『マジック・マイクXXL』チャニング・テイタムインタビュー「男性が女性を癒してもいいでしょ?」
世の筋肉好き、ダンス好き、いい男好きたちが熱狂した『マジック・マイク』から2年。世界中の女子(もちろん男子も!)待望の続編『マジック・マイクXXL(エックスエックスエル)』が10月17日より公開となります。
前作よりキャストのボディも、ダンスも、セクシー度数も、すべてが格段に大きくパワーアップしている意味で名付けられた「XXL」。チャニング・テイタム主演、マット・ボマー、ジョー・マンガエロ、ケビン・ナッシュ、アダム・ロドリゲス、ガブリエル・イグレシアスらで再集結し、鍛え上げられた肉体美と情熱的なダンステクニックは、もう“最高”の一言! 日々の些事、グチャグチャ考えていた事がが一気に吹っ飛びます。
今回、ガジェット通信では、主演のチャニング・テイタムへの電話インタビューが実現! “最もセクシーな男”チャニング・テイタムによる、映画の見所、奥様とのラブラブエピソードなど、刮目せよ!
――映画とても楽しく拝見しました。本作はマイクをはじめ、他のキャラクターの夢と悩みが語られていて、前作よりも男のドラマチックさが出ていたと思うのですが、続編をそういうドラマにするのは最初から決めていたことだったのでしょうか?
チャニング・テイタム:とにかく1作目を作るのに必死で、そもそも2作目を作ることになるとは夢にも思っていなかったんだ。1作目では『サタデー・ナイト・フィーバー』的なものを作りたかった。1作目が奇跡的にヒットしたことで2作目の企画が持ち上がったのだけど、1作目で描き切れなかった部分が結構多かったので、そういうのを盛り込もうとした。たとえばコンベンションに出演するくだりは、撮るのにあまりにも大掛かりだったので、1作目に入れるのは無理だった。
(1作目で)もう一つ惜しかったのは、素晴らしいキャストをそろえたのに彼らの才能を生かしきれなかったこと。そもそも脚本の描きこみが足りなかったんだ。でもそんな大雑把な人物描写を彼らは素晴らしい具合に肉付けしてくれた。だから彼らを十分フィーチャーできなかったことに悔いを感じていた。
それで2作目では仲間たちのストーリーにしたいと思った。これからの身の振り方をあれこれ考えている男たちの物語を語りたかったんだ。言い方は悪いけど、あまり頭のいい男たちじゃないからさ(笑)。そういう彼らがそれぞれの転換点を迎えている。いつまでもストリップを続けるわけにはいかないから、夢のような生活にどこかで終止符を打たなければならない。だからある意味途方に暮れている。まるで高校の卒業パーティーが10~15年ぐらい続いてしまったような状態なんだ。だからそろそろ足を洗って立派な大人にならないといけないところへ来ている。
それともう一つ面白いと思った要素は、彼らは女性を喜ばせているつもりではいるのだけど、実は女のことを良くわかってないんじゃないかな。彼らがどのように女性を見て、どのように関わり、(はたまたそこから開眼を得て)女性の扱いが一段とレベルアップしたりするのか?そういうところを掘り下げていきたかった。
――最後のダンスパフォーマンスを楽しく見させてもらいました。ゾーイ役のアンバーさんとのダンスシーンも最高でした。アンバーとのダンスシーンのエピソードなどがあれば教えてください。アンバーさんは楽しんでいましたか?
チャニング・テイタム:キャスティングを決める際にアンバーとスカイプで話したんだ。僕の妻が昔アンバーとテレビ番組で共演していたことがあって、それで彼女のことは前から知っていた。スカイプで役作り云々という真面目な話をさんざんしたあとに、「もし君がこの役に決まったら、フィナーレのダンスがヤバイことになりそうなんだけど…。大丈夫?楽しそうにやってもらわないといけないのだけど、クレイジーなシーンなんだ。1,000人のエキストラの前でやることになるから、気まずいかもよ」と念を押してみた。でもアンバーは「何をいまさら?」と、当たり前のように承諾してくれた。ノリのいい人だ。とにかく楽しくやりたいというのが伝わってきた。
でも、アンバーに限らず、みんなそうだったからラッキーだったよ。この映画はためらいながらではとても作れない映画だ。何せストリッパー役の俳優たちも、ストリップはおろか、ダンスさえやったことがない人もいる。それなのにほとんど裸になってみんなの前で踊らなきゃならない。相当な覚悟が必要だよ。僕は実際にストリップをやってたわけだけど、そんな僕でさえ「こんな大勢の前で裸になるなんて俺何やってんだろう?」と思うこともあったよ。でもみんな全力投球してくれたんだ。アンバーも「これは私たちの世代の映画だね」と言ってくれて、すごく楽しそうに取り組んでくれてた。
――前作に比べるとコメディ要素が多かったように思いましたが、その事について教えてください。
チャニング・テイタム:正直に言うと、もともとの意図だったかは僕もわからない。でも少なくともそうさせた要素はいくつかあると思う。まず、1作目が『サタデー・ナイト・フィーバー』のような映画ならば、2作目は『さらば冬のかもめ』のようなの映画だ。それと、キャストは前作に続いての共演だから、以前よりも打ち解けているし、より現場を楽しもうという気持ちがわいてきているのも功を奏しているのかもしれない。
1作目はリアリズムを意識しており、ストリップの世界の暗部や自分を見失いそうな主人公を描こうとしている。人生の一片を見せる映画だから笑いの入る隙があまりないのかもしれない。
それに1作目と2作目は監督が違う。スティーヴン・ソダーバーグとグレゴリー・ジェイコブズはまるで兄弟のような二人だけどね。もちろん実兄弟ではないのだけど、しょっちゅう一緒に仕事をしているから。でも映画や友情などに対する感覚が対照的な二人なんだ。監督の感覚は撮る映画に反映されるから、1作目と2作目のトーンの違いはそういうところからも来ているのかもしれない。二人のことをよく知っていれば納得すると思う。
――マイクを再び演じるにあたって、どのような準備をしましたか?セクシーなキャラクターですが、セクシーさを保つ秘訣は何でしょう?
チャニング・テイタム:答えに困るね!
たぶん一番セクシーなことは人の話を聞く耳を持つことなんじゃないかと思う。僕の奥さんがそうなんだ。本当によく話を聞いてくれる。よく聞くというのは、単に人の言葉を追うのではなく、相手の言うことを聞き入って一緒に感じ、何を求めているのかを察すること。ひょっとしたら求めているものに相手は気付いていないのかもしれない。それも含めて一緒に考えてあげるのがセクシーなのだと思うよ。
でもありがとう!
――奥さんはマイクを演じることに関して、どのような感想を持たれているのですか?
チャニング・テイタム:映画を見て「まあ、いいんじゃない?」と言ってくれたよ。
妻は本当によく協力してくれた。毎日「どのようにしてつくるべきか?」と一緒に考えてくれたし、相談役になってくれた。正直な意見を聞きたい時は彼女に聞いたし、女性として、人として、あるいは女優や母としての率直な視点を求めた。
俳優業というのは奇妙なもので、相手役との緊密なシーンをお互いに見たりしなければならない。特にこの映画は、軽さはあるにしても、かなり際どい。ただ、男は大体がそうだと思うのだけど、僕なんかは妻の演じるセックスシーンは正直見たくない。一方彼女はどちらかというと僕の相手役との相性に目ざとい。相手役と呼吸が合っているシーンを見られると「ちょっとちょっと、今のはなあに?」と言われる。男と女って全く違うから面白いね。心配の引き金が違うからね。
でも映画はすごく気に入ってくれてるよ。誇りに思ってくれてる。彼女は最高だ。
――大興奮のダンスシーンがあったりでとても楽しかったです。エキストラの女性がたくさん入っていましたけど、トラブルはありませんでしたか?
チャニング・テイタム:(笑)いやいや、問題はなかったよ。そもそもストリップの映画なんだから、盛り上がってくれたほうが良い。盛り上がってくれればくれるほど、こっちもいいダンスができているということの証拠だからね。
でも現場のみんなはちゃんと節度をもって接してくれた。むしろこちらからけしかけなければならないくらい遠慮してたよ。「本物のストリップクラブだったら座ったままだったりしないでしょ?だから本物のストリップクラブのように盛り上がってくれ」と押した。もちろんこれ以上はやっちゃだめという境界線はちゃんと引かれており、暗黙の了解があった。でもその境界線の中で「好きなことしていいよ」と容認すると、みんな楽しくノッてくれる。芝居っぽくならずに、本当に盛り上がることができた。映画は細かく段取りをするものだから、そういうことは珍しい。それにしても、「容認」という言葉こそ、この映画においては一つのキーワードなのかもしれないね。
――今までに女性に行った“癒し”なエピソードを教えてください。
チャニング・テイタム:この映画を作ることも女性たちを癒す一つの行為なのかもね。でも僕は妻とは健全で幸せな関係を築けているよ。やっぱり相手といい関係を築くには楽しませることが必要不可欠な要素。踊っている時にしても、ふざけあったりしている時にしても、相手の話を聞いていたりする時にしてもね。相手と親密に関わり合い、相手を楽しませる心遣いが大事な基礎要素。だって楽しくなきゃはじまらないでしょう。「楽しませる」といっても、「ストリップしてあげる」ということを言ってるわけじゃないからね。
それと、一つ目の質問だけど、ラスベガスでやる「マジック・マイク」のショーの宣伝というわけではないのだけど、そもそもこのショーをやろうと思った発端は、昔から「女性が男性を楽しませる」という図式が変わっていないという気付きからきているんだ。それは女性は精神も体も含め、とても美しいものだから当然なんだけどね。でも太古から女性が戦利品として扱われたりするなどの(褒美として存在する)歴史が続いてきた。まれに例外はあるが、男性がその対象になることはほとんどなかった。でもそうなったっていいじゃない?
だから、この映画、あるいはこのショーが、この大きなテーマについて考え直す一つのきっかけなれればいいと思った。つまり、「女性が本当に望むものは?」というテーマね。だって、女性が男性ストリップを見に行くのは、男性が女性ストリップを見に行くのとは目的が違うでしょう? そういうことについて考えるのが面白い。女性たちは何を求めてやってくるのだろう?満足してくれてるのかな?そうやってあれこれ考える。そろそろそういうことについて考え、話し合ってもいい時代なんじゃないかな。
『マジック・マイクXXL』ストーリー
マイク(チャニング・テイタム)が、伝説のダンスパフォーマーを引退してから3年が経ち、昔の仲間や新しい友達と出会いながら、もう一発、ド派手にステージを飾るためにマートルビーチのダンスコンテストに向かう。彼らは、彼らなりの人生の楽しみ方やあり方を見つけ出しながら……。行く先々でトラブルに巻き込まれながらも、鍛え抜かれた肉体美とサービス精神で女性達をご満悦させる男達。そしていよいよ、最後のショーが始まる。
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