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『朝まで生テレビ』は“ディベート”ではありません

たけ

今回はタケルンバさんのブログ『タケルンバ卿日記』からご寄稿いただきました。

『朝まで生テレビ』は“ディベート”ではありません
日本で“ディベート”がどうも勘違いされている原因として、次の2点があるんじゃないかと思っております。

『オウム真理教』と上祐史浩氏
議論テクニックとしての狭義の“ディベート”という言葉が注目を浴びた最初のきっかけに、1995年当時、『オウム真理教』の広報部長として活動していた上祐史浩氏の存在があげられます。「ああ言えば上祐」という言葉があったくらい、あらゆる批判に対し雄弁に反論する彼の姿がテレビ上などで繰り返し放映されていました。その彼のバックボーンに、学生時代のディベートにおける活動があり、その面が過剰にクローズアップされた結果、上祐氏が雄弁であることがディベートにひも付けられました。

『朝まで生テレビ』と田原総一朗氏
もうひとつが現在も放映されている『朝まで生テレビ』と、その代名詞的存在とも言える田原総一朗氏。テレビ番組の中で、最もメジャーな討論番組ということもあり、“ディベート=討論・議論”という広義の意味合いでとらえると、一般的に最もディベート的なものを感じさせるテレビ番組になっています。

二重の勘違い
しかし“ちゃんとした”ディベートをした人ならわかることだけれども、上祐史浩氏がしていたような反論スタイルは、ディベート的な論証ではなく、テレビ的なエンターテインメントであるし、『朝まで生テレビ』に至っては、まさにテレビのエンターテインメント。ともにディベートでもなんでもないし、“ディベートのような”反論スタイルと、“ディベートのような”口げんかにすぎないわけです。

しかしながら、ディベートとは言えない両者が何故かディベートの典型として位置付けられてしまった。ディベートとはいえないシロモノが、ディベートとなってしまった。
・ディベート=上祐史浩
・ディベート=『朝まで生テレビ』
こういう間違った公式が、さも正しいかのようにできてしまった。それも“ディベート”という言葉の狭義と広義の両面で。

前提が異なれば、その前提から導き出す答えもまた異なる
上祐史浩氏であるとか、『朝まで生テレビ』がディベートの典型であるという前提をベースに、ディベートが語られがちな現状について、一応ディベーターの端くれである私なんかは、非常に困ったことだと思っているわけです。

上祐史浩氏が“ディベーター”であり、『朝まで生テレビ』が“ディベート”なら別にいいんですよ。また、人によってはそう見えるとかの認識のブレであるとか、価値観の相違の範囲ならいいんです。緑を「青」と言おうが「黄緑」と呼ぼうが、そんなものは“だいたいあっている”で。

しかしこの件に関しては“明らかに違う”わけですよ。“ディベート”ではないものを“ディベート”にしてしまっている。特に『朝まで生テレビ』に関しては、現在に関しても定期的に放映している番組だから始末が悪い。似たような番組まで“ディベート”になってしまう。『朝まで生テレビ』がディベートであるなら、『朝まで生テレビ』のような番組もみなディベートであると。

しかしながら“ディベート=朝まで生テレビ”という前提が間違っている以上、その話はおかしいわけで、間違った前提をもとにした結論は、やはり間違っているわけです。当たり前ですよね。

『朝まで生テレビ』のスキルはディベートのスキルではない
また、そもそも『朝まで生テレビ』が“ディベート”ではない以上、『朝まで生テレビ』上で優秀な人物が、“ディベート”で優れているわけじゃありません。当たり前ですよね、両者は別物ですから。そのため、『朝まで生テレビ』で有効な方法は“ディベート”で有効な方法とは限りませんし、『朝まで生テレビ』で通用するスキルは、“ディベート”で通用するスキルとは言えません。

同じ球技でも野球とサッカーは違う
こう言うと「しょせん議論なんだから、そこまで違いはないだろう」とか言う人がいますが、だいぶ違います。同じ球技でも野球とサッカーではその特質がだいぶ違うように。同じスポーツだし、ボールを扱うけどだいぶ違う。

例えば“ディベート”では反論の機会が保証されるので、相手がおかしなことを言っていたとしても、それに口を挟む必要はなく、後ほど巡ってくる発言機会の中で、いかにその発言がおかしいかを証明すればいい。つまり瞬発力があまり必要ではなく、相手の発言の内容を検討する分析力の方が大事です。

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