【ソルのゲー評】涼宮ハルヒの追想 長門ファンと大人の朝比奈さんファンにもお勧め
5月12日にプレイステーション3とPSPで発売されたバンダイナムコゲームスの『涼宮ハルヒの追想』。今作は劇場版である『涼宮ハルヒの消失』のつづきにあたる話となっている。ゲームを存分に楽しむには、『涼宮ハルヒの憂鬱』、『涼宮ハルヒの消失』、それ以前に原作も観ておいた方がより楽しめるが、今作はにわかユーザーにもオススメしたい作品だ。
基本的には主人公キョンが北高祭の48時間を幾度も繰り返すアドベンチャーゲームなのだが、ただの一本道となっている訳ではない。並列世界がいくつも存在し行動によりどのルートにたどり着くのかが決まってくる。舞台となるのは北高の文化祭2日間。つまり48時間という空間内に閉じ込められてしまう。その北高文化祭を舞台に幾度も繰り返すことにより、状況を変化させるのが目的だ。2日が終われば基本的に1日目の朝に戻されてしまう。
しかし次回以降は状況が大きく変わっている個所が多々あるのがこのゲームの特徴。例えば当初は赤の他人だった涼宮ハルヒもあるアイテムを手に入れる事により、次回やり直した際は知り合いという定で始まる。これはこっちにとって好都合。今度はハルヒを使いほかの人物まで囲いこんでしまえばいい。
一度入手したアイテムはなくなる事がなく、それが重要なキーとなる。アイテムがないと、正常な世界に戻せないのはもちろんだ。
こういったゲームにお約束として存在するのがルートマップ。この『涼宮ハルヒの追想』でももちろんルートマップが存在し現在どの時間軸を通っているのかが把握出来る。また既に通ったルート、直近の通った道なども把握することができるほか、分岐点、アイテム回収点などもわかる。
このルートマップの際に大いに活用できるのが、「次元ブックマーカー」だ。次元軸にブックマークすることによりいつでもその時間軸に戻ることが可能となる。次元ブックマーカーの数は限られていくがシナリオを薦めていくと数も増えていく。
基本的な流れはアドベンチャーパートにてルートを選択し、最終的に重要なアイテムを入手することによりフェイズの終了となり次のフェイズへと進む。次のフェイズでも同じく北高祭の2日間が舞台なのだが、先ほど説明したとおり状況が大きく変わっていることからシナリオも徐々に変わってくる。
またアドベンチャーパートを進めると「S.O.S.II(シームレスオペレーションシステム)」システムが開始される。この「S.O.S.II」はシナリオに影響を与えるシーンで登場し相手の表情を見ながら選択肢を選んでいくことにより正しい道が開かれる。間違えた選択肢を選んでしまうと相手に逃げられてしまうことも……。選択肢は当初は「話題」しか無いが、そこから数多くのキーワードを引きだし選択肢を増やしていこう。意外な物が正解だったりする。
ちなみにこの『S.O.S.II』は前作にあたる『涼宮ハルヒの約束』の『S.O.S.』を進化させたもの。このシステムに入ると最新CGモーフィング技術『モーションポートレート』によりキャラクターが滑らかにうねうね動作する。
またこのゲームのキーマンの一人が朝比奈さん(大)だ。朝比奈みくるの大人バージョンで常にキョンを手助けしてをしてくれ、頻繁に携帯メールでヒントを送ってくれる。また時間の移動も朝比奈さん(大)の力を借りて行っている。少し未来から朝比奈さん(大)は何か知っているようだが「禁則事項」と全てを教えてくれないのだ。
そのほかおまけのミニゲームやスタンプラリーと言ったお楽しみ要素もある。スタンプラリーはおまけ要素である『有希の365んち』でアイテムやイベントと交換が可能。
記者はプレイステーション3版をプレイしたが、PSP版も同様の内容。またセーブデータをプレイステーション3版とPSP版で連動(ペアリング)させることも可能。プレイステーション3のトロフィー以外のデータはPSP版に移行することが可能。
このシステムはエルフの『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO(以下、YU-NO)』というアダルトゲームを思い出すシステムだ。『YU-NO』はアダルトゲーム最高の評価と名高いシステムとシナリオにより当時のユーザーを圧倒した。当時では画期的だったA.D.M.S(アダムス)というシステムに、クリアまでに40時間以上掛かるという膨大さ(ちなみに同作のWikipediaはかなりの力作ということでも話題になっている程。この件は後日紹介)。
今回の『涼宮ハルヒの追想』は『YU-NO』ほど複雑なシステム、シナリオではないが、一本道ノベルゲームに比べると十分にやりごたえあるだろう。ハルヒ好きでなくともお勧めしたい作品だが、ハルヒファンなら尚更お勧めできる同作。ちなみに劇場版も同じように何回も繰り返すシナリオとなっている。SOS団が結成されるかどうかはゲームを進めて行く内にわかるはずだ。
<こんな人にお勧め>
・ハルヒファン。
・平野綾ファン。
・長門ファン。
・朝比奈さん(大)が好きな方。
・時系列探索マニア。
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