マンガ『キングダム』に学ぶ、組織のリーダーが心に刻んでおきたい言葉――大事なことは全部マンガが教えてくれた
©原泰久 / 集英社
「マンガ」のあるシーン・ある言葉に、ハッと気づきを与えられたこと、勇気づけられたこと、ありますか?
普通に仕事をしているだけではなかなか気づくことのできなかった考え方など、「マンガから学べた!」ってことあると思います。そんな仕事に人生にジンジン効いてくるマンガの1フレーズを、筆者の独断と偏見で選定、解説までしてしまうこのコーナー。
今回は、今絶大な人気を誇るマンガ『キングダム』(©原泰久 / 集英社)より、組織のリーダーが心に刻んでおきたい言葉をご紹介します。
リーダーが担う役割は、想像以上に大きい
ディシジョンメーカー―――。
時に組織のリーダーはそう呼ばれることがあります。リーダーが担う役割の、もっとも大きなもののひとつが「意思決定」を行うことだからです。
「意思決定」というのは組織が進むべき方向に大きく影響を与えることがあり、企業が成長していく各局面において、戦局を揺るがしかねない非常に重要なものです。
そんな役割を担う組織のリーダーが心に刻んでおきたい1フレーズがこちら!
“戦は“数”じゃねぇ、“人”だ。”
©原泰久 / 集英社
秦の始皇帝が誕生するまでの戦国時代を描く『キングダム』。
主人公の信(しん)は、とある事件において、後の始皇帝となる若き王、政(せい)と出会い、命を助け、共に戦うことになります。その最中で友情を深めた二人は、政は中華統一を目指す、信は「天下の大将軍」として中華全土に名を轟かせることを誓い合います。
しかし政を取り巻く環境は非常に厳しいもの。ある夜、政が複数の暗殺者に命を狙われるという事件が勃発します。信やその仲間の助けもあって何とか暗殺者をしりぞけた政。しかし、その事件は政を取り巻く陣営に大きな衝撃を与えることになります。
政の暗殺を目論んだ主犯は、秦国において、王である政をも差し置いて政治を取り仕切る実質的な独裁者、丞相(宰相)呂不韋(りょふい)。この事件は、ついにその独裁者が王である政にまで牙をむき始めたことを示したのでした。
圧倒的な独裁者である呂氏の派閥は大きく、秦の朝廷はほぼ呂氏派一色。王の暗殺という事態ですら、裁くことができない状態です。そんな中で呂氏が反乱を起こした際、それに対抗する政派の陣営の力はあまりに小さく、「万の軍勢に10人で立ち向かうようなものだ」と政派の家臣が口にします。
その言葉に対して信が言った言葉が、上記のものです。
戦は武将のものである
信が上記の言葉を言った背景には、その直前に参加した初めての戦での経験がありました。
麃公将軍率いる秦軍と呉慶将軍率いる魏軍との大きな戦に参加した信は、その最中に彼の人生を大きく変えるある人物に出会います。
その人物は、中華全土に名を轟かせる、秦軍六大将軍のひとり、王騎将軍。彼は戦場を見渡せる丘に陣取ると、信に語りかけます。この戦は数の戦いではなく、緻密な戦略を立て、戦場の変化の機微を察し、用心深くかつ大胆に動く“知略型”の将軍=呉慶と、圧倒的な武力をもとに野生の直感で戦うような“本能型”の将軍=麃公の戦い、つまり知略型対本能型の戦いである、と。
王騎は続けます。
永き戦乱で群の規模は増大し今では数十万の戦い。
しかし軍が大きくなればなるほど、それを率いる将の才力が戦の勝敗を左右する。
結局、戦は武将のものです
©原泰久 / 集英社
その言葉を聞き、そしてその戦を経験することで、信はその言葉の本質、すなわち戦は“数”ではなく“人”であることを理解したのです。
戦局を左右するのは、リーダーの意思決定に他ならない
競争社会において勝利を手にするためには、緻密な戦略・戦術の構築は非常に大切です。また、優秀な部下を集め、または育てることも大事な要素のひとつです。そして競争相手がいる以上、すべてが思うようにいかず、予想外の事態に直面しても、慌てず臨機応変に対応していく力も、戦局を左右する大きな要素のひとつでしょう。
そしてそれらすべてに対して、意思決定をすることがリーダーの役割。その意思決定によっては、規模の大きな会社が、規模の小さい会社に敗れることもあるのです。
だからこそリーダーの意思決定の責任は重く、そして誰にでもなれるものではないのです。
数を恐れるのではなく、あるいは数に慢心するのでもなく。リーダーのポジションにある人は、自分の意思決定が戦局を左右することを自覚し、事前の十分な情報収集力と、その情報を元に流れを読み、事前に設計した戦略・戦術を状況に合わせて臨機応変に対応する柔軟性を身につけていくことが大切です。
戦は“数”じゃなくて“人”。その“人”の部分の、もっとも重要な役割を担うのがリーダー自身であることを、その役割を担う際には、心に刻みたいものです。
監修:リクナビネクストジャーナル編集部
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