『新ブラックジャックによろしく』が最後の作品になると思います

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小学館にて『新ブラックジャックによろしく』を連載中であり、映画化された『海猿』の作者でもあるプロ漫画家・佐藤秀峰先生が、自身のサイトでショッキングなコメントをしている。なんと、「恐らく、僕が雑誌で連載をするのは「新ブラックジャックによろしく」と「特攻の島」が最後かもしれません。もう雑誌から声はかからないでしょうから…」と語っているのである。

従来のように漫画雑誌などの紙メディアでの連載ではなく、インターネットメディアで漫画を連載することに決めたことがいちばんの原因のようだ。その裏側には、深い大きな苦悩と、出版社との確執があったようである。以前から佐藤先生は出版社と漫画家の間でより公平な立場に立って収益や環境を良くしていきたいと、業界改革にも似た行動を一人で行ってきた。出版社から出版社への作品の移籍もそうだし、漫画家の印税率や原稿料の増加の要求もそうだ。

『ブラックジャックによろしく』シリーズは、もともと連載をしていた講談社『モーニング』から小学館の『ビックコミックスピリッツ』に移籍し、現在も連載を続けている。しかし、さまざまな話し合いの結果、『新ブラックジャックによろしく』の連載をホームページでも展開する許可を編集部よりもらったという。ただし、「雑誌への掲載から1か月後以降に掲載すること」という条件を提示されたとのこと。

出版社の移籍、印税の増加を要求、そしてホームページへ作品の掲載。それだけ見てみると迷走しているかのように思えるが、実はそんなことはなかった。佐藤先生は、「僕は今、実験をしています」と言っており、「漫画家は出版社に頼ることなく、一定の質とスピードを保って漫画を製作し続けることができるかどうか?」を試してみたいのだという。そして最終的に行き着いたのが、漫画のインターネットでの掲載となったわけだ。佐藤先生は「ホームページ上で僕の漫画を発表し、それを読みたいと思ってくださる読者の皆さんからお金をいただく」ということも考えているそうなので、有料による漫画配信が近い将来スタートすることだろう。

このことについてさまざまな出版社で漫画を連載・掲載してきたT先生にお話をうかがったところ、「インターネットで漫画を公開する場合、人気のある漫画家がやればやるほど効果的でお金になりやすいのは確か。新しい漫画を連載してもいいが、もともと自分が連載してきた漫画を掲載しても問題ないはずだ。なぜなら、出版社には大手なら大手ほど漫画連載時に契約書を結ばないという悪しき暗黙の了解があり、それを逆手にとって著作権と所有権を主張すればいい。現に、漫画の著作権と所有権は漫画家にある。佐藤先生も過去の作品をホームページに掲載し、自分の生活レベルを保ちつつ、新しい作品作りに挑むといい。インターネットで頑張りたいなら、非力だがいくらでも応援する」とのこと。

正直なところ、出版社の編集者によっては佐藤先生を「うるさいことを言う漫画家だ」と思う人もいることだろう。今までの漫画業界のルールに従って編集者が漫画家とともに仕事を続けていたところに、革命を起こそうという漫画家が現れたのだから、「面倒な人だ」と思う編集者がいてもおかしくはない。そういうことを悟ってか、佐藤先生は「恐らく、僕が雑誌で連載をするのは「新ブラックジャックによろしく」と「特攻の島」が最後かもしれません」とコメントしたと思われる。このことについて小学館『ビックコミックスピリッツ』編集部に取材を申し込んだものの、担当編集者が不在でお話をうかがえなかった。

最後に、革命家のチェ・ゲバラは「人が革命家になるのは決して容易ではないが、必ずしも不可能ではない」と語っている。
 
(C)佐藤漫画製作所
 
 
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