【犬】オヤツの食べ方で解る信頼関係

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 FOOD GUARDING(フードガーディング)という言葉をご存知でしょうか。これは犬が持つ、自分の食べ物を他者に奪われないようにするための習性です。野生の世界で生きていれば、自分の食べ物を奪われる可能性は多くあります。なので犬は自分の食べ物は自分で守るという習性があります。野生の頃に身についたこの習性を、犬は今もなお色濃く残しています。具体的には、食べている最中に他者が近づいたり、食べ物を掴んで奪おうとしたりすると、犬が唸ったり、攻撃したり、食べ物を持ったまま逃げる、というのがこのフードガーディングでの主な行動です。しかし、愛犬と飼主の間に信頼関係があれば、このフードガーディングでの行動は見せなくなります。もし、愛犬がフードガーディングをするようなら信頼関係を強化したほうが良いかもしれません。

フードガーディングのテストを行なう

※フードガーディングが強い犬は噛まれるなどの恐れがあります。充分に注意と覚悟をしてから行ってください。
 愛犬がオヤツを食べている最中に、近づいてみます。近づいた時に愛犬が移動したり、そっぽを向くようなら、愛犬は「あ、ヤバイ。オヤツが狙われている」と感じています。一方で飼主が近づいても、愛犬は気にせずにオヤツを食べているようなら、今度は食べているオヤツに触れてみます。オヤツに触れても犬が食べ続けているようなら心配はいりません。愛犬は「飼主がオヤツに触ってるけど、奪い取ろうとはしていないだろう」と感じているはずです。奪われる心配をしていないのでガードする必要もないというわけです。反対に愛犬が「飼主はオヤツを奪おうとしているに違いない!」と感じていたら、間違いなく、オヤツを持って逃げるか、唸って威嚇するか、直接攻撃してきます。

フードガーディングの対処

 もし愛犬がフードガーディングをするようなら、オヤツを与える時の作法に気をつけます。長いオヤツ(画像のオヤツは馬のアキレス腱のジャーキー)を用意して、オヤツを持ったまま犬に食べさせます。オヤツの先端を犬に齧らせるようにします。犬は飼主がオヤツから手を離さないことに不安がって慎重に食べる仕草を見せます。犬が少しでもオヤツを齧ったら「いい子」と褒めて自信を与えます。そのうちに慣れてきてムシャムシャと齧るようになります。飼主はオヤツを持ったまま食べさせ続けます。オヤツが残り少なくなり、持てなくなる限界までオヤツを離さないようにします。限界まできたら手を離して食べさせます。これを数回繰り返すと、犬は飼主が手を離さない事に慣れて安心して食べれるようになります。この対処を行なっている期間中は、この方法でのみオヤツを食べさせるようにします。

ちょっとしたコツ

 飼主のオヤツを持つ手は動かさずに固定しましょう。犬が食べやすい体勢・位置に合わせて手の位置を固定します。あまり動かし過ぎると犬は「オヤツを奪おうとしているに違いない」と感じて警戒心を煽ってしまいます。TOP画像のような位置で手を固定して犬に食べさせます。

レベルアップ

 飼主がオヤツを持ったままで、犬がオヤツを食べれるようになったら、今度は食べている途中で「離して」と声をかけてオヤツを取り上げます。最初は中々離そうとしないので引っ張り合いになるかもしれません。犬がオヤツを噛んでいる時の口の動きに注意します。犬の口が開いた瞬間に「離して」と声をかけ、犬の口からスッとオヤツを抜くようにします。すると簡単にオヤツを奪うことができます。犬がオヤツを離した直後に「ヨシ」と声をかけて、オヤツを与えます(この時もオヤツから手を離さない)。これを数回繰り返すことで、犬は「オヤツを取られても、必ず直ぐに戻ってくる」と学習できます。さらに定着すれば、飼主が「離して」と言ったら、直ぐに犬は自主的にオヤツを飼主に渡すようになります。

奪われる心配がなければフードガーディングはなくなる

 犬が“飼主がオヤツを奪う存在ではない”と理解すれば、フードガーディングはしなくなります。フードガーディングをする犬は家の中での食事やオヤツを食べる時に、少なからず警戒している状態です。これは不要なストレスでしょう。愛犬にはリラックスして食事を楽しんでもらいたいものです。そのためには飼主との信頼関係がなければなりません。犬にとって飼主の存在が”与えるヒト”となっていれば、愛犬は余計な心配をせずに、リラックスして食事を楽しめるようになります。こうしたフードガーディングのテストや対処を行なうことで、愛犬がより穏やかに暮らすことにも一役買います。
 また、ヒトの手を怖がる素振り(ハンドシャイ)を見せる犬のリハビリにも、この方法は有効です。ヒトの手とオヤツを食べるという行為を結びつける事で、ヒトの手に対する恐怖心を和らげる事ができます。
 テストの際は充分に気をつけて行ってください。もし不安を感じたら、ドッグトレーナーやビヘイビアリストに相談してみましょう。

TOP画像は著者が撮影したもの。

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(執筆者: MASSAORI TANAKA) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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