P.F.ドラッガー流!時短の一歩は「記録すること」

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びっしり詰まっているスケジュール。会議に、リサーチに、企画書作成と、スケジュール帳どおりに進めていれば、すべてのタスクを今日中に完了できたはずなのに、なぜ1/3も終わっていない!?…といったタイムマネジメントの失敗は、ビジネスパーソンにとってつらいもの。

経営の神様、ピーター・F・ドラッガーは、「仕事についての助言は『計画せよ』から始まることが多いが、計画は紙の上で消え、よき意図の表明に終わり、実行は稀だ」と、その著書「経営者の条件」(ダイヤモンド社)のなかで説いている。 では、どのようにすれば、仕事を順当に進めることのできるのか。ドラッガーのメソッドを振り返ってみよう。

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1. 時間を記録する

成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。 計画からもスタートしない。時間が何にとられているかを明らかにすることからスタートする。 時間は特異な資源であり、資金や人材のように、借りたり、雇ったり、買ったりして増やすことができないのが最大の特徴。よって、需要が大きくとも供給は増加せず、簡単になくなり、蓄積することもできない。時間は著しく不足していると感じやすい。

その一方、時間を無駄に使わせている圧力は常に働いていて、何の成果ももたさらない仕事が大半を奪っていることがある。たとえば、上得意先からの挨拶電話、自分や組織の体裁を整えるためだけに出席する会合、一部の上層部しか発言しない会議など。つまるところ、多くの人が「成果には何も寄与しないが無視できない仕事」に時間をとられ、まったく役に立たない仕事に時間を費やしているのだ。

時間をどのように使っているかを知り、時間の管理に取り組むには、まずは時間を記録することからはじめる。時間の記録の方法については気にする必要はないが、大切なのは記憶によってあとで記録するのではなく、リアルタイムに記録することだ。 24時間手帳を購入し、左側に計画を書き、右側に実際にその計画のために使った時間や、急な用事に費やした時間を書き連ねていくもよし、デバイス上でプロジェクトの時間を管理できるタイムトラッキングのサービスを使うのも手だろう。

タイムトラッキングサービスの中には、メニューバーに常駐させるTimingなど、アプリケーションごとのトラッキングを表示してくれるサービスがある。就業中につい気になってTwitterやFacebook、LINEなどを閲覧してしまうというひとは、こうしたツールを用いて「どれだけ無駄にしている時間があるか」を把握することが大事だ。

2. 整理する

時間の記録の次に行うのが整理である。そのための方法は3つある。

A.する必要のまったくない仕事、何の成果も生まない時間の浪費である仕事を捨てる

すべての仕事について、まったくしなかったならば何が起こるかを考え、何も起こらないが答えであるなら、その仕事は直ちにやめる。恒例のスピーチ、誰も出席しなくても問題のない夕食会、時間を要するだけで直接自分の業務と関わりのない書類や手紙を読むことなどだ。

B.ほかの人間でもやれること(権限委譲)は何かを考える

時間の記録を見たあとは、自分でしなくともすむことはほかの人間に任せるようになる。なぜならば、重要なこと、したいこと、自らの責任でなすべきことに使える時間がまったくないことに気づくからだ。 権限委譲は、自らの仕事をほかの人間にやらせることではなく、自らが元来行うべき仕事に取り組むために、ほかの人にできることはほかの人にやってもらうことをいう。管理者が自分に与えられているタスクを部下にやらせて、不当に報酬を得るといった怠慢とは異なる。

C.自らがコントロールし、自らが取り除くことのできる時間浪費の原因を排除する

人は他人の時間まで浪費していることがある。その時間を発見する最もシンプルな方法は、「あなたの仕事に貢献せず、ただ時間を浪費させるようなことを私は何かしているか」と、定期的に周囲に聞くことである。答えを恐れることなく、このように質問できることこそ、成果をあげられる人間になる一歩だ。

自分自身の重要度について、誰もが過少ではなく、過大に評価しがちである。また、あまりに多くのことが自分でなければできないと考えるが、それは大概にして誤っているものだ。

上記で挙げた方法は、自らがコントロールしうる非生産的な仕事に関する整理法だ。一方、これらの時間の浪費以外に、マネジメントと組織構造の間違いに起因する時間の浪費がある。システムの欠陥や先見性の欠如からくる時間の浪費、人員過剰からくる時間の浪費、組織構造の欠陥からくる時間の浪費だ。中でも典型と言えるのが、会議の多さ。会議は元来、組織の欠陥を補完するためのもので、理想的に設計された組織とは会議のない組織のこと。成果をあげるべき人たちが、自分たちの時間の一定割合以上を会議に使っているのは組織の欠陥を表し、みなが会議をしている組織は何事もしえない組織である。

3.まとめる

時間を記録し、整理し終えたら、重要な仕事に割ける時間を把握できる。自分自身や組織に貢献をもたらし、大きな仕事に利用できる自由時間はどのくらいあるのか。実際は、時間浪費の原因となっている時間を切り捨てていっても、まとまってとれる自由時間というのはさほど多くないものである。

地位があがるほど、管理のしようのない時間、いかなる貢献ももたらさない時間の割合が大きくなる。また、組織が大きくなるほど組織をより機能的にするための時間より、組織を維持し、運営するための時間が多くなるもの。 その中で、より意義ある仕事をするには、小さな時間ではなく、大きくまとまった時間を確保するよう心がけることだ。そのためには重要事項を決める時間をできるだけ午前中に設定し、午後は緊急や臨時の案件に着手できるようにする、会議や打ち合わせは週2日にできるだけ偏らせるといった方法がある。

また、ほとんどのひとは、二次的な仕事を後まわしにすることによって自由な時間をつくろうとするが、大きな成果をあげている人は、緊急かつ重要な仕事とともに気の進まない仕事以外にも締め切りを設け、後回しにすることを極力避けているものである。

文・山葵夕子

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