スタート間近「マイナンバー制度」で生活はどう変わる?

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スタート間近「マイナンバー制度」で生活はどう変わる?

 いよいよ10月から、各家庭に12桁の数字が書かれたカードが郵送されてきます。この数字は「マイナンバー」といい、日本国民全員に割り振られています。テレビのニュースなどでは見かけたことがあるかもしれませんが、それにより生活がどう変わるのかまでは良くわからないというのが実情ではないでしょうか。

 『マイナンバー国家改造計画 12ケタの番号が日本社会を変える』(梅屋真一郎/著、日経BP/刊)は、1万2000もの会社からマイナンバー制度の解説を依頼されてきた梅屋氏がマイナンバー制度についてゼロから解説した一冊。
 本書では、そもそもマイナンバー制度とは何かということから始まり、マイナンバーによって社会がどう変わっていくかということまで詳しく書かれています。

■マイナンバー制度ってそもそも何?
 マイナンバー制度とは、複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報であるということを確認するための社会基盤です。つまり、ある機関が保有する個人情報Aと別の機関が保有する個人情報Bがあったとして、AとBの2つの情報が共に同じ人物についての情報であるかどうかを確認することを可能にする仕組みだといえます。
 なぜこのような仕組みが必要となったのでしょうか?
 マイナンバー制度実現の大きなきっかけとなったのは、2007年の「消えた年金記録問題」です。納付記録はあるものの、持ち主の分からない5000万件もの年金記録があることが明るみになり、当時の自民党政権を揺るがす大問題になりました。誰のものか分からない宙に浮いた年金情報を過去にさかのぼって照合しようと試みるものの、曖昧な情報しか残っていなかったため確認できないケースが多かったといいます。つまり、曖昧な情報で年金記録を管理していたため、納付された年金がいったい誰の年金なのか分からなくなっていたのです。

 仮にマイナンバーを使って年金記録を管理していたならば、納付された年金とマイナンバーがセットで記録されていたはず。単純な「○○万円の年金振込みがあった」というデータではなく、「○○万円の年金振込みを123456789012番の人から受け取った」という形で年金記録は管理され、年金記録の持ち主が誰かを容易に確認できるようになるわけです。
 このように、マイナンバー制度は税や社会保障についての情報をより正確に管理するために作られた制度です。マイナンバーを照合することによりその人の所得を自治体が正確に把握することが可能となり、生活保護の不正受給や脱税を防ぐことも容易になります。

■じゃあ、マイナンバー制度で生活はどう変わるの?
 では、マイナンバー制度の導入により私たちの生活はどう変わるのでしょうか。おそらく、制度が発足してすぐにはその恩恵を感じられないでしょう。しかし、長期的に見ればマイナンバー制度は私たちの生活を快適にするといいます。
 たとえば、市区町村のサービスを受ける際の手続きの簡略化が考えられます。役所に手続きをするために訪れると、多くの人による行列が出来ていたり、記入しなければならない書類の多さにウンザリさせられることがよくあります。対応する職員も、様々な種類の書類を取り寄せるための事務に追われてしまい、役所のサービス提供までには多くの時間がかかってしまいます。
 しかし、マイナンバーを導入することで、サービスを受けるまでの手続きを電子上で行えるようになり、サービスの受給のために必要である複数の情報の照合を、書類ではなくマイナンバーとセットになったネット上の情報で行えるようになります。その結果、必要となる書類の数は減り、窓口で職員とやりとりをせずとも手続きを完了させることも可能となり、住民サービス受給までにかかる時間や費用が大幅に削減されます。
 また、医療情報をマイナンバーとセットで管理できるようになり、薬の二重投与などを防ぐことが容易になります。過去の診療履歴や手術歴、入院歴などをマイナンバーとセットで管理することにより、新たに病院に行ったときにその情報を参考にした適切な治療を行うことが出来ます。

 マイナンバー制度については、個人情報の流出や管理社会の到来などといった負のイメージが少なからずあります。
 現時点では、マイナンバーを扱うことの出来る機関は主に公的機関に限定されており、民間企業が勝手に私たちの番号を知ることは出来ないようになっています。しかし、今年9月には改正マイナンバー法が成立し、2018年からは銀行の預金口座や健診情報にも任意で適用できるようになりました。将来的にはさらなる法改正がなされるかもしれませんから、どのように番号が扱われていくか注視していく必要があります。
 マイナンバーに対する正しい知識を身につけ、10月からの番号通知、そして来年1月からの運用スタートに備えましょう。
(新刊JP編集部)


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