『Nagi』を持って街に出かけよう! あのサウンドゲームがiPhoneアプリになって登場! 萩尾雅彦×中村隆之インタビュー

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Nagi

以前ガジェット通信でも紹介させていただいた、サウンドゲームソフト『Nagi』がiPhone版となり『App Store』から発売されました。『Nagi』は外部からの入力音をサイン波に変換し、波のように少しずつ緩やかな凪(なぎ)にしていくという不思議なアプリ。

『iPhone』に入力された声が波のように、さまざまな音域で、緩やかに繰り返されながら穏やかな音になっていきます。小さな宇宙のように光が現れては消え、タッチするとまた新しい光が現れては消え、連動してシンセサイザーの柔らかい音が流れます。見ていると時間を忘れてしまいそうです。

パソコン(PC)版は震災直後にリリースされ、Windows版とMac版を合わせて5000ダウンロードを記録。今回発売されたiPhone版もリリースから現在までミュージックカテゴリでのランキング上位に入っています。このアプリの魅力はどこから来るのでしょう。iPhone版を開発したEtieMusicDesignの萩尾雅彦さんとオリジナルのPC版を開発したブレインストームの中村隆之さんにお話をうかがいました。

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●萩尾雅彦×中村隆之インタビュー

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※写真左がiPhone版開発者の萩尾雅彦さん、右がオリジナル(PC)版開発者の中村隆之さん

記者:この作品を手がけることになったきっかけを教えてください。

萩尾:ゲームクリエーターの飯田和敏さんから『Twitter』で『Nagi』のオリジナル(PC版)がリリースされたと聞いて、実際にプレイしてみたんです。癒し効果がすごいというのがそのときの感想でした。

人の思いって現実化していくじゃないですか。心の中のゆらぎというかノイズというか、いろんな感情がありすぎると、疲れてしまう。それがこのアプリで遊ぶことによって落ち着ける、そんなところがいいと思ったんです。

オリジナルの『Nagi』のコンセプトが、震災について、がんばろうというのではなくて、もうちょっとしっとりと応援するような感じだったのにも共感できました。僕は『iPhone』のアプリが作れる、じゃあ協力させてくださいということでこの企画が始まったんです。

記者:開発期間はどれくらいだったんですか

萩尾:リリースまで1か月くらいでしたね。

記者:移植に際して気をつけていた点などを教えてください。

萩尾:ほぼオリジナルの再現に徹して、あとは見た目を調整しました。オープンフレームワークを使って宇宙をイメージしています。この画面を見ながら『Nagi』の音を聞いていると気持ちが安らいで眠たくなってきませんか。

萩尾

記者:そうですね。なんだか落ち着きます。この光は音に連動しているのでしょうか。

萩尾:タッチすると光が生まれるのですが、光が飛び出してくる時に連動してシンセの音が鳴るようになっています。そして、位置によって音の高さが決まってきます。

記者:光の癒しが加わった感じですね。『Nagi』はゲームというより癒やしのアプリというイメージがあります。

中村:教会や大理石でできた建物に行くと、音が響いて気持ちいいですよね。音の反響やエコーが気持ちいいというのは、そんなふうに古くから裏打ちされた確かなものがあって、『Nagi』はそれをソフトの中で再現して日常の音も気持ちよくさせているんです。昔はそういう環境を作るには、そういった建物を作るしかなかったんですけど、今はプログラムでできるんです。

記者:今後もこういったアプリを開発する予定はありますか。また『iPhone』に移植されていくのでしょうか。

中村:アイデアがあればやりたいと思っています。

萩尾:その際はぜひ企画段階から関わらせていただきたいです。

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中村:PC版を発売して、たくさんダウンロードしていただいて、『Twitter』やメールで感想をいただいたのですけど、子どもに聞かせるといいと思ってくれる人や、哀愁や郷愁を感じると言ってくれる人、“遠き山に日が落ちて”という曲に聞こえるという人などもいました。

『Nagi』を動かしながらPCのキーボードを打って仕事をしていると、タイプ音が音楽のように聞こえてくると、たくさんの人が面白いと感じてくれているみたいで、それが非常にうれしいです。別に音楽を鳴らしているわけではないのだけれど音楽的に聞こえるというのが不思議ですよね。

このソフトを開発したのは、パソコンの前でイライラしながら仕事をしているのを、ちょっとでもリラックスしてほしいという目的もあったので、それは十分満たしているかなと思っています。

中村

記者:iPhone版がリリースされて、オリジナルの開発者としていかがでしょうか。

中村:『iPhone』のようなプラットフォームに移植してもらえるのは、本当にありがたいです。仕組みがまったく違うので、PC版と同じようにはいきませんが、ハードの特性にあわせていろいろなアイデアを取り込みながら、調整していく面白さや可能性があると思います。

iPhone版は日常生活に持ち出せるもので動かしたらどうかという一つの実験だったんです。いろいろな人に体験してもらって面白いエピソードが生まれたらいいなと思っています。

記者:このアプリをどんなふうに使ってもらいたいでしょうか。

中村:日常の雑踏のノイズをきれいな音に変えていただくことによって気持ちをリラックスしてもらう。それだけのツールとして使ってほしいです。

萩尾:中村さんや飯田さんの思いのようなものを受け取って、この作品ができました。震災や原発の事故などが起こり、日常が大きく変わってしまった中で、困っていたり、イライラしたり、心に傷を負ってしまったりという方は多いと思うんです。がんばらなくてもいい、もっと普通に生活に溶け込んだ形で、このアプリを使ってもらい、少しでも心を癒してもらえればと思っています。

記者:ありがとうございました。

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●萩尾雅彦さんプロフィール
バブル残り香の時代、当時バンドマンであったが芝浦『Gold』にてハウス&セカンドサマーオブラブの衝撃をうけ、以後テクノロジを使った音楽制作に傾倒。『04DD』、現在スペインにて活躍中のDJ kazu Kimuraとのユニット『AudioMedia』ではオランダJam recordsからEPを2枚リリース。またmasahiko hagio名義でSonyのテクノコンピレーション『pacific State』に楽曲提供。平行してゲーム業界でのキャリアをスタート。『トワイライトシンドローム』シリーズ、『とんでもクライシス!』、『ガレリアンズ』シリーズ、『SEVEN SAMURAI 20XX』また、『iPhone』のシンセサイザーアプリ『3ii3』を自らプログラミングを行い発売まで行う。数々のディレクション作品をて、須田剛一氏率いるGrashopper Manufactureに参加。『NO MORE HEROES 2』にてremix及び一部楽曲担当。同社で『SILENT HILL』シリーズの山岡晃氏の指揮の元『Shadows of the Damned』の制作に一部携わる。現在、Peace musicの鎌田耕慈氏プロデュースによる『InterFM』のラジオ番組『EARTH RADIO』に鎌田氏とのユニット『Earthly』としても楽曲提供中。EtieMusicDesign代表。

●中村隆之さんプロフィール
中学生時代からバンドを組み音楽活動を開始。ギターの練習のために、シーケンサーやMTRなどの機材を買い集め、自宅録音を行う。大学生時代、応募したデモテープが認められ、株式会社セガのサウンド開発課でアルバイトをはじめ、その後入社。以降、ゲームの音楽制作の世界へ。
セガ時代、『バーチャファイター』や、『アウトランナーズ』などといった、ヒットゲームのサウンド制作を手がける。その後、スクウェア系列のゲーム制作会社に籍を移し、『トバル2』、『エアガイツ』といった格闘ゲームの制作に参加し、ヒットを続ける。
1999年に独立、様々なメーカーのゲーム制作に、サウンド制作者として携わる。音楽パズルゲーム『ルミネス』、『メテオス』への楽曲提供や、『NINETY-NINE NIGHTS』のサウンドディレクターなどもつとめ、様々なゲーム向けに年間100曲以上を作曲するかたわら、ゲームサウンドのプログラミングや、音楽ゲームのロジックなども企画。株式会社ブレインストーム代表取締役。
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好きな音楽も、街の雑踏も、自分の声も、音の波にして穏やかな凪(なぎ)に変えていく『Nagi』。
『iPhone』に入れて街へ出かけてみませんか。

定価350円。5月末まで30%OFFの210円で『App Store』から販売しています。
Nagi 『iTunes』

●『Nagi』読者プレゼント
今回、iPhone版の開発をてがけたEtieMusicDesignの萩尾さんから、ガジェット通信の読者様向けにiPhone版『Nagi』を30本ご提供いただきました!ご希望の方は、下記の手順でご応募ください。
1.EtieMusicDesignさんのアカウント(@EtieMusicDesign)をフォロー。
http://twitter.com/#!/EtieMusicDesign
2.記事タイトル下の[ツイートする]ボタンを押して、【プレゼント希望】と明記し、この記事をツイート(Twitterアカウントがない方は登録が必要です)。
3.当選された方にはEtieMusicDesignよりDMで連絡をさせていただきます。

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