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東京ディズニーランドが選んだ正社員化の狙い

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一種のイメージアップ戦略と考えられる

東京ディズニーランド(TDR)が、希望者を対象に契約社員を正社員にするとの報道がありました。1年ごとに契約更新をする形式で、イベントや施設などを担当しているスタッフが正社員の対象となる予定で、総数821人と発表されています。

契約社員の正社員化は珍しいことではなく、大手の銀行や小売業などで進んでいます。人手不足の中、人材を適切に確保しておくことが困難になっているという背景があるようです。「ブラック企業」という言葉のイメージが独り歩きしているとう社会現象もあります。こうした中で、契約社員の正社員化は、人材面における「従業員にやさしい会社」という一種のイメージアップ戦略と考えられます。

長期的な経営効果を考えれば有効な人材戦略

イメージアップの反面、正社員化した場合、企業にとってコストアップになると思われがちです。しかし、イメージアップにより人材の確保と人材の定着(離職率の低下)が実現することで、採用や新人研修のコストが削減され、サービスの向上とともに売上の確保が実現しやすくなるというメリットがあります。

TDRも全体の82.5%%が非正規労働者と言われているため、正社員化の実施により約10億円のコスト負担が発生しますが、長期的な経営効果を考えれば有効な人材戦略ともいえるでしょう。

正確には「限定正社員」を意味している

一方で、「正社員」は、正確には「限定正社員」を意味していることを踏まえなければいけません。限定正社員は、仕事や勤務地を雇用契約で限定してしまうものです。一般的には、待遇が有期雇用労働者より向上するとされています。

また、通常の非正規雇用では能力が高めにくいうえに、労務に見合った賃金ではなく、会社内の交渉力も弱いといった弱点がありました。限定正社員は、この点をカバーする形態の雇用となるうえに、子育てなどとの両立がしやすくなるといったメリットもあります。

美辞麗句に動かされず、実態を把握することが重要

限定正社員は、有期雇用が同じ職場で5年を超えて働くことを希望した場合、無期雇用になるという労働契約法の規定内容に関する議論が端緒と言われています。勤務地や業務をそのままに、無期の正社員にしなければならなくなるというものです。一方で、限定正社員なら解雇可能になるとの誤った論調が横行しています。たとえば、契約上の仕事や勤務場所が無くなれば、解雇できるとの内容です。法的には、限定正社員だから正社員より解雇しやすいなどと決めつけることは禁物です。配置転換などを検討する余地の有無など、一概には言えない例も出てくると思われます。

限定正社員は、原則として転勤や職種変更がない点を踏まえ、応募の際はマスコミ情報に踊らされずにしっかり雇用条件等を確認することが大切です。ブラック企業に関連して見てみれば、イメージアップを応募・採用の場面において形式的に整えるのみの企業の存在も危ぶまれています。「ワークライフ・バランス」などの美辞麗句に動かされず、実態を把握することが重要になるでしょう。

(亀岡 亜己雄/社会保険労務士)

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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