水出し紅茶の美味しい作り方
映画監督・伊丹十三のエッセイに、紅茶にまつわる次のような一節があります。
「イギリス人というのは実によくお茶を飲む。ものの本によれば、イギリス人は朝起きた時まず一杯、朝食をとりながら一杯、朝食のあとで一杯、会社へついて一杯、十時のお茶の時間に一杯、昼食の時に一杯、会社へ帰ってきて一杯、三時のお茶の時間に一杯、五時のほんとうのお茶の時間に一杯、晩めし前に一杯、晩めしが終って一杯、今日は天気がいいというので一杯、雨だというので一杯、おいしいクッキーがあるから一杯、なんにもないから一杯、仕事が早く終ったから一杯、仕事が長びいたから一杯、その他あらゆる理由で一杯飲む」(『女たちよ!』「イギリス人の驚き」)
伊丹はイギリス人の紅茶好きを、このように表現しましたが、日本人もなかなかもの。実際、1874年に大久保利通が「紅茶製法布達案並びに製茶法」を各府県に布達し、紅茶開発がはじまって以来、紅茶は広く親しまれる存在となっています。
本書『厳選紅茶手帖』では、紅茶ができるまでの過程や、産地別それぞれの茶葉の特徴の紹介、そして茶器やおいしい紅茶のいれ方まで、紅茶に関する知識が一通り把握できるようになっています。
ホットで飲む紅茶もいいですが、これからますます暑くなってくる季節には、アイスティーもまたいいものです。そこで、本書がオススメしているおいしいアイスティーのいれ方は、「水出しクールティー」。
冷水を使った低温抽出は、アミノ酸などの旨味成分がじっくり抽出されるため、独特の甘いお茶に。温かい紅茶とは抽出された成分バランスが異なり、また違った味わいを楽しむことができるのだといいます。
茶葉7.5g、または同量のティーバッグ、冷水500mlを用意したならば、作り方は以下の通り。
「冷蔵庫で冷やせる蓋付きの容器に、分量の茶葉と冷水を入れ、冷蔵庫で7〜8時間冷やす。常温の場合は4時間が目安。ただし、冷たい水で時間をかけた方が独特の甘さと複雑な味が引き出せる。飲む時はそのまま氷抜きで」(本書より)
また、紅茶をいれる時に使用する水ですが、日本の水道水である軟水(水1L当たりに含まれるミネラルが少ない水)は、紅茶の香りや味を引き出すことができ、紅茶をいれるには適しているそうです。
一方、ヨーロッパのミネラルの多い硬水だと、ミネラルとタンニンが結合してしまい、不溶化して油膜ができ、妙な酸味が出てしまうといいます。英国でおなじみの飲み方、ミルクティーは、硬水でもおいしく紅茶を飲む工夫なのだそうです。みなさんも本書を参考に、思い思いに紅茶を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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