡の特徴って

大井:熱しやすくさめやすい。

藤村:お祭り好きですよね。「福岡ではあまり本が売れない」とも言われます。なぜなら職住接近で電車にあまり乗らない。通勤で読むことがない。しかも飯や酒が美味い、海と山が綺麗。楽しいからあまり悩まない。なので、本をますます読まない。(笑)

―天神からけやき通りを歩いてここ(赤坂の福岡大学セミナーハウス)まで来たのですが、雑貨屋さんとか、古着屋さん、カフェとかもお店の方の趣味が色濃く反映されているお店が多いですね。

大井:家賃が安いんですよ。なので、東京ほどシビアに売り上げだけを追求しなくても、なんとかやっていけるのかも。

<プロフィール>

大井実(ブックスキューブリック代表)

藤村興晴(忘羊社代表)

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