原子力発電所で起こっていることは隠せても放射線は隠せない
今回はstochinaiさんのブログ『5号館のつぶやき』からご寄稿いただきました。
原子力発電所で起こっていることは隠せても放射線は隠せない
原子力発電所から漏れ出る放射性物質は、たとえ“微量”でもすぐに全国あるいは全世界レベルで検出されるようになるので、たとえ地上も空も立ち入り禁止区域になっている発電所で起こっていることがわからなくても、発電所で放射能漏れを伴う深刻な事態が起こった場合にはそれを隠すことはできません。逆に、発電所で起こっていることが発表されないにもかかわらず、全国レベルで観測される放射線レベルの異常があった場合には、逆に発表がためらわれるほどの状況であることがすぐに露呈してしまいます。
おそらく3月21日の未明にそうした事態が起こったのではないかと思われます。ryugo hayano (@hayano) さん*1 が佐々木さん、初田さん、永田さん、早田さんとともに、文科省の発表したデータを見やすくグラフ化してくださいました。
*1 :ryugo hayanoさんのホームページ
http://nucl.phys.s.u-tokyo.ac.jp/hayano/jp/index.html
3月16日に急激な上昇を示した茨城県で、3月21日の未明から検出される放射線量がまた上がっています。テレビなどでは雨が降ると、測定される放射線量が上がることもありますなどと脳天気な“解説”をしていましたが、茨城県の東海村の原子力発電所で放射線量と降雨量が同時に測定されたグラフ *2 が発表されています。(画像は3月21日22時40分のもの)
*2:「東海・東海第二発電所の放射線監視状況(トレンドグラフ)」日本原子力発電株式会社
http://www.japc.co.jp/pis/tokai/trend2.htm
画像が見られない方は下記URLからご覧ください
https://px1img.getnews.jp/img/archives/201103-21-15-c0025115_23036141.jpg
明らかに雨の降る前に放射線量のピークが観測されております。また、青い文字で書かれているように、この線量率「指示値の上昇は、東海第二発電所からの放射性物質等の放出によるものではありません」ということですから、茨城県を襲った放射性物質はどこからかやってきたものです。
それに対する“動かぬ証拠”をつきつけているのが、茨城県東部における放射線測定値変化を示すgifアニメデータです。
「茨城県東部 放射線モニターデータ解析」
http://ag.riken.jp/u/mon/anim.html
※このサイトは、理化学研究所仁科加速器研究センター専任研究員 板橋健太氏が個人的に運営しています。
というわけで板橋さんの力作が3月16日から毎日アップロードされております。そのままのアニメデータは大きすぎて転載できないので、実際にご覧いただけば良いのですが、一部引用させていただくことにします。
まずは3月21日4時です。北東部に放射線の強い領域が見られ始めます。
そして4時40分です。それが少し南に下がりながら、東部海岸沿いにかなり強い領域を形成します。
そして5時20分、放射線の強い領域が南方向へと移動していきます。
東海村の原書力発電所は茨城県の北東部にありますので、そこを北(福島方面)からやってきた放射性物質を大量に含んだ“空気塊”が南方向へ通り過ぎたのが4時ちょっと過ぎということで、上のグラフとこのアニメのデータが完全に一致していることがわかります。
これでは、その直前に福島原発で何かが起こったと考えない方がよほど不自然です。
3月21日午後4時10分に撮影された3号機の様子(東京電力提供)は、なんだか見る度に崩れ方が激しくなっているように思えてなりません。
東京電力だけがいろいろと隠し事をしているわけではないようにも思えます。保安院や政府も結託して、我々一般国民にさまざまなデータ隠しをしようとしているように思えてならないことが多いのですが、こと放射線に関しては測定器が広く行き渡っていることもありますし、積極的に自ら集めたデータを公開する科学者もどんどん増えてきている昨今ですので、どんなに隠してもほとんどのことは数時間から遅くとも数日のうちには暴かれてしまいます。
ここは姑息(こそく)な隠し立てをすることなく、すべてのデータを迅速に公開し、国民が一致団結してことに臨むというのが唯一の正しい対処方だと思います。早速、明日の朝から姿勢を変えていただきたく思います。
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執筆: この記事はstochinaiさんのブログ『5号館のつぶやき』からご寄稿いただきました。
文責: ガジェット通信
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