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多様性と自由(メカAG)

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今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

多様性と自由(メカAG)

どうも世の中には、なにもかも自由にすればするほど、世の中は多様性に満ちたものになっていくと信じて疑わない人たちがいるようだ。ちょっと俺には信じがたいことで、それを認識をするのに時間がかかった。

多様性というのは「異なる」ことであって、なにもかも自由にしてしまうと、すべて交じり合って「同じ」になってしまうと思うんだよね。生態系の多様性を示す良い例としてガラパゴスがあるけれど、他の世界と隔絶していたからこそ、その場所で独自の、つまり他と異なった生態系が生まれたのであって、往来を自由にしてしまったら、多様性は生まれなかっただろう。

よく生物の外来種が問題になるように、自由に行き来させてしまうと多様性は失われ、世界は均一になってしまう。

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人類の歴史の中で、これまでは物理的な距離が暗黙のうちに多様性を維持していた。交通手段や通信手段が未発達だったからから、世界のそれぞれの地域でさまざまな民族や文化が生まれた。

そして交通手段や通信手段は多様な文化に接することができる手段だった。それはあくまで多様性が維持されているという前提で、すばらしいツールだったわけだ。

しかしそのすばらしいツール、交通手段や通信手段がある地点を越えつつある。過度に文化交流が進めば世界は均一になってしまう。限られた人たちが限られた時間のみ交流していればこそ、多様性はあらたな多様性(文化や文明の発展)を生み出すことにプラスに働いたが、それを超えた交流は多様性を破壊する。過ぎたるは及ばざるが如し。

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ちょうといまは過渡期だと思うんだよね。急激な世界規模の交通・通信手段の発達。この過渡期は半世紀前ぐらいから始まった。あてずっぽうだけど半世紀後ぐらいに終わるのではなかろうか。終わるというのは「自由な交通・通信は良いもの」という価値観の終わり。その後は多様性を守るために人間の自由をいかに制限するか方向に世界は向かう。

ある意味全体主義の復活。何事も振り子のようなもので、一方に行き過ぎれば流れは逆になる。いまはそろそろ「自由」への振れが弱まってきて、反対方向に振れる準備をしているところ。「自由=善」の世界から、「自由=悪」の世界への転換点。だから俺的には正直いそいで時計の針を進めたくはない。

そう考えると第二次世界大戦はその前哨戦だったのかもしれない。人類が第二次世界大戦から学んだもの、それは無制限な自由競争は破綻を招くということ。なので戦後、自由を制限するためにさまざまな仕組みが整えられた。国連もそうだし、IMFとかWTOとかも。これらは「自由」の名のもとに自由をコントロール(制限)してるわけだ。

それとてマクロ的にはやはり自由競争の一部。どんなシステムを整えても破綻する時は破綻する。ただむしろ小刻みな破綻を繰り返せば、大きな破綻の頻度は避けられるのではないか、という楽観的な考え方、それが規制と規制緩和を繰り返す現代の我々の社会。もちろん小さな破綻が大きな破綻を回避できる保証はない。あくまで気休め。

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「自由」は多様性を育てると同時に破壊する。そしてその破壊自体も多様性の一部。ただ人間の都合としては、あまり大規模な破壊はできれば避けたい。調子に乗って自由に突っ走ると、しっぺ返しも大きい。

通信や交通を無制限に自由にしたら、それは世界大戦と同じような混乱が起きる。軍隊は使わないかもしれないが、さまざまな経済的・文化的侵略という意味では変わらない。EUの成立なんかもその痛みを体現していると思う。大きな流れとして世界の均一化は避けられないのだろう。ただそこに至る過程で、「文化」の生存競争が繰り広げられる。

なんか何もかも一気に自由にしてしまうのがよいと信じて疑わない人たちがいるけど、一気に突き進むと、袋小路に迷い込む確率が高くなる気がするんだよね…。そうなるとそこから脱出するのに第二次世界大戦のようにかなりの痛みを覚悟しなければならない。

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慎重にやれば袋小路に迷い込まないというものでもないとは思うけど、ちょっとずつ試していけば避けられるケースもあるのではなかろうか。しょせん人間の頭で未来は予測できない。頭で考えて「これは正しい」と一気に突き進むとろくなことがない(ソ連の成立と崩壊のように)。

なのでまあ、必要最小限の変化をちょっとずつ積み重ねていくのがいいんじゃないかと思うのだけど、それがある種の人たちには「古い伝統に囚われた」考えに見えるらしい。(人類の)先は長いわけで、焦っても仕方ないと思うんだけどね…。

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年08月29日時点のものです。

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