ネットの旅企画で有料会員が集まる理由(深水英一郎)

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江ノ島

※この記事は「ブロマガ著者のためのニュースレター『ブロマガプロフェッショナル』2014年8月29日号」に掲載された原稿に加筆し転載したものです。

ブロマガプロフェッショナル
http://ch.nicovideo.jp/blopro [リンク]

旅行企画のすすめ「旅ネタが有料会員チャンネルで受ける3つの理由」

ふかみんこと深水英一郎です。僕が発行人をつとめているガジェット通信では、ニコニコチャンネルでいくつかのチャンネルを運営してます。

実験的な企画などさまざまな試みをやってきましたがその中でも安定して人気かつ入会が多い「旅企画」をご紹介します。

ガジェット通信の旅企画は、ゲーム実況者さんが主に出演する「ゲキマガチャンネル」とトーク中心の生主さんが出演する「LIFELOGチャンネル」で主に実施しています。

特にLIFELOGでは、「旅部(たびぶ)」という旅行企画をほぼ毎月実施しており、このチャンネルでは現在この企画がメインコンテンツとなっています。

内容はいたってシンプルで、出演者さん自身で生放送をしてもらいながら旅をする、というものです。

しかしながらリスナー(会員)のみなさんにも毎回楽しみにしてもらう名物企画となりつつあります。

旅先はさまざま。何の計画も立てずに24時間だけレンタカーを借りて、車に乗って放送しながら行き先を決めたり、海開きと当時に江ノ島へ泊まりに行ったり。温泉地へ行って泊まってしゃべるだけだったり、イベントとあわせてラスベガスへ行ったり、最初から海外に行くことが決まっており、放送開始まで行き先を秘密にしていたり、キャンプ場でBBQしてそのまま泊まったり。

企画がうまく回りだせば有料入会者もどんどん増えていきますので、かけられる予算も徐々に増えていきます。それにあわせて、旅に出かけるメンバーを増やしたり、行き先をどんどん遠くしたり、泊数を増やしたり、拡大していくこともできます。旅を一緒に楽しんでいるリスナーさんも、旅先のバリエーションが増えていくのを一緒に楽しんでくれます。

チャンネルを運営するこちらの都合さえつけば、世界中を会費だけで旅するチャンネルもつくれるのではないか……なーんてなことも思います。

そんな夢のある企画なのですが、普段はなかなか有料会員になってくれない視聴者が、旅企画だと会員になってくれるのは何故でしょう。

以下、僕が考える、旅企画が有料会員チャンネルでウケる理由3つです。

1.旅ってワクワクするし、風景は変わって見た目も楽しいし、ハプニングも期待できる

たいていの生放送は、部屋やスタジオなど、固定の場所から実施されているものと思います。

それだと、当然ながら背景もかわらないですし、基本的には予定していたことが予定どおりにおこなわれるというコトになります。

いわゆる「台本どおり」、ということになりますが、旅の場合は、背景は次々変わりますし、風光明媚なところに行けば、風景そのものを出演者視聴者ともに感動をもって共有することができます。そこに居合わせた視聴者と出演者でリアルタイムにこの体験を共有するというのは、他では味わえない高い一体感があります。また、行く先々で何がおこるか、総てをコントロールできませんから、放送自体がハプニングの連続となる場合もあります。そういう「画変わり」とか「意外性」が、番組を観ているリスナーにとってはたまらなく楽しく感じられるのだと思います。まぁ、それって旅の魅力そのものだと思うのですが、そこに同行できている感覚を味わえる「旅コンテンツ」は、視聴者も一緒に旅をしている感覚を共有できて楽しいのだと思います。

※旅先では、普段では起きない、こんなハプニングも…(旅部7より)

2.「お祭り感」「非日常感」がある

有料チャンネルに入会する動機というのはいくつかあると思います。例えば「役に立つ」「その出演者のファンである」などなど。また、お祭り感・非日常感が高い企画というのも人も呼びやすいし入会に結びつきやすいと思います。毎日の記事更新、週に1回の動画や生放送など、定期配信はいわば日常です。それに対し、日常を打ち破るような意外なゲストが登場したり、例えば番組上でハプニングが起きて大げんかが起こったり、めったにはできないイベントを企画し放送したり。そういった企画は、日常を打ち破る高揚感やお祭り感があり、注目も集めやすいです。旅コンテンツも、一種お祭りのようなものです。日常を打ち破り、旅に出る。出演者も楽しいですし、視聴者も非日常を味わうことができます。役に立つ、立たないは関係なく、その高揚感や楽しい気持ちがユーザーの気持を動かすこともあります。

沖縄にて

3.みんな旅する人には優しい。「土産話をきかせてよ」と餞別のつもりで入会してくれる

旅は何が起きるかわからないだけに、ちょっとした危険も伴います。まぁ最近は危険といってもそんなに大変なものじゃないかもしれませんが、古今東西みなさん旅する人に対しては優しい気持になってくれます。チャンネル運営者にリスナーが期待するのは、文章やトークなどですが、旅に出て面白い話をきかせてくれるなら餞別のつもりで入会するよ、という気持で入会してくれているリスナーも多いように感じます。ガジェット通信が運営している「LIFELOGチャンネル」は破天荒な出演者が多いので、普段はコメントも荒れることが多く、入会に対する考え方も厳しいです有料番組にはなかなか入会してもらえません。しかしながら旅企画では、コメントは普段より優しく、視聴者が旅が上手くいくように導いてくれているようにも感じます。また、他のどの企画より入会数が多く、一回の旅企画で数百名から場合によっては千名を超える入会があります。

ニコニコチャンネルの使い方としては、
・ブロマガ機能を使った「ブログスタイル」
・生放送機能を使った「ラジオスタイル」
・動画機能を使った「生放送アーカイブ」や「編集動画の配信」
がよくあるやり方です。

テキストを使ったコンテンツはかなり枯れていますし、ほぼノウハウも固まっているのではないでしょうか。

しかし、ネット動画や生放送のライブ性を活かしたコンテンツは、まだまだ探求の余地があるのじゃないかと思います。

その中で、「旅」をカギにしたコンテンツは、そんなに大きなコストもリスクもなく取り組むことができ、ある程度実績も出てきているものですので、ニコニコチャンネルなど課金型のコンテンツ制作に取り組んでいるみなさんにも是非試してみてもらいたいと思います。

過去「LIFELOG」チャンネルの「旅部(たびぶ)」企画に出演してもらった生主さんも、改めて旅企画に取り組んでいるようです。近々放送予定の番組もありますので、ご覧になってみては?

■旅豚(たびぶた)
過去「旅部」に出演した生主、石川典行さんのユーザーチャンネルでの旅企画
http://live.nicovideo.jp/watch/lv195190162 [リンク]

■まな部(まなぶ)
「旅部」常連の生主、横山緑さんのユーザーチャンネルでの旅企画
http://live.nicovideo.jp/watch/lv195167376 [リンク]

参考)
ゲキマガ
http://ch.nicovideo.jp/gamelive/video [リンク]
ゲーム実況者さんを中心としたチャンネル。しかしゲームにとどまらず、トークや旅など、いろいろな試みをおこなっています。

LIFELOG
http://ch.nicovideo.jp/lifelog [リンク]
良く言えば破天荒、悪く言えばネットの問題児が集まり面白さを追求するチャンネルです。トークを中心として、旅企画や街ブラ企画を中心に、実験的な放送をおこなっています。

ズーチャンネル
http://ch.nicovideo.jp/bordertv/video [リンク]
ガジェ通が関わっているチャンネルではありませんが、参考になると思い、ピックアップ。
心霊スポット+旅、というテーマで、編集済の動画を中心に配信をされているチャンネルです。
心霊ネタ単独でも人気ですが、それを旅と組み合わせた、ということで注目しています。

(ふかみん/深水英一郎)

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深水英一郎(ふかみん)

深水英一郎(ふかみん)

トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。

ウェブサイト: http://getnews.jp/

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