注目は3Gモデル 最強のキーボードを搭載したAndroid端末『LifeTouch NOTE』製品レビュー
NECが3月に発売した、7型タッチパネル液晶とフルキーボードを組み合わせたAndroid端末『LifeTouch NOTE』。3月に発売されたWi-Fiモデルに加えて、4月には『FOMAハイスピード』による3G接続に対応したモデルも登場する注目製品です。Androidスマートフォンの使い勝手とノートパソコン(PC)の入力のしやすさを両立し、両者の中間となる“スマートブック”と呼ばれるカテゴリーの同製品をお借りして、NECがこだわったキーボードの使い心地を試してみました。
・小型ノートPCを思わせる見た目
はじめに、この『LifeTouch NOTE』のコンセプトを整理しておきます。同製品はAndroidの特徴である長時間駆動、常時起動して持ち歩けること、タッチパネルインタフェース、アプリによるカスタマイズという要件に、使い慣れたノートPCのキー入力のしやすさを両立させる狙いで開発されました。外出先でメールやブログなどの文章を入力することが多いユーザーがターゲット。タブレット端末も大画面で使いやすいですが、タイピングと変換を繰り返す日本語の入力では、ハードウェアキーボードの方が確実に入力が可能。同製品では、スマートフォンとノートPCの中間という性格をバランスよく実現できています。
閉じた状態も開いた状態も、見た目は小型のノートPCそのもの。重量は約699gで、閉じた状態では片手で持ち歩けることから、『VAIO Pシリーズ』のような小型ノートPCと同様のサイズ感になっています。
ディスプレーは7型のタッチパネル。文字入力をせずにAndroid端末として利用するなら、画面のタッチとキーボード右上の画面そばに用意された「メニュー」「ホーム」「戻る」の3ボタンで基本操作が可能です。欲を言えば画面側にも3ボタンがあったら……とは思いますが、机に置いて使う場合はキーボード側にボタンがあるのが正解で、両手持ちで使う場合にも画面とボタンの距離が近いので操作感に問題はありません。
・こだわりのキーボードは打鍵感にも満足
同社がこだわったキーボードを見てみましょう。キーボードはQWERTY配列の81キーで、16.8mmピッチ、キーストロークが1.6mm。ノートPC同様の打鍵感でタイピングできます。開発当初は『Mobile Gear』をクラウド時代に復活させる意気込みだったそうで、“ちゃんとキーボードが使える”モバイル端末を提供してきたNECのこだわりが十分に感じられる仕上がり。
Android特有の「MENU」「検索」「ホーム」「戻る」は、先ほども触れたように右上に固めて配置。
「MENU」キーは「A」の左にも配置されています。カット、コピー、ペーストのショートカット操作がこの「MENU」キーと「X」「C」「V」の組み合わせで可能になり、PC同様に左手だけで操作が可能。この「MENU」キーと「Fn」「Ctrl」キーは、配置を入れ替えることもできます。
矢印キーによるポインタの操作だけでなく、手前中央のポインティングデバイスによりカーソルを操作することもできます。画面操作はタッチ操作が中心になりますが、キー入力しながら画面までタッチするのが面倒な場合や、慣れたノートPCの操作に近いスタイルで操作したい場合に重宝します。
・広い画面と『ATOK』で快適入力
文章入力には、プリインストールされたアプリ『ライフノート』を使ってみました。カメラを起動して画像を添付したり、SNSやブログに直接投稿する機能を持った文書作成アプリですが、なんといっても7型の広い画面を文章入力にそのまま使えるのが最大の特徴。プレスリリースから記事を1本書き起こしてみましたが、ノートPCでテキストエディタを使っているのと、ほとんど使い勝手が変わらないことに驚きます。ソフトウェアキーボードで画面が覆われてしまうタブレット端末ではこうはいきません。
日本語入力システムには『ATOK』を採用。長文の一括変換やユーザー辞書が利用できるだけでなく、キーボードの「F1」から「F10」までのファンクションキーで漢字、ひらがな、カタカナ、半角カナ、全角英字、半角英字の入力切り替えができます。PCでの『ATOK』入力に慣れたユーザーには使いやすい入力環境と言えそうです。
ブログ用途には、フルサイズのSD/SDHCカードスロットが重宝しそう。デジカメで撮影した写真をすぐに取り込んで利用できます。
・Androidの楽しさも味わえる
ノートPCの代替としてではなく、Android端末としても十分に利用できることも大事なポイントです。Android OSのバージョンは2.2。Googleの『Androidマーケット』とNECビッグローブの『andronavi』からアプリをダウンロードでき、『Flash Player 10.1』(レビュー時は10.2のリリース前)にも対応します。プロセッサには1GHz、デュアルコアのNVIDIA『Tegra 250』を搭載し、パフォーマンスも十分。Android端末として満足に利用できる環境と言って間違いないでしょう。
製品発表では、2.2に最適化した設計であるためOSのバージョンアップは予定していないことを明らかにしていますが、現時点では2.2が搭載されていれば十分。ノートPCでもずっと使い続けてOSのバージョンアップをしているユーザーは少ないのでは? スマートフォンでは最新OSへの対応が望ましいですが、こういった特定の用途向けに機能強化した端末では、作り込みによりOSが固定されても十分な使い勝手を発揮すると考えられます。
マルチタッチに対応していないのは少し残念ですが、ブラウザ表示の拡大・縮小はキーボードショートカットの「MENU」+「I」、「MENU」+「O」で操作できます。
縦持ちの可能。縦長のページを見る場合や、電子書籍アプリ、縦画面のアプリなどに対応します。
・本命は3Gモデル?
今回お借りした現行モデルはWi-Fiモデルで、内蔵メモリー8GB+SDHCメモリーカード8GB容量の『NA75W/1A』と、内蔵メモリー2GB+SDメモリーカード2GB容量の『NA70W/1A』の2機種が販売されています。4月下旬には、『FOMAハイスピード』による3G接続に対応し、内蔵メモリー8GB+SDHCメモリーカード8GB容量の『NA75F/1A』が発売予定。
『LifeTouch NOTE』は長時間駆動も特徴のひとつで、2900mAhのバッテリーでウェブサイト閲覧なら最長9時間、動画再生なら最長8時間のバッテリー駆動が可能になっています。最近ではモバイルWi-Fiルーターもバッテリーが大容量化していますが、外で長時間利用したり、常に起動してデータを同期させておきたいというユーザーなら、3Gモデルの方が活躍しそう。別売りの予備バッテリーも組み合わせれば、パワフルなネット接続端末として愛用できそうです。
『LifeTouch NOTE』主な仕様
OS:Android 2.2
プロセッサ:NVIDIA Tegra 250モバイルプロセッサ 1GHz デュアルコア
ディスプレー:7型ワイド液晶 タッチパネル搭載 800×480ドット
データストレージ:内蔵メモリー8GB+SDHCメモリーカード8GB(NA75W/1A、NA75F/1A)、内蔵メモリー2GB+SDメモリーカード2GB(NA70W/1A)
スピーカー:内蔵モノラル(0.5W)
Wi-Fi:IEEE802.11 b/g/n準拠
Bluetooth:Ver 2.1+EDR準拠
3G(NA75W/1Aのみ):FOMA HIGH-SPEED 受信最大7.2Mbps、送信最大5.7Mbps
キーボード:キーピッチ16.8mm、キーストローク1.6mm、QWERTY配列81キー
ポインティングデバイス:確定スイッチ機能付きポインティングデバイス
センサ:GPS、電子コンパス、加速度センサ
カメラ:200万画素
外部インタフェース:miniUSB、3.5mmステレオヘッドホンミニジャック、SD(SDHC)メモリーカードスロット
サイズ:W234×D138×H25mm(突起部除く)
重量:約699g
バッテリー駆動時間:ウェブ閲覧最長約9時間、動画再生最長約8時間
充電時間:約4時間
電源:リチウムイオンバッテリまたはACアダプタ
■関連記事
3月10日発売 フルキーボードとAndroid 2.2を搭載するNECの“スマートブック”『LifeTouch NOTE』駆け足レビュー
ソフトの拡張性がヒットのカギ? Android搭載のユニークなノートPC『dynabook AZ』製品レビュー
NECビッグローブが『andronavi』でAndroidアプリの独自マーケットに本格参入 その意味と可能性は
Android 2.2だからといって『Flash Player 10.1』が動くわけではない
映画『ハリー・ポッター』6本入りHDD製品レビュー DivX形式だからPC・PS3・スマートフォン・タブレットでどこでも鑑賞可能
宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
TwitterID: shnskm
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。