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“デキ婚”のリアルとは!? 映画『グッド・ストライプス』菊池亜希子&岨手由貴子監督インタビュー

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マイペースな文化系女子と、優柔不断なおぼっちゃま草食男子のマンネリカップルが、妊娠を機に結婚式に至るまでを描いた映画『グッド・ストライプス』が、2015年5月30日より新宿武蔵野館などで公開となります。
主演の緑を演じたのは、女優・モデル、そして自ら編集長を務める本『菊池亜希子ムック マッシュ』(小学館)を刊行して、そのセンスとライフスタイルに支持が集まっている菊池亜希子さん。相手役の真生にはNHK『花とアン』で注目された中島歩さんが起用されており、イマドキのカップルの結婚へのスタンスを見事に活写しています。

ここでは、今作が初監督作品で、撮影・編集の過程で自身も結婚を経験したという岨手由貴子さんと菊池さんにダブルインタビュー。撮影時のエピソードやお互いの結婚観についてもお話を伺うことができました。

ーー『グッド・ストライプス』は、いわゆる“できちゃった婚”を扱った作品ですけれど、まずは監督ご自身も映画の製作の最中に結婚されたということで、このテーマを選んだ理由からお聞かせ頂ければと思います。

岨手由貴子監督(以下、岨手):脚本を書き始めたのは、もう3、4年ぐらい前だったのですけれどけど、その時は自分自身が結婚する予定は全くなかったんです。だからこそ、「アラサー」「アラフォー」や「お一人様」みたいキーワードに対して敏感になっている時期で、そういった風潮が「結婚のハードルを上げているんじゃないかな」と思っている部分もありました。
そう考えたときに、「そもそも結婚ってそんなにいいものなのかな」とか、リアルに考えたときに、自分と同世代の、同じ都会に暮らしている一人暮らしの若者同士が、突然結婚するってなったときにどうなるんだろう、っていうところからスタートして考えた企画なんです。

ーーご結婚をされたことで、脚本が変わった部分があるということですが、具体的には?

岨手:結婚する前に書いた第一稿は、ちょっと皮肉っぽいというか、コミカルな要素の比重がもっと大きかった。完成したものにある温かさみたいなものがもうちょっと少なかった気がします。

ーーそれは、例えば挙式を経験なさったことの影響がありますか?

岨手:実は、結婚式のシーンで緑が頭に付けているヘッドドレスは、私が実際に結婚式で着たものなんです(笑)。正直「結婚式とかめんどくさいな」と思っていたんですけど、親族が一堂に会して、単純に自分の家族の幸せを祝福してくれるイベントとしてのよさを感じました。他人同士がつながることで、お互いの親族や友人に会うことになるじゃないですか。それによって、生まれなかったつながりもあると思うので。結婚してから撮影できたので、多分こういった後味がすごく温かい映画になったんじゃないかなと思っています。

ーー岨手監督にとって、主役の菊池さんの魅力を一言で言うのであれば、どういうところになるのかお聞きしたいのですけれど。

菊池亜希子さん(以下、菊池):私も聞いたことないです(笑)。

岨手:この脚本を書いていたときに、『マッシュ』をはじめとする活動を拝見していて、男性に対しての「モテ」みたいな部分よりも、自分自身の好きな物事をすごく大切にされてる方だなというイメージがありました。それで、緑というキャラクターに合っているんじゃないかなと思いました。
ただ、撮影後に感じたのは、菊池さんの懐の大きさ。私が脚本で意図していた緑のキャラクターよりも、実際に演じてもらった緑は、後半に行くほど、どっしりと相手の真生を受け止める表情や仕草を見せていくようになって、より奥行きがあるキャラクターになったと思うんです。これは、おそらく菊池さんご自身が持っている魅力だと思うんですよね。

ーー菊池さんは、ご自身も岐阜県出身で上京を経験されていますが、主人公の緑もやはり地方から出てきた文化系女子というキャラクターです。ご自身の性格と似ている部分と違っている部分はどこになるのでしょう?

菊池:緑は自分なりのファッションのこだわりとかを持っている人で。一見すごくおしゃれな人っぽく見えるかもしれないんですけど、実は頑張っておしゃれになろうとしている人なんだっていうところが「緑だな」っていう気がしています。私自身、長くモデルをさせて頂いていますが、私も田舎出身で、何というか、葛藤があったんですね。学生時代、東京に出て行くのかどうするのかとても悩んだ経験もあって、映画での緑の踏ん張り方が自分と重なるところがあったような気がします。

ーー映画の中で、緑が地元に真生と一緒に帰るシーンがありますよね。終始ぶっきらぼうな態度だったのが印象的でした。

菊池:実家に帰るエピソードは、共感というか、もう肌で感じましたね。隣には真生がいて、でも反対側には自分のもともとの家族がいるという照れくささとか。そういった内弁慶な部分は、認めたくないですけど、私自身にも大いにあると思います。あのシーンでの緑のふてくされた顔は、別にふてくされようと思って演じていたわけでは全然ないんですけれど、でも出ちゃうんですよね、「すごい顔しているな」と思って見ていたんですけど(笑)。緑のそういうダサい部分はすごいグサグサ私にも刺さりますね。

ーーその実家で、緑の田舎にいた当時の金髪ピアス姿の写真が出てくるのですが。菊池さんのイメージとは真逆のヤンキーっぽい姿でびっくりしました。

岨手:私はもっとダサいイメージをしていたんですけど、意外とキマってしまって、「もっとダサくしてほしいのに」と思ってました(笑)。

菊池:でもあの要素は、私の中になかった部分で、学生の頃に刈り上げにしたとか、そういう似たようなことはあったんですけれど、ロックな音楽が大好きで、ピアス開けて、みたいな方向性ではなかったので、そこは私が想像できない部分でした。洋服の好みにしても、たぶん緑なりのこだわりがあって今に至っているから、あのシーンはすごく好きですね。姉と乱闘するまでになるとは、ちょっと思ってなかったんですけど。

ーー中島歩さんが演じた真生との関係についても聞かせて下さい。映画では、緑と真生がどうして4年も付き合っているのか、一見ではわからない。そういった間柄をどのように演じられたのかも教えて頂ければと。

菊池:もはや、真生の好きなところを箇条書きで書けるようなことではなくて、書けてしまうと、何か問題ができたときにだめになってしまう。緑は理論立てて惹かれている部分を言葉にするということを、あんまり信じていない人なんじゃないかなっていう気はしていました。
たぶん恋愛が始まったときはいろいろあって、二人なりにちゃんと提案していたと思うんですけど、そこを通り越して、もし真生に「俺のことのどこが好きなの?」と聞かれたとしても「いまさら何言っているんだ」みたいな感じになると思う。でも一緒にいるんだからということに尽きるし。それぞれが頼もしいんじゃないかな。

ーー育った環境や人間関係、趣味まで違っていて、付き合って結婚までしてしまうって、考えてみると不思議な関係ですね。

菊池:でも、お互い共感することで距離が縮まったカップルのほうが、意外と脆かったりすることもあるんじゃないかなと最近思います。そうじゃなくて、本当に男女として感覚的にストンと惹かれる瞬間があった二人なんだと思います。

ーー監督としてはいかがでしょう?

岨手:菊池さんがおっしゃったように、最初は何かきっかけがあって始まった恋愛だけど、だんだん、日常に流されてなあなあになっていたけれど、結婚することになり……。真生は、緑のぶっきらぼうな部分も一緒に楽しめちゃうところがあるんですよね。それで、言葉尻を取っていくのではなく、普通に会話が続いて二人で笑い合うような流れになる。それは緑のことを全部理解しているからこそで、そういう関係性にお互いなれているということだと思います。

ーー妊娠が分かって、結婚を決めて……と淡々とストーリーが続いていく中で、うじきつよしさん演じる真生のお父さんの家に行った時に、おそらく作中最大のアクシデントシーンがあるじゃないですか。撮影も大変だったのでは、と思うのですが。

菊池:大変でした(笑)。もう、すごく寒かったです。

岨手:一応、水量が少ないところを探したんですけれど、前々日くらいに雨が降っちゃって。それで「ちょっと水が多いね」という中での撮影でした。

菊池:スタッフの方やスタイリストさん、皆さんが「冷たくないように」と準備をしてくださったんですけど、ちょっと水に入ったらもうすぐに全身濡れてしまって、すごい状態でしたね、スタッフの皆さんがバケツリレーでお湯を持って来てくださったんですけど、寒さで何も喋れないくらい。そのシーンで真生は上の道路に来るだけで落ちないので、待ち時間に中島くんに対して「おまえはいいよな」みたいなことを言っていたりしました(笑)。

ーーとはいえ、先ほど監督がお話になった緑の腹の据わり具合が如実に出ているシーンになっていると思います。

菊池:たぶん、緑は妊娠したからといって精神的に不安定になるとかっていうタイプではない。あんな溝に落ちたら、真っ先にパニックを起こしてもおかしくないはずなのに、「大丈夫」って言えるのは、母の勘で「多分平気だよね」と本能的に感じているのかな、という気はしていました。このシーンの撮影はすごく強烈に印象に残っているので。いい思い出ですね。

ーーこの映画では、結婚式を挙げるところまでが描かれているわけですが、そこから先、どのような結婚生活を送ることになるのでしょう?

菊池:それは私もちょっと考えていたんですけれど。結婚式のシーンはすごくきれいだったんですけれど、やっぱりそこがゴールじゃないと思うんです。嵐の前の静けさの瞬間というか。なんだろう? 想像ですけれど、緑はそれほど変わらずに、真生はいい父親であろうとカッコつけていると思います(笑)。

ーー先ほど、監督が菊池さんのことを「モテ」とは距離があるといったことをお話しされていました。今回「結婚」というテーマを演じてみて菊池さんご自身は心境が変わった部分があったのでしょうか?

菊池:「モテ」というキーワードは、モデルを続ける上でどんどん出てくるんですね。私は別にそういう事に大してアンチテーゼを掲げたいわけじゃないんですけれど、10代から20代にかけてはやっぱり違和感があったと思うんです。監督もおっしゃっていましたが、私も世の中「結婚」と言い過ぎているように感じていて、ちょっとうんざりしているところも正直あって。だから「どっちだって別にいいじゃん」と思っています。
この映画は、そういう考えの女子に対して、後押しになる、すごく懐の深いところがあると感じています。私は結婚願望を聞かれても、「その時になってみないとわからないですよ」としか言えなかったけれど、そういう気持ちがちょっと柔らかくなって、「案外悪くないな」と感じられるようになりました。

ーー監督ご自身は、ご結婚された身としてそのあたりいかがでしょう?

岨手:世の中に言われているような結婚観を、不特定多数に向けても仕方なくて、どこかでお互いがOKだと思える人がいれば、「別にいいんじゃないかな」というのはありますね。この映画を観てもらえれば、冒頭では好感の持てない二人が、最後の方では多分応援したくなると思うんですよ。人って知れば知るほど好きになれるんじゃないかな、と思うので、そこを楽しんでもらえればいいなと思っています。

菊池:緑と真生の二人を見ていると、たぶん観た人は身近な誰かのことを思い出すんじゃないかなって気がするんです。それが今近くにいる大事な人なのか、別の人なのか、いろいろな場合があると思うんですけど、「誰かの顔が思い浮かんだとしたら、それはすごい幸せなことだよ」と言いたいし、例えば緑の一瞬の不細工な表情だったりとか、真生の戸惑っている顔とかに誰かが重なったりとかしてくれたら、映画としてよかったのかな、という気がしています。

菊池亜希子主演のラブストーリー:映画『グッド・ストライプス』予告編 – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Wh7BdvS9FAQ [リンク]

『グッド・ストライプス』

5月30日(土)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

配給・宣伝:ファントム・フィルム

映画『グッド・ストライプス』公式サイト
http://good-stripes.com/ [リンク]

(c)2015「グッド・ストライプス」製作委員会

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記者:

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

ウェブサイト: http://yaplog.jp/parsleymood/

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