どこに寄付をしたら どこにお金が行くのか

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It's Real Intelligence! 7

今回は入谷聡さんのブログ『It’s Real Intelligence! 7』からご寄稿いただきました。

どこに寄付をしたら どこにお金が行くのか
震災被災者を支援するための寄付先に迷ったので、どこに寄付したら、最終的にどこにお金が行くのか、少し調べてみました。
(諸々の数字は、2011/3/17 記事公開時の数値です。数値、情報ともに更新の可能性があります。最新情報は下記の元記事、およびリンク先をご確認ください)

どこに寄付をしたら、どこにお金が行くのか『It’s Real Intelligence! 7』
http://irritantis.info/archives/652

●大口の窓口としての、日本赤十字社
「日本赤十字社(通称:赤十字、日赤)を通じて」という表記をよく見かけませんか?
グルーポンのマッチングギフト方式の寄付1.7億円や、ユニクロと柳井さんの14億円は、日本赤十字社を通じて、被災地に送られる“義援金”となります。
他にも、『Yahoo!』(4億円拠出済み!)、『mixi』、『GREE』、『はてな』、『ニフティ』、『DMM』、『ローソン』、『楽天銀行』など、一般向けに募集されている義援金は、かなり多くのケースで、日本赤十字社に一旦集約する形になるようです(寄付控除対象ともなり、様々な手続きでやりやすい面があるのかも……)。

日本赤十字社ウェブサイト

写真:日本赤十字社のウェブサイトより

さて、その赤十字に行ったお金はどうなるのか?
その使途は、“義援金配分委員会”なる組織が決めていくことになるそうです。

通常、義援金配分委員会の構成員は、学識経験者、被災者代表、義援金交付団体、福祉団体代表。そして、配分先は、“被災市町村”を通じ、被害の度合いに応じて“被災者(世帯)”に個別に振り込まれる枠組みになっているようです(詳細、間違いや誤解あるかもしれません)。今回は、“市町村”という自治体機能が失われているところもあり、配分結果については注意深く見守っていきたいです。

参考1)中越沖地震の際の義援金配分委員会設置要綱
新潟県中越沖地震義援金配分委員会の設置について『新潟県』
http://www.pref.niigata.lg.jp/shinsaifukkoushien/1194192986760.html

参考2)平成20年宮城内陸地震の際の配分結果。個人単位の単価が出ています。
「宮城県災害義援金募集配分委員会」において決定された内容について『宮城県』
http://www.pref.miyagi.jp/hohuku/07saigai/haibunkekka.pdf

赤十字本体の活動としては、60班を超える「救護班(医師1・看護師3・運転手1・事務管理要員2)」の派遣と、救援物資として9万枚を超える“毛布”の支給を行っています。現状の活動報告を見る限り、いわゆる避難所への食料や生活物資を届ける活動はおそらく別の枠組みと思います。

こうした“赤十字の先”については、私も赤十字の公式サイトをよく読むまで全然知らなかったので、寄付する際は知っておくとよいかと思います。

●現地で活躍する人道支援NGO
最も“現場”に近いかもしれない寄付先は、現地に入って活動している人道支援NGOです。海外の緊急人道支援で経験を積んでいる、有名なNGOが続々と現地入りし、初動の調査や支援物資の分配などにあたっています。
NGOは団体によって、拠点や主たる活動地域が異なっているようです。
Civic Force *1(ピースウィンズ・ジャパンの大西健丞氏が代表)は、気仙沼市。
JEN *2 とADRA Japan *3は、仙台市。避難所人口の多い宮城野区、若林区を中心に。ADRAは、東松島にも。
NICCO(日本国際民間協力会) *4 は、名取市・岩沼市。
シェア(国際保健協力市民の会) *5 やロシナンテス *6 も、名取市を拠点に。
AAR(難民を助ける会) *7 は、仙台市・石巻市・山元町。
ワールド・ビジョン・ジャパン *8 は、宮城県登米市・南三陸町。
シャンティ国際ボランティア会 *9 は、陸前高田市。(気仙沼・南三陸にも)
AMDA(アムダ) *10 は、釜石市・大槌町。釜石にはCARE International *11 も入っています。
シャプラニール *12 は、北茨城市。茨城への救援は数少ないです。
 *1:Civic Force
  http://civic-force.org/
 *2:特定非営利活動法人JEN(ジェン)
  http://www.jen-npo.org/
 *3:ADRA Japan
  http://www.adrajpn.org/
 *4:公益社団法人 日本国際民間協力会NICCO
  http://www.kyoto-nicco.org/
 *5:特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会
  http://share.or.jp/
 *6:NPO法人ロシナンテス
  http://www.rocinantes.org/
 *7:認定NPO法人AAR(難民を助ける会)
  http://www.aarjapan.gr.jp/
 *8:特定非営利活動法人 ワールド・ビジョン・ジャパン
  http://www.worldvision.jp/
 *9:公益社団法人シャンティ国際ボランティア会
  http://sva.or.jp/
 *10:特定非営利活動法人AMDA(アムダ)
  http://amda.or.jp/
 *11:公益財団法人CARE International(ケア・インターナショナル ジャパン)
  http://www.careintjp.org/
 *12:特定非営利活動法人 シャプラニール=市民による海外協力の会
  http://www.shaplaneer.org/news/2011/03/earthquake-tsunami.html

こうした地域の割り振りは、どこかがコーディネートしているのでしょうか? いずれにせよ、各団体の公式サイトを見れば、数日遅れで活動レポートがアップされています。

知人や家族の縁があったり、仕事の付き合いがあったりで、特定の地域に特に寄付をしたい…というときは、こうした活動地域を見ながら、最も近い地域で活動を行なっているNGOに寄付を行うのがよいかもしれません。それぞれの文脈に沿った寄付であればあるほど、寄付する側の動機付けになると思います。
主だったNGOのtwitterアカウントは、友人 @kasagohan がリストにまとめてくれています *13 。
 *13:@kasagohan(笠原由晶さん)のリストrelief-ngos-list『Twitter』
  http://twitter.com/#!/list/kasagohan/relief-ngos-list

●複数のNGOに振り分けを行う“基金”
3/15に立ち上がった、Think the Earth基金 *14 は、上記のような活動中のNGOへの寄付を、一旦Think the Earth事務局が取りまとめ、複数の団体に振り分けていくという枠組みです。
 *14:東北関東大地震 「Think the Earth基金」を始めました『Think the Earthプロジェクト』
  http://www.thinktheearth.net/jp/info/2011/03/-think-the-earth.html

赤十字ほど大口の枠組みではなく、個別の団体を選ぶだけの理由はない、という方には、ぴったりの方法かもしれません。救援活動への直接的な支援をバランスよく行える点で、個人的にはThink the Earth基金を最も支持しています。投資信託と形式が似ていますね。Think the Earth基金は基金側の手数料なし(振込手数料のみ寄付者負担)で、全額寄付されます!(thanks to @thinktheearth *15 )
 *15:@thinktheearth(Think the Earth)の『Twitter』
  http://twitter.com/#!/thinktheearth

Think the Earth

図:Think the Earthウェブサイトより

また、複数団体が加盟するジャパン・プラットフォーム(JPF) *16 も、枠組みとしては近いかもしれません。こちらは振込手数料無料。JPFのサイトからは、どの加盟団体が、どこで、どのような活動をしているかの報告を見ることができます。(14日分までですが、「出動中(自己資金)」の団体がいくつもある…)
 *16:東北太平洋沖地震被災者支援・情報『ジャパン・プラットフォーム(JPF)』
  http://www.japanplatform.org/area_works/tohoku/index.html
*JANIC(国際協力NGOセンター)も「緊急支援まとめて募金」を行っていますが、こちらは加盟22団体に“均等割”であること、運営手数料を15%差し引かれることから、個人的にはThink the EarthやJPFの方がより効果的かと考えています。

その他の特徴的な寄付プラットフォーム
外国からの寄付や、クレジットカード決済で支援金を届けたい場合、Global Giving *17 の被災地支援プロジェクトをおすすめします。Global Givingの共同創設者の一人は、世界銀行出身の日本人。既に2万人以上の寄付者が、合計150万ドルを超える寄付を行っています(目標額は当初の80万ドルから200万ドルへ、そして今は400万ドルへと引き上げられています)。
 *17:Japan Earthquake and Tsunami Relief Fund『Global Giving』
  http://www.globalgiving.org/projects/japan-earthquake-tsunami-relief/

Global Giving

図:Global Givingウェブサイトより

最小単位25ドルから1,000ドルまで、キリのいい数字を選んで寄付できるのもポイント。クレジットカードやpaypal経由で簡単に決済ができます。Global Givingの主な支援先は、国際人道支援団体インターナショナルメディカルコープと、セーブ・ザ・チルドレン。

そして、ガソリンを始め、粉ミルクや紙おむつなど、そもそもモノがない状況に問題意識を感じている方は、日本ユニバーサルデザイン研究機構(通称:ユニバ) *18 への寄付を考えてみてください。ユニバへの寄付は、ガソリン、灯油、重油、軽油などの緊急物資調達に直接使われるとされています。ユニバはちよだプラットフォームを拠点に、個人からの救援物資の募集も行っています。(「生死を分けるアイテム」「枯渇しているアイテム」に限られます。詳細は最新のウェブサイト *18 を参照ください)
 *18:内閣府認証特定非営利活動法人日本ユニバーサルデザイン研究機構
  http://www.npo-uniken.org/

*   *   *   *   *

以上、深掘りすればもっといろいろ出てきそうですが、今わかったところまで。
各団体の支援活動や政府の復興への取り組みについては、被害情報や原発の話で埋もれてしまいがちな中、少しアンテナの感度を高めて追いかけていきたいと思います。

執筆: この記事は入谷聡さんのブログ『It’s Real Intelligence! 7』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信


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