「2018年問題」が大学受験にもたらす変化
1000人規模の大学が170校も潰れる「2018年問題」
最近、「2018年問題」が取り沙汰されています。現在、ほぼ横ばいの18歳人口が減り、それにともなって大学進学者数も2018年の65万人から徐々に減少。2031年には48万人にまで減少する、という問題です。
現在すでに「大学全入時代」と呼ばれ、私立大学では約4割が定員割れの状況にある中、これがきっかけで潰れる大学が増えるのは必至の状況と言われています。統計では、1000人規模の大学が170校も潰れるという計算です。
「大学全入時代」の今、すでに始まっている大学の二極化
では、この事実は、これからの大学受験にどのように影響するのでしょうか。実は、「大学の淘汰」という点においては、18歳人口の減少に関わらず、すでに始まっています。現在は「大学全入時代」で、大学を選ばなければ、誰もがどこかには入れる時代になりました。そのため、「入学して価値のある大学」と「入学しても価値がない大学」の二極化が生まれています。
今現在でも就職活動において「どこの大学か?」「大学で何をしてきたのか?」は、重要な要素として見られ、その合否に大きな影響を与えています。これは、ある意味、当然のことです。それは、その大学に合格するために苦心して身につけた能力(論理力・表現力・暗記力・精神的な強さなど)や、入学後に大学で経験・勉強したことは、就職後に必要とされることにも共通する傾向にあるからです。そして、その能力と大学の名前は、ある程度一致すると考えられています。したがって、必然と就職に強い大学は決まっており、それらの大学は、定員割れの大学が出ている時代でも、受験倍率は依然として高いままです。
「とりあえず進む先」から「進みたい道のために行く先」に変わる
今後は、受験生の中で「入学して価値がある大学に進み専門課程を学ぶ人」と、「それを必要とせず就職する人」の二極化が進んでいくと思われます。そして、このことは、さらに受験生の数が減るということを意味します。
大学側は、いち早く中身の充実と本来の専門性を高め、「価値ある大学」を目指すことが必要でしょう。そして、「地域・時代の中で、一体どういう役割を担うのか?」を明確に打ち出さなければ、他校との差別化もかなわず、いずれ2018年問題では価値を残すことも難しくなるかもしれません。
また、受験生にとっては、「自分の人生として、どのような道を歩みたいのか?」を、これまで以上にしっかりと考えた上での選択が必須となります。「大学に行けば、就職に有利」というだけの時代は終わり、大学が「とりあえず進む先」から、「自分が進みたい道のために行く先」という位置づけに今後スピードを増して変わっていきます。できるだけ早期に自分の道を見つけ、それに邁進することが自分自身の可能性を高めることにつながるでしょう。
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