記者会見で菅首相が挑発してきたので……

国を憂い、われとわが身を甘やかすの記

今回は阿比留瑠比さんのブログ『国を憂い、われとわが身を甘やかすの記』から許可を得て転載させていただきました。

記者会見で菅首相が挑発してきたので……
1月14日、菅直人首相は内閣改造にあたっての記者会見を行いました。民主党政権になって以降、産経記者は手を挙げ続けても指名されないという場面が度々ありましたが、今月は産経新聞は幹事社なので、優先的に質問できます。なので、久しぶりに質問してみました。

「今回の改造で与謝野氏が経済財政担当相に入り、藤井氏が官房副長官になった。消費税率上げに向けた布陣が敷かれたともいえると思います。ただ、民主党は平成21年の衆院選マニフェストで、行政の無駄遣い削減や埋蔵金活用で、16.8兆円の財源が生み出せると言いました。そして、これを信じて多くの有権者が政権交代を選んだという面もあります。首相も昨年7月の参院選前に消費税率を上げる時期は、「次の総選挙で国民の了解があった段階だ」と明言しています。民主党が今回、マニフェストの見直しを表明したが、そうであるならば、ここは衆院解散でもう一度、信を問うのが筋ではないでしょうか」

……すると、菅首相は私の質問に正面から答えなかったばかりか、「質問の仕方が決めつけ、すり替えである」と決めつけ、すり替えて、だから答える必要はないのだと言わんばかりの挑発に出ました。質問者(私)を悪者にして、報道被害に遭っている可哀想な私、という演出を試みたのかもしれませんね。

菅首相「あの、ただいまの質問についてですね、私は非常に誤解を生むような質問だと申し上げざるを得ません。私たちが申し上げているのは、今の社会保障制度がこのまま維持できるのか、あるいはさらに充実することができるのか、そのことをしっかりと議論しようと。その時に、併せて当然ながら、維持していくための財源のあり方、現在のままで十分なのかどうなのかということを議論しようとしているんです。それをですね、何か消費税引き上げのための議論、そういう風に決めつけて、すり替えて質問されるのは、私はフェアではないと思っております。

先だっての記者会見の時にも申し上げたように、例えば、現在の消費税を、国税分については高齢者の医療、介護、年金に振り向けるという、そうした税制の基本的考え方が平成11年に決まっておりますけれども、平成11年においては、約7兆円が消費税の国税分でありました。国の歳入分でありました。必要な費用は約8兆5000億程度でありました。ですから、確かに高齢者の医療、介護、年金について、消費税の国税分で、ほぼまかなえてきたわけですが、平成22年においては、収入は7兆円が変わらないのに対して、17兆円の支出をすでにしているわけです。ではその差額の10兆円はどうしているかと言えば、それは実質的には赤字国債で、借金で埋めているわけであります。

こういう状態が持続可能なのかという議論を、社会保障の議論としてしっかりしよう、そういう風に申し上げている時に、社会保障の“社”の字も言わないで、何か消費税の議論をしようとしているように言われるのは、私は大きく、国民の皆さんに間違ったメッセージを与えると思いますので、あえてこの事を申し上げ、お答えとさせていただきます

……大いに不満でしたが、質問は1人1回というルールがあるのと、進行を妨げるのは本意ではないのでこの時点ではとりあえず黙っていました。すると、菅首相は同じく幹事社の道新さんの質問にもきちんと答えず、はぐらかしました。

北海道新聞「首相は昨日の民主党大会で、“今回の内閣改造は問責を出されたからではない”とおっしゃった。昨年9月に改造したばかりの“有言実行内閣”を、たった4か月で変えるのは非常にわかりにくいと思う。問責がなくても、仙谷由人官房長官を枝野幸男氏に交代させていくつもりだったのか。また、法的根拠の問題があったが、今回の人事が、閣僚が問責されれば辞任するという慣例を作ることにつながらないか。また、首相はこれまで412人内閣とおっしゃっていたが、今回の閣僚人事では、小沢一郎元代表に近い議員の起用はなかった。小沢氏の周りには適当な人材がいなかったということか。あるいは、排除の意図があったということか」

菅首相「この内閣の改造と党の態勢は、民主党の危機を超えるためではなくて、日本の危機を超えるためという、そういう観点から行ったもの、あるいは行おうとしているものであります。その理由については、今申し上げたように、今、日本が抱えている危機の、大きな課題を超える上で、例えば与謝野さんの参加といったものも必要だと考えたわけであります。

同時に、党の方のいろいろな活動も、さらに大きくしていかなければなりません。例えばシンクタンク、あるいはいろいろな新しい公共と呼ばれるようなNPOグループとの連携。そうしたことは、内閣だけではなかなかできません。こういう活動に大きく幅を広げていくうえで、仙谷さんは大変、有能な力を持っておられると思っております。そういった意味で、全体のことを考えた中で、日本の危機を超えていく上で、最強の態勢を作る、そういう考えで推し進めたものであります。

また、何か一部のグループでやったのではないかという趣旨のことを言われますが、それは全く当たりません。9月の代表選挙で私が党員、サポーター、全地方議員、全国会議員に申し上げたわけです。クリーンでオープンな政治をやりたい。そして私がその皆さんによって代表に選ばれたわけです。ですから、その公約を実現することに協力をしていただける方であれば、それは誰でも全員参加でやりましょう。

例えばオバマ大統領が誕生すれば、オバマ大統領の公約を実現するうえで協力する人が集まっていくのは当然であります。そういった意味で、私の代表選の公約、あるいはそうした考え方を中心にして、党がまとまって、この日本の危機に取り組んでいく。そういう立場で、この改造や党人事についての評価を行う、あるいは行おうといたしております。

その中には、一般的に言えば小沢さんのグループといわれる方も、常に、特に副大臣、政務官にはたくさん、この間もおられますし、また代表選で必ずしも私を応援していただいた方以外にも閣僚にもすでに何人もおられるわけでありまして。基本的に党の方針、あるいは私が申し上げた、クリーンでオープンな政治というものに賛同し、共に行動していただける方は、全員参加をしていただく、そういう姿勢で臨んでいるということを明確に申し上げておきます」

……質問の中核部分に何も答えていません。こうした姿勢を見て、私が黙っていると、菅首相がこれでいいのだと、いよいよ得意の勘違いを深めてしまうと思い、不規則発言ではありますが、やむを得ず一言指摘しておくことにしました。

「質問をすり替えという割には、答えてないじゃないですか」

菅首相「何を答えてないんですか」

「1問目も2問目もきちんと答えずに答弁をごまかして……」

(司会 すいません、進行にご協力いただけますか。では◯◯さんどうぞ)

……記者会見は別に議論の場でもケンカの場でもないし、他の記者の質問を邪魔するわけにもいかないので、司会が入った時点で引くことにして、後は黙っていました。しかしまあ、なんでこう、菅首相をはじめこの政権、いや民主党の人たちは世の中を甘くみて、相手を小馬鹿にしたような対応をしてくるのか。

私の1問目の質問が、著しく礼を失していて、誹謗(ひぼう)中傷に充ち満ちていたというのならともかく、そんなにヘンなことを聞いたつもりはないのですが……。まあ、みなさんのお考えを仰ごうと、関連部分の一問一答を掲載しておいた次第でした。

執筆: この記事は阿比留瑠比さんのブログ『国を憂い、われとわが身を甘やかすの記』から許可を得て転載させていただきました。

文責: ガジェット通信

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