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【ネタバレ注意】『ゴーン・ガール』クロスレビュー/ここで終わるだろうなってとこで終わらない超絶技スリラー

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『セブン』『ドラゴン・タトゥーの女』など、独創的な映像表現と力強いストーリーテリングで世界中の映画ファンを熱狂させている天才デヴィッド・フィンチャー。米国で600万部以上を売り上げ大ヒットしたギリアン・フリンの小説を原作とし、幸福の絶頂にいるはずの夫婦をめぐるスリラーを描いたフィンチャー監督の最新作『ゴーン・ガール』がいよいよ12月12日(金)より全国公開となります。

本国アメリカの様々なメディアで「アカデミー賞本命」との呼び声高い、そして最高に「イヤミス(後味が悪いミステリー)」であると話題の本作。一足お先に映画を観た記者たちによるクロスレビューをお届け!

映画クロスレビュー『ゴーン・ガール』

【ストーリー】
結婚5周年の記念日。誰もが羨むような幸せな結婚生活を送っていたニックとエイミーの夫婦の日常が破綻する。エイミーが突然姿を消したのだ。リビングには争った後があり、キッチンからは大量のエイミーの血痕が発見された。警察は他殺と失踪の両方の可能性を探るが、次第にアリバイが不自然な夫ニックへ疑いの目を向けていく。新妻失踪事件によってミズーリ州の田舎町に全米の注目が集まり、暴走するメディアによってカップルの隠された素性が暴かれ、やがて、事件は思いもよらない展開を見せていく。完璧な妻エイミーにいったい何が起きたのか……。

監督:デビッド・フィンチャー
原作:ギリアン・フリン

ニック・ダン:ベン・アフレック
エイミー・ダン:ロザムンド・パイク
デジー・コリンズ:ニール・パトリック・ハリス
ターナー・ボルト:タイラー・ペリー
ボニー刑事:キム・ディケンズ

『ゴーン・ガール』公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/gone-girl/

「この映画に限っては原作を先に読むべき!」/♪akira

「デヴィッド・フィンチャー最高傑作!」という意見にはもちろんうなずけますが、まずなんといってもギリアン・フリンの原作(小学館文庫)がメガトン級に面白かったことをお忘れなく! 「オチがわかったらつまらないから未読で映画を観る」という方も多いかと思いますが、この映画に限ってはぜひ先に本を読んで下さい! というのも、本書は2012年に刊行されるやいなやNYタイムズのベストセラー1位にランクイン。アメリカ国内だけでも合計600万部も売れた怪物本。それが現在本国でも映画がヒット中ということは、“既に読んだ人が観に行って更に楽しんでいる”と考えてよいのでは。処女作『KIZU −傷—』(早川文庫)、続く『冥闇』(小学館文庫)と、その一筋縄ではいかないクセのある小説の主人公は、どちらも暗い過去を背負った女性です。では『ゴーン・ガール』のエイミーはどういう女性なのか? はい、まさにそこがこの物語のキモなのですね。せっかちな方はネットに氾濫するいわゆる“ネタばれ”を読んでしまい、もうすっかりわかった気になったかもしれません。ですが! 

この小説は、「真相」で驚いて終わり、ではありません! その「真相」にまつわるエピソードの一つ一つが細部まで巧妙に練られており、それがもう恐るべき超絶技なのです。フィンチャーといえば、闇と悪意に満ちみちた恐ろしく緻密な傑作『ゾディアック』を作っていますが、作者フリンと共同で作ることができたせいか、この映画も原作の黒いエッセンスを更に凝縮したかのような、原作アリ映画の稀に見るお手本と言っても過言ではありません。とにかくまず原作を読んで思い存分スリラーを味わい、それから映画をブラック・コメディとして楽しむ、というダブルで美味しい方法がオススメです。最後に、本を読んでほしい最大の理由は、女性なら一番怖いと思うであろうエピソードが映画には入っていないからです。どんなに恐ろしいかぜひ読んでご確認のほど。

【プロフィール】♪akira
WEBマガジン「柳下毅一郎の皆殺し映画通信」(http://www.targma.jp/yanashita/)内、“♪akiraのスットコ映画の夕べ”で映画レビューを、「翻訳ミステリー大賞シンジケート」HP(http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/)内で腐女子にオススメミステリのレビュー、“読んで、腐って、萌えつきて”を連載中。現在発売中の「このミステリーがすごい!」とミステリマガジン12月号特集“ミステリが読みたい!”で、年間ベストミステリーを選んでいます。

「結局のところ夫婦の問題を解決する方法なんてない」/深水英一郎(ふかみん)

夫婦という密室の中で起きる問題を周りと共有し解決する方法なんてない。それを改めて、あまり深刻な感じじゃなく思い知らされた。

5回目の結婚記念日に妻が失踪し、夫のニックはメディアを通し世間の好奇の目にさらされネットでも噂が飛び交う。

夫婦という他人が立ち入れない空間にある真実と、実のところ真実なんてどうだってよくって、感情を満足させたいだけのメディアの目。世間の目。それらをうまく利用し、自分自身の見え方をコントロールしようとする夫婦。しかしすべては計算どおりにいかない――ハラハラし、意外な展開に驚き、時には笑い、まったく目を離す隙のない濃厚な映画だった。

狂気を描いているわけで、非日常的な世界のはずなのだが、まったくそうは感じさせず、むしろリアリティを感じた。んで、普通の映画ならここで終わるだろうなーってとこで終わらない。ずんずん話が進んで、またそれが面白い。観終わった直後の感覚は「大満足」。これは良作だと観終わった瞬間に思いました。

【プロフィール】深水英一郎(ふかみん)
ブログメディア『ガジェット通信』発行人。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいい動物に興味がある。好きな食べ物はシュークリーム。

「緊張感が限界を超えて、笑いをこらえられなくなった」/レイナス

知性とユーモアを兼ね備えた完璧な妻と、そんな彼女を満足させる唯一無二の夫。
理想的な夫婦なのに、その妻はなぜ失踪したのか――。
全編にただようヒリヒリした緊張感のなか、痛々しい真実がひとつずつ明らかになるたびに息が詰まって苦しくなる。
そして、「そろそろ楽にしてくれよ……」と思ったころ、痛々しさと緊張感が限界を超えて、笑いをこらえられなくなった。
ものすごく恐ろしくて、ものすごく興奮させられた! 一言で言うなら「最高に面白かった」!

この映画が“とんでもない展開を迎えるお話”だと聞いたときは、
今作のビジュアルに対して「“愛する妻の失踪”にまつわる単なるミステリーに見えるし、そんな展開全然予測できないなぁ」と首を傾げた。
でもこの作品のビジュアルは、これで“あっている”のだ。その理由は作品を観ればきっと分かる。そして、分かったときにゾッとする。
退屈なんてする暇のない2時間半、心の底までぶちのめされてほしい。

【プロフィール】レイナス
ホラー通信(http://horror2.jp/)で記事執筆およびデザイン担当。好きなバンドはビートルズ、好きな食べ物はラーメンと角煮、好きな怪人はガマボイラーです。

「観客にとっては“終わり”でもニックにとっては“はじまり”」/藤本エリ

『ドラゴン・タトゥーの女』が個人的にイマイチだった私にとってはフィンチャー作品、久々のクリーンヒット!(あ、『ハウス・オブ・カード 』は面白いです。てへへ)

ミステリー好きの友人に「すごくイヤ〜なお話だよ」と聞いていたのに、想像をさらに上回るイヤミスさ。そして笑える。2時間半越えのやや長尺なのに、時間を全く感じさせないジェットコースター・ムービー。そして予告編を観る限り、謎解き要素強めの作品なのかと思いきや、ド級のブラック・コメディでもあるという。もちろん、原作未読組としては「真実は何?」「最後どうなっちゃうの!?」とハラハラするのですが、要所要所に差し込まれてくるシニカルな表現だったり、やりすぎな所だったり、言っちゃ悪いけどピンチになればなるほど笑えるんです。

この映画、男性は主に男女間のあれこれに「やだな〜こわいな〜」ってなると思うんですけど、女性的には今流行の“マウンティング”的な恐さ(怒り)を感じるじゃないかなあ、と。

私たちは2時間半映画楽しんで、こっわー!とかうける!とか言ってれば、日常生活に戻れるけど、ニックにとってはこれから地獄の様な日常が待っている。フィクションなのに、想像すればするほどゾッとする。そんな傑作ミステリーです。原作も超オススメ。

【プロフィール】藤本エリ
映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。男性声優が好きです。

(C)2014 Twentieth Century Fox

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記者:

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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