愛知県小牧市の住民投票で市の新図書館計画に反対多数 市長は「“TSUTAYA図書館”が否定されたわけではない」
愛知県小牧市でレンタルビデオ大手・TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と図書館流通センターのジョイントベンチャー(JV)による新図書館計画の是非をめぐって住民投票が4日に行われ、結果は以下の通り「反対」が多数となりました。
現在の新図書館建設計画に関する住民投票(平成27年10月4日投開票)
投票率‥50.38%
賛成 24981票(43.6%)
反対 32352票(56.4%)
無効 1427票出典‥小牧市開票速報
http://senkyo.komaki.k-net.or.jp/kaihyo/juumin.pdf [リンク]
反対派の勝利について、『Twitter』ではCCCが単独で指定管理者となっている2013年に新装開館した佐賀県の武雄市図書館やTRCとのJVで今月1日に新装開館した神奈川県の海老名市中央図書館で運営能力そのものに疑問符が付けられるトラブルが相次いで報じられていることが背景にあるのではないかと指摘されています。
『伊勢物語』『カラマーゾフの兄弟』は「旅行書」? 1日にオープンした海老名市立中央図書館で選書に続き蔵書分類も疑問相次ぐ - ガジェット通信
https://getnews.jp/archives/1177119 [リンク]
住民投票の結果には法的拘束力はありませんが、住民投票条例第13条で「市長と市議会は住民投票の結果を尊重する」と規定されており、7371票と決して僅差とは言えない票差で計画案に反対の声が多数となったことで市側は計画の見直しを迫られるのが確実とみられます。武雄市・海老名市・宮城県多賀城市に続く全国4番目の“TSUTAYA図書館”誘致を主導していた山下史守朗(しずお)市長は結果確定後に記者会見を開き「結果を真摯に受け止める」「市民を交えて丁寧に検証し、明らかな問題があれば見直して行きたい」としながらも「計画変更は正式な手続きを経て承認されている」と強調したうえで「“TSUTAYA図書館”が否定されたわけではない」との認識を示し「もしCCCを指定管理者にしたら何を見直したのかということにならないか」との質問に対しては「住民投票(の実施)を決めたのは議会で、我々は投票結果を受けてただちにそう言う判断をするということにはならない」と結果にいら立ちを隠せない様子でした。
前述の通り、今回の住民投票が反対多数となった背景には武雄市や海老名市、特に投票直前に開館した海老名市立中央図書館で意図が不明確な蔵書分類の報告が相次いだことも大きく影響しているとの指摘がありますが、今回の結果を受けて全国3番目の“TSUTAYA図書館”として来年3月に開館する予定の宮城県多賀城市や“TSUTAYA図書館”誘致が検討されている岡山県高梁市、山口県周南市、宮崎県延岡市などの自治体の計画に対しても指定管理者の選定、ひいては民間事業者への指定管理を行うべきか否かと言う段階から抜本的な見直しを迫る声が利用者から出ることは避けられないとみられます。
画像‥新小牧市立図書館建設基本設計(案)11ページ掲載のイメージ図
http://www.city.komaki.aichi.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/013/834/shintoshokihonsekeian.pdf [リンク]
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