小春日和は、春の季語じゃない! 日本人なら知っておきたい、美しい季語
ポカポカした日差しが心地よい「小春日和(こはるびより)」。言わずと知れた初冬の季語ですが、2015年9月に文化庁が発表した「平成26年度 国語に関する世論調査」によれば、実は日本人のおよそ4割が、「春」の季語だと勘違いしているのだとか。
作家・夏生一暁さんの編著『日々の歳時記 今日という日がわかる』によれば、小春日和の本来の意味は、「冬の初めの11月頃に、春先を思わせる暖かい日が訪れることがあり、これを『小春』『小春日』『小春日和』と呼んでいる。もともと『小春』は『小六月』とともに旧暦10月の異称。本格的な冬に入る前の一時的な暖の戻りを小粋な言葉で捉えた美しい季語といえる」そうです。
旧暦10月は、現代の私たちが用いている新暦では、11月から12月上旬に相当。秋の終わりから、風が冷たさを増す初冬のこの時期に、時に春を思わせるような晴天の日があることを言います。また、同書によれば、英語ではこの気候を、春ならぬ「インディアン・サマー」と呼び、春ではなく夏と表現するところが面白い、としています。
歳時記と言えば、春夏秋冬の四季に新年を加えた5分割が普通ですが、同書では、「今日の季語」と題して、1日ごと365日の季語を収録することで、日々移ろう季節の変化が目に見えて感じられる工夫がされています。同書を日々傍らに置いてページをめくれば、「今日が何の日」なのかはもちろん、その日が二十四節気・七十二候のどこに対応するかも一目瞭然。俳句作りの手引きとして最適なのはもちろんですが、日本人なら知っておきたい”日本文化の粋”を学べる1冊となっています。
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