『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』ヒュー・ジャックマン インタビュー
連載! 「続・鴇田崇の映画でいっぱいいっぱい!」9回目は、現在大ヒット公開中の映画『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』。あの、「コンタクトレンズが3回はずれました!」という秀逸なTVCMでも話題の、感動のファンタジー超大作について、”黒ひげ”役のヒュー・ジャックマンへ直撃インタビュー! ”黒ひげ”のようなヒール役は最近のヒューにとってはレアな役柄だが、今回の仕事を請け負った理由とは!? また、俳優として大成功を収めたいま、”人間”ヒュー・ジャックマンが純粋に追い求めているものとは――!?
──映画を観ていて”黒ひげ”は基本的には冷酷な男ではあるものの、どこか憎めない存在でもあって、ある種の矛盾した表現力が必要なキャラクターでしたね。
そうだね。たとえばフック船長だが、悪役なのに皆、彼に好感を抱くだろう? それに加えて”黒ひげ”は、メランコリックでもある。おそらく、この”黒ひげ”のキャラクターは、子どもの視点で見た大人だ。子どもにとっての大人は、チョコレートをあげようとするが、突然予知できないほどの怖いこともする存在。変わり身が早く映っていると思うので、子どもにとっては不安なものだ。そういう悪役を演じることは、とても楽しかったよ。
──そして”黒ひげ”は、最近のキャリアではレアなキャラクターですよね。キャラクター以外に、惹かれた理由は何ですか?
監督のジョー・ライトだよ。もちろん脚本には目を通してはいたものの、そもそも映画って監督のもので、監督の采配が貫けるものだ。だから、僕は監督で出演を決めているわけだ。本当に自分が信頼できる監督じゃないといい仕事はできないと思っていて、その点ジョーはとても素晴らしいビジョンを持っている才人だ。結果、マジックな作品を作る人だったよ。壮大なスケールの映画を作り上げてくれたので、仮に別な役柄でも出たと思う(笑)。
──”黒ひげ”の衣装やメイクについても、ライト監督のアイデアがあったそうですよね?
そう。もともと僕がイメージしていた”黒ひげ”は、歴史上に実在した海賊のエドワード・ティーチだった。彼は自前の大きなひげに硫黄を染みこませたらしい大麻を結い込み、そこに火を点けていたそうだ。そうすると煙が頭の上に出ているようで、相手が怖がるっていうわけだ(笑)。でもジョーに言ったら、真顔で「ノー!」って言われちゃったけれど(笑)。
ヒュー・ジャックマンはなんと12回目の来日!
──また、”黒ひげ”がニルヴァーナの曲をバックに登場するなど、実験性も高いですよね。
そうだね(笑)。シナリオには曲を使うことは、一行も書いてなかった。実は一週間ほど、海賊キャンプを開いてね。毎朝キャンプで歌を歌ったが、ジョーがニルヴァーナの曲を持っていたよ。皆ノリノリでね(笑)。本番でも使おうということになったよ。大きな音をガンガン鳴らして、楽しかった。子どもたちは、歌詞の意味もわからず歌っていたけれど(笑)。
──”黒ひげ”は永遠の若さを求めるキャラクターでしたが、ご自身の場合いかがですか?
バランス、とでも言っておこうかな。実は仕事をオーバーブッキングする悪い癖があって、あれこれ抱え込み、仕事中心だった。今後は妻と子どもとの生活、仕事のバランスを大切にしたい。いまは前と違って、ガツガツすることはいいことだけではないと思っているよ。
(文/鴇田崇)
<STORY>
ロンドンの孤児院に暮らす少年ピーター。彼が母の手紙をみつけた時、ネバーランドへの旅が幕を開ける。カラフルで不思議な夢と希望の世界! 実はピーターの仲間だった若き日のフック船長、戦うプリンセス タイガー・リリー。立ちはだかる海賊黒ひげがネバーランドを牛耳る。やがて明らかになるピーターの出生の秘密とは―彼は母に会えるのか……。
映画『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』は、大ヒット上映中!
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C) 2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC.
Photo (c)Misako Obata
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