Faint★Star 七夕の夜に魅せたガールズ・ポップ新時代の幕開け
7月7日に1stアルバム「PL4E」をリリースしたガール・ポップデュオFaint★Starが同日、渋谷の2.5Dにてリリース・パーティーを開催した。
七夕の夜、19時のオープンと同時に開場を今か今かと待つファンが流れ込み、リリースパーティーともあって、会場はお祝いムードのなごやかな雰囲気に包まれていた。
オープニングはDJ ABOのプレイからスタート。1曲目にはFaint★Star、そして七夕にかけて、美しいピアノとボーカルの「When you wish apon a star」をスピン。ゲストであるカジヒデキと、ホストであるFaint★Starをたたえ、渋谷系からネオ渋谷系への流れを意識した選曲に。小沢健二「ラブリー」、カジヒデキ「エンジェリック・シンフォニー」、TOWA TEI「Luv Connection」をはじめ、バニラビーンズがカバーした「東京は夜の7時」やNegiccoの「圧倒的なスタイル」などが続き、会場の温度は上がっていく。
Faint★Starの2人が登場すると会場から大きな歓声が。この〈Tokyo Sound Collection〉というイベントの特徴は、2人がまるで音楽番組、ショーのMCを務めているかのようなトークパートと、ライブパートに分かれていること。様々なゲストを迎え、イベントタイトルのとおり「サウンドをコレクトしていく」というコンセプトのもと、これまでNegiccoやEspecia、ORESAMA、仮谷せいらをゲストに迎え、リアルタイムでもライブストリーミングし渋谷から「今聴いて欲しい音楽」を世界に発信し続けている。
オープニングトークから「今日が5回目ということでね、今夜はHINA、ダイブしちゃおうと思いまーす!」というHINAの天然ぶりにも勢いが増し、それを優しくサポートするYURIAとのコンビネーションにも磨きがかかっていた。
「今夜もサウンドをコレクトしていきましょう!」「カジヒデキさんのライブになります!」という、YURIAの溌剌とした掛け声のもと、彼女たちの1stアルバム「PL4E」リード曲、「Boyfriend -A.S.A.P-」のリミックスで参加したカジヒデキが登場。カジはサポートにドラマーのつなかわ和行を迎えステージに現れ、歓声が沸き起こる。
1曲目には「ビーチボーイのジャームッシュ」。一気にさわやかな風が吹いているかのような空間に2.5Dが様変わる。間奏では「『あーわっあーわ』と言ってください!」と、フロアに向け繰り返し明るく投げかけ盛り上げていた。
続いて映画「デトロイトメタルシティ」の主題歌である「甘い恋人」。サビでは「最高!超最高です!エビバディ渋谷!Faint★Starアルバムリリースおめでとう!」と祝福のメッセージを放ち、「今日、最後の『甘い』だよ!」と拍車をかけては「甘い、甘い、甘い、甘い」と女性だけでなく、男性の声が響き渡り、「今までで一番男性声の『甘い』でした(笑)」との曲終わりのコメントに、会場からは笑いがあふれた。続いて、HINAがトマパイ時代にライブで共演したことのある、かせきさいだぁが歌詞を手掛けた「灼熱少女」を披露。「シヴィラはある日突然に」も披露された。
「(僕のことを)知らない方もたくさんいると思うんですけど、アウェーだと思っていたんですが優しさに感動している次第です。」「アルバム最高でしたね。「Sleeping In Your Car」もどの曲もいいですね。「フィルム!フィルム!フィルム!」もいいですし
」と、日本のポップ・ミュージックの歴史において重要人物であり、来年でデビュー20周年を迎える大御所でありながらも、こんなにも気さくで温かいトークをし、「今夜は聖地渋谷に帰ってきてすごく嬉しいなと思うんですけど!」との発言には、会場から大歓声が上がった。
「次の曲は真夏のようなFaint★Starさんに贈ります。」と言い「亜熱帯ガール」を。そして「君とサマーと太陽がいっぱい」では巻き起こる大きな手拍子のもとプレイされた。サポートのドラマー・つなかわ和行を紹介し、ラストに「ラ・ブーム ~だってmy boom is me~」で締めくくり、割れるような拍手の中、圧巻のステージを終えた。「私の中では歴史上の人物という認識です。」とその偉大さを形容するほど、今回のカジによるリミックス参加とライブ出演に心から感謝している様子のYURIA。「今日、HINAたちも半ズボンはいてきたんです。」とHINAが言うと、カジも会場も大きな笑いを誘った。
いよいよFaint⋆Starのライヴ。1曲目は「Hurly-Burly」。この楽曲はアルバムの1曲目でもある曲で、実はトマパイのシングル候補曲だった曲と言われているが、歌詞には「シーズン2 開演の合図」というフレーズが入っていたり、まさにFaint★Starのための楽曲として新たに生まれ変わった1曲だ。YURIAの「さあ一緒にみんなで歌いましょう!」という掛け声のもと、2曲目にはFaint⋆Starが結成し、初めてレコーディングされた楽曲「Sleeping in your car」が。会場3面の壁にプロジェクターで映しだされるこの曲のMVをバックに、スウェディッシュでアッパーなギターポップ風サウンドが響く。
2曲続けて終わると2人のトークパートがスタート。Faint★Star のライブでは恒例となっているらしい、HINAの今日のライブへの意気込みをYURIAが尋ねると、「天の川の気持ちでがんばりたいと思います!」と返すHINA。テンポ感のいい軽妙なトークが途切れることなく続いていく。そして「七夕の夜を素敵な夜にしましょう!」というYURIAの掛け声に続いては、20万人規模の世界最大級のインドネシアのフェスにて初披露された「Lips!!」だ。「Sleeping in your car」から一転、重厚でアッパーなビートとソリッドなギターの音色が特徴的なサウンドのこの「Lips!!」。一度耳にしたら離れないサビのリズミックなメロディに、オーディエンスの表情からは笑みがもれたり、会場は一気に興奮の渦に。
続く「Boyfriend -A.S.A.P-」。天の川をイメージしたかのような星がきらめくVJ 演出のもと、2人はパフォーマンスでも魅せる。「Boyfriend -A.S.A.P-」はメロディはドPOPな渋谷系、トラックはEDM風というバランスで成り立っている、まさにFaint★Starを1曲でまとめて表現したような曲だ。そこからまた、Faint★Starサウンドの渋谷系側を代表する曲「フィルム!フィルム!フィルム!」へ。2人は肩にアルバム「PL4E」のタオルをかけ、サビではオーディエンスが振りに合わせタオルを一緒に回した。ホーンの音色とローファイなバンドサウンドとメロディに、MVや歌詞の中にも様々なオマージュが散りばめられているのを感じさせる、とにかく素晴らしい1曲。
トークパートを挟み、YURIAが「(初めて披露するので)一番緊張するパートですが・・・」と言いながら、「Spilt Milk」と「今夜はRIDE ON TIME」を披露。確かに、今までのFaint★Starにはなかった表情の楽曲だ。そして「今夜はRIDE ON TIME」。美しいイントロから始まる、ミディアムテンポで切ないこの美メロ曲のサビでは、「ブギーバック」「ライド・オン・タイム」というフレーズが。一転して、ここからアッパーな曲のパートに突入。1st Singleである「koboreteshimattamizunoyouni」。2人はMVをバックに切ない歌詞を歌い上げていく。シンセ音のインパクトに、キック、ベース音、そして美しいメロディ。まさにFaint★Starの特徴がぎゅっと凝縮されたような楽曲構造となっている。そして間奏で現れるピアノの旋律により、一気にオリエンタルな雰囲気へと変わる、この飽きさせない展開もまた最高な1曲だった。続く「レ・ミ・ラ」 でもMVを背に、この曲で初めて取り入れたというヴォーギングのパフォーマンスで観客を魅了していく。ギターのリフと重厚なキック&ベースが特徴的なサウンドで、90年代へのオマージュが散りばめられた1曲だ。
そして、このパートのラストを締めくくる「メナイ」「ス ラ イ」。今のFaint★StarのEDM系サウンドの代表曲とされるこの2曲を、2人は激しい色彩のVJの中で歌い上げ、ピークに向かってビルドアップしていくサウンドで、会場のテンションは最高潮に達した。ストリーミングでライブを見ている視聴者からも、「やばい!」「スライ最高!!」というコメントが多数SNS上にアップされていた。
最後のパートに突入する前に、2人からアルバムリリースまでのFaint★Starの活動を振り返っての思いを伝える、印象的なトークが。トマパイ時代から、感情を表に出すような印象があまりなかったHINAだが、話すうちに感極まり、言葉をつまらせながら涙ながらにトマパイ散会後からの心境を語り、それに対してYURIAも涙する2人の姿をあった。これはアルバム発表までの1年間で、2人の関係性・結びつきがより強固になっていることがうかがえた一部分だった。その際YURIAからは「ここからがFaint★Starの始まりです!」と心強いコメントを言うと、ファンからは大歓声が起こった。
「それでは、みなさんラスト2曲です。まだまだ盛り上がってくれますよね?」「まだ元気ありますよね?!」「それでは、ラスト2曲、一緒に楽しましょう!」という、溌剌とした元気な掛け声のもと、ラストパートに突入。ポストDISCO世代のダンス・ナンバーのようなグルーヴとホーン・アレンジが実に気持ちいい、Faint★Starのライブ定番曲「Tip Tap」 。2人の振りに合わせ、オーディエンスも踊り、会場はしあわせな雰囲気に包まれていく。そしてラストには、ウキウキするようなメロディと渋谷系アッパーなギターポップサウンドがたまらない人気曲「スーパー・サマー・ワンダー」。まるで、日本のガールズ・ポップ史上に残す夏曲というコンセプトのもと作られたかのような、普遍性を感じさせる名曲でライヴを締めくくった。
ガールズ・ポップ史に乗り込んできた超新星デュオ。いよいよガールズ・ポップの第二章のはじまりを予感させる、早くも「伝説」という声があがるリリースパーティーだった。『スターゲイザー』(Faint★Starのファンの総称。略して『ゲイザー』。星を見つめる人。)は確実に、世界中で増えていくことだろう。(オフィシャル・レポート)
・Faint⋆Star『PL4E (Extended Version)』OTOTOY配信ページ
http://ototoy.jp/_/default/p/53591
1stアルバム『PL4E』リリース記念
〈Faint⋆Star × 2.5D Tokyo Sound Collection vol.5〉
2015年7月7日(火)2.5D
OPEN 19:00 START 19:30
出演:Faint★Star
ゲスト:カジヒデキ / DJ ABO
●カジヒデキ セットリスト
1.「ビーチボーイのジャームッシュ」
2.「甘い恋人」
3.「灼熱少女」
4.「シヴィラはある日突然に」
5.「亜熱帯ガール」
6.「君とサマーと太陽がいっぱい」
7.「ラ・ブーム 〜だってmy boom is me〜」
●Faint⋆Star セットリスト
1.「Hurly-Burly」
2.「Sleeping in your car」
3. 「Lips!!」
4. 「Boyfriend ‒A.S.A.P-」
5. 「フィルム!フィルム!フィルム!」
6.「Spilt Milk」
7. 「今夜はRIDE ON TIME」
8. 「koboreteshimattamizunoyouni」
9.「レ・ミ・ラ」
10. 「エレクトロニックフラッシュ」
11. 「ス ラ イ」
12. 「メナイ」
13「Tip Tap」
14.「スーパー・サマー・ワンダー」
photo:ikko murakami
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