第3回:いか文庫 店主(前編)
あちらこちらの書店やイベント会場で突発的に開店する神出鬼没な「いか文庫」。誰がやっているのか、その目的は何なのか。野望は?
待ち合わせの渋谷のカフェに現れたのは、まったりとした雰囲気の書店員系女子ふたり。ゆったりと和やかな雰囲気の中、インタビューははじまりました。
エア本屋 いか文庫の店主は焼きそば好きの女性!
―そもそも店主はどうやっていか文庫をはじめたのですか。
店主:最初はスポーツメーカーで働いてその後ヴィレッジヴァンガードに勤めたのですが、そこで本を売るって楽しいな、と思いました。そのあとSHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(以下SPBS)に転職したのと同時に自然発生的にいか文庫を始めたのです。
―いか文庫という店名はこの携帯カバーから命名したと聞いたのですか。
店主:本屋を始めるならどんな名前がいいかという話を友達としていて、最初は焼きそばが好きなので、焼きそば文庫がいいかな、と思っていたのですが、この携帯カバーのため「イカの人」とか呼ばれていたので、いか文庫という書店名にしました。
―どうしてスポーツメーカーから書店に転職することにしたのですか。
店主:実家が山形のスポーツ店ということもあり、スポーツメーカーに勤めていたのですが、もともと本とか音楽が大好きで、ヴィレッジヴァンガードも学生時代よく行っていたので、一度働いてみたいと思い転職しました。
書店員って労働条件、待遇が結構きついということは入ってから気がつきました(笑)。
ヴィレッジヴァンガードで本の担当から雑貨の担当になったのを機会に、やっぱり自分は本をやりたいと思い、当時掛け持ちしていたSPBSだけに絞って働くことにしました。
いかフリークのバイトちゃん。
―バイトちゃんとはどうして一緒に活動することになったのですか。
店主:彼女はイカが大好きなのです。あるとき彼女がイカのイラストを描いたブックカバーを雑貨屋さんで販売していたのを私が手に入れて、そのことをツイッターに書いたら、ツイッターで「私が描きました」と連絡がきたのです。それで会おうということになったらメチャメチャ近くに住んでいることがわかり(笑)。会ってその場でスカウトし、いか文庫の活動を一緒にやることになりました。
―バイトちゃんは元々出版関係の仕事だったのですか。
全然違って、当時は金融業界、いまはWeb関係の仕事をしています。もともとイカが大好きで、休みの度にイカの産地に出かけて食べたり、そのうちイカのことを調べるようになり、イカの絵を描き始め、ブックカバーにして売るまでになりました。
新潟出身で子供の頃から美味しいイカ刺しなどを食べて育ったのと、富山県のホタルイカミュージアムに行ったとき、ホタルイカ写真コンテストというのがあり、そこで優秀賞をとったことでますますイカにのめり込んでいきました(笑)。
―店主もやっぱりイカが好きなんですよね。
店主さん:そんなに(笑)。 焼きそばの方が好きです。でも最近は周囲にすっかりイカ好きと思われていて、イカのものをいただいたり、「イカちゃん」と呼ばれたりしていますけど。
バイトちゃん:私はそれをずるいな、と思ってますけど(笑)。
―ですよね。イカ好きじゃないのに(笑)。
いか文庫の伝説の始まりは・・・
―いか文庫の最初の活動はなんだったのですか。
店主さん:最初は新聞作りです。最近の号はかなりプロっぽい作りになってきているのですが、最初の頃は手書きでした。
それを書店員さんの会に持って行って恐る恐る渡したら面白がってくれて、「今度何か面白いことやろうよ。」と言っていただき、書店さんで活動させてもらうようになりました。
―新聞は定期的に発行しているのですか。
フェア毎に出しています。最近だと町田、その前は富山、今度は鳥取で開催するので鳥取号を作っています。
―富山、鳥取とイカに縁のある地域ですね(笑)。フェアはどんなことをするのですか。
店主:主には、テーマを決めて本を選びフェア開催書店さんに仕入れていただき、売場を作ってPOPをつけて販売します。加えて、トートバックなどのオリジナルグッズを作っているので、それも売場に一緒に並べて販売します。あとは読み聞かせ会やシルクスクリーンのワークショップを開催したり。お客さんのニーズに合わせていろいろなイベントも開催しています。
イカ料理と、ダイオウイカのパブリックビューイング。
以前ダイオウイカ話題になったときに、下北沢のヴィレッジヴァンガードさんでフェアを開催しました。またそれと連動してスポーツバーのパブリックビューイングでNHKスペシャルを観ながらイカ料理を食べようという企画も実施しました。これは盛り上がりました。
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