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「引用」で許される範囲は? ゲーム実況はどこまでOK!? 福井健策弁護士に教わる著作権

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各ネットサイトはもちろん、ブログや『Twitter』『Facebook』といったSNS、『YouTube』や『ニコニコ動画』のような動画投稿サイト、『Instagram』のような画像投稿サービス……あらゆるコンテンツに関わってくる著作権。最近では、「自分が投稿した画像が勝手に使われた!」といった問題や、「この動画を自分のサイトで紹介したいけれどどこまでがOKなの?」といったことで迷うことが増えているのではないでしょうか。

そういった著作権にまつわる疑問に対して、フリーライターで『日本独立作家同盟』理事長の鷹野凌氏が、福井健策弁護士に聞いた『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(インプレス)を刊行。それを記念したセミナー『クリエイター以外も知っておくべき権利や法律の話』が2015年5月18日にデジタルハリウッド大学大学院駿河台キャンパスで開催されました。

『著作権のことをきちんと知りたい人のための本』では、そもそも著作権が「自分の作品がどのように利用されるのか決定できる権利」であり、さらに踏み込んで「著作権を利用すればお金を手に入れることが可能です」と登場する“先生”が言及しているほか、クリエイターが作品を発表する際に気をつけることや、作品がパクられた時にどうすべきかなど、網羅的にわかりやすく解説されています。

「引用」が許される条件は?

セミナーでは、鷹野氏と福井弁護士が登壇して、「イベントの写真をブログに掲載して、バイラルメディアに無断で写真を使われてしまった。写真の下には小さく出典の表記やリンクがある。法的にはどのような問題があるか」という例について解説。
画像がネットで転載をする時には、コピーされているのか、リンクに過ぎないのかのどちらかなのかで違ってきて、コピーされている場合には複製権や公衆送信権の侵害になるといい、画像を埋め込んでリンクをしている場合は「場所を教えているだけでは著作権侵害にならない」と説明します。 
また、著作権法第30条の「私的複製」や第32条の「引用」における例外規定についても説明。「引用」には許可がいらず、それが認められるには、主従関係がはっきりとしていて「その画像などの引用される側が説明の補助的なものに留まる必要がある」といい、画像に一文だけで紹介するような「たいていのバイラルメディアはダメですね」と語りました。

SNSの埋め込みは利用規約でOK

最近ではニュースサイトでも増えている『Twitter』や『Facebook』などの埋め込み。どちらも、公式機能の外部サイトへの埋め込み機能を使えば、他人の投稿であっても誰でもサイトで利用できる利用規約になっているために「問題のない行為」だと解説。福井弁護士は「自分が使っているサービスの規約を一回くらいは読んだ方がいいが、読んで理解してもユーザーができることはサービスをやめることかどうかということくらい」と語り、インターネットユーザーによるサービス提供企業を監視する団体の重要性に触れています。

「ゲーム実況」の著作権的な扱いは?

セミナー後、せっかくの機会なので、福井弁護士に「ゲーム実況」に関する著作権法での扱いについて質問してみました。まず、プレイ中のゲーム画面は誰の著作物なのでしょう?

「一番あり得るのはゲームメーカー単独の著作物であるということ。プレイ行為というインプットによって変化するというもの(プログラム)を作ったのはゲームメーカーです。例えば、想定していないようなプレイを編み出したということであれば、ひょっとするとゲームプレーヤーとの共同著作物、というものもあり得るけれど、やや可能性は低いです」

では、プレイ中のプレーヤーの様子が副画面に映されているなど、編集が介在される場合はどうなるのでしょう?

「ただ正面からゲーム画面を撮っているだけだと、撮影に独自の工夫がないから創作性がないので、独自の著作物ではないということになり、ゲーム画面を複製しただけの映像ということになります。しかし、そこにプレーヤーの表情が入ったり面白い発言を含めた動画となると、ゲーム自体も著作物だけど、プレイしている様子という、新しい著作物が生まれるわけです。その著作者は撮影者や全体の構成を決めている人になります」

著作物であるゲーム画面を含んだ、「ゲーム実況」という著作物をアップする人、というなんともややこしい状況。もちろん自分自身の映像や編集したものに関しては自分で決めていいわけですが、ゲーム画面によっては「メーカーによって対応が違ってきています」といいます。
実際、任天堂は『YouTube』での映像の公開を「不適切なもの」を除き正式に許諾しており、『ニコニコ動画』でも250本以上のタイトルのプレイ動画配信や二次創作を公認して、クリエイター奨励プログラムの奨励金受け取りにも対応しています。

「これまでは権利侵害として扱われていたことが多いが、“中継されることで何の損害があるのか? むしろ嬉しいことなのではないか”となって、著作権は収益確保の手段とするならば、”ゲーム実況動画が伸びることを止める理由がないよね”となり、任天堂のような先端的な例も含めてだいぶ普及してきました」

広い意味での「二次創作」にあたる「ゲーム実況」。メーカーやタイトルによっても扱いが違っていることもあり、動画の投稿や生放送の前に一回確認してみる必要がありそう。ちなみに『ニコニコ大百科』の「プレイ動画」の項目に、「公式の規約・言及がある作品リスト」がまとめられています。いずれにしても、何かをウェブにアップする行為をしたということが「クリエイター」であって「著作者」であるという意識を、誰もが持つべき時代になったのは間違いないでしょう。

プレイ動画とは (ニコニコ大百科)
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4%E5%8B%95%E7%94%BB [リンク]

なお、2015年6月19日には、下北沢B&Bで鷹野氏と福井弁護士が登壇するイベント「『出版』にまつわる権利や法律もきちんと知りたい!」が開催予定。自分の作品がパクられていないか、知らず知らずのうちに権利を侵害していないか、気になる人は参加を検討してみてはいかがでしょうか。

鷹野凌×福井健策「『出版』にまつわる権利や法律もきちんと知りたい!」(B&B)
http://bookandbeer.com/blog/event/20150619_bt/ [リンク]

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記者:

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

ウェブサイト: http://yaplog.jp/parsleymood/

TwitterID: parsleymood

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