映画のロケ地から読み解く、パリの魅力
文学、絵画、ファッション……多くの芸術を生み出してきた街・パリ。同時にパリは、さまざまな映画作品においても、その舞台となってきました。20区のエリアからなるパリの街ですが、区によってそれぞれに異なる魅力があるのだと、『映画で歩くパリ』の著者で、パリ在住の文化ジャーナリスト・佐藤久理子さんはいいます。
「中心から、右回りのエスカルゴ状に20区のエリアに分かれているパリの街は、区によって、人も、街の景色も、カルチャーすらも異なる。隣同士なのに、どうしてこうも雰囲気が違うのか、という地域すらある。だからこそ、さまざまな味をもった作品が生まれるのだろう」(本書より)
本書では、それぞれの区の如何なる風景が、どのような映画の舞台となってきたのかを辿りながら、パリの街のもつ魅力に迫っていきます。
まず、ルーヴル美術館などもあり、パリ観光のスタート地点となる1区は、映画の舞台としても人気があるのだそうです。この1区を主な舞台とした代表的な作品としては、ジャン=リュック・ゴダールの『はなればなれに』や、ベルナルド・ベルトルッチの『ドリーマーズ』。また、レオス・カラックスの『ポンヌフの恋人』も1区が舞台。ストーリを一層効果的に魅せる、どの場面を切り取っても絵になるような、ときに幻想的な美しい映像に魅了された方も多いのではないでしょうか。
ルイ・マルの『地下鉄のザジ』にて、田舎からパリに遊びに来た少女ザジが走り回る、パリでもっとも美しいといわれるパッサージュ(古いアーケード)の、ギャラリー・ヴィヴィエンヌのある2区や、エリック・ロメールの『パリのランデブー』で舞台となった3区。
出版社や書店が集まり、40年代末から50年代にかけて実存主義文化とジャズの花開いた中心地である6区は『サガン―悲しみよ こんにちは―』、『サルトルとボーヴォワール哲学と愛』などの舞台に。また同じく6区にある、ジャン=ポール・サルトルやシモーヌ・ド・ボーヴォワールら知識人たちが、かつてたまっていたという2つのカフェ――レ・ドゥ・マゴやカフェ・ド・フロールには、ウェス・アンダーソンやソフィア・コッポラといった現代の映画監督たちも足繁く通っていたそうです。
数々の映画の名シーンを生み出してきた、そのロケ地を通すことで見えてくる、パリの街20区それぞれの魅力とはどのようなものなのでしょうか。豊富な写真や在住者ならではのコラムもまた必見です。
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