ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

世界最速(1ピコ秒以下)の連写カメラ誕生!虹の原理を利用したハイスピードカメラ

DATE: BY:
  • ガジェット通信を≫

 ハイスピードカメラのシャッター速度
 シャッタースピードは「スピード」とはいうものの、「時間」を意味する。すなわち、カメラのシャッターが開放され、CCDなどの撮像素子にレンズを通した光があたる(露出する)時間のことである。一番速いシャッタースピードでも、ふつうは1/1000秒や1/2000秒ぐらい。
 一方、ビデオカメラは1秒間に30コマしか撮影しない。これを30fps(frame per second)という。1コマのシャッタースピードは、1/30秒程度で、ふつうは1コマに1/1000秒などの高速スピードは使用しない。60fps というと、最近よく聞くハイビジョンになる。
 ハイスピードカメラというのもよく聞くが、この場合は1200fps にもなる。つまり1秒間に1200フレーム撮影するので、シャッタースピードも1/1200秒以上の高速になる。市販のデジカメにもカシオ・エクシリムなどに、1200fpsの高速度撮影の機能を備えた機種がある。
 今回、東京大学と慶應義塾の研究グループが、世界最速のシャッタースピードで、しかも連写で、超高速な現象を一度の撮影で連続的に取得することに成功した。
 その速さは、1兆分の1秒(1ピコ秒)よりも短い、4.37兆分の1秒。光を時間的・空間的に制御して動画を撮影する「光シャッター」で、既存の高速カメラとは異なる原理により、従来に比べ千倍以上も高速のシステムを実現した。これまで捉えることが難しかったプラズマ現象や化学反応などの測定に威力を発揮しそうだ。
 1ピコ秒は光が0.3ミリしか進まないほどのわずかな時間。いったいどうやって撮影したのだろうか?
 虹の原理を利用したSTAMPカメラ
 今回のカメラ、ごく短い時間に点滅する「超短パルス光」を作成した。次に光をガラスなどの物質中を通過させる。こうすることで、光の波長によって速度に差をつけるのがポイントだ。
 真空中の光(電磁波)の速度は、どんな波長であろうと一定で、30万km/秒である。しかし、水やガラスなどの物質中を通過するときに、光はその波長によって屈折率が異なり、速度が遅くなる。雨上がりに7色の虹ができるのはこの理由による。
 可視光でいえば、波長の短い「青」は速く、波長の長い「赤」は遅く進む。この差を利用して波長ごとに写真を撮影すれば、非常に短い時間差で連写が可能になるという理屈だ。
 研究チームは、原理を実証するために6枚の連続画を取得するシステムを立ち上げた。次のような順序で動的現象は撮影される。
 まず、超短パルス光源から発せられた広帯域の超短パルス光が、時間写像装置にて波長に応じて時間的に引き伸ばされ、波形が整えられる。
 それぞれのパルス列(STAMP 照明光)は観察対象に次々に照射され、像情報を取得してゆく。これら像情報を有したSTAMP照明光が、空間写像装置にて今度は波長に応じて空間的に分離される。
 この空間写像装置のため、高波長分解能・高透過効率・リアルタイム性を有する新しいマルチスペクトラルイメージング法(光の波長ごとに情報を取得する方法)も合わせて開発し、多フレームかつ良好な画質を実現することができた。
 像情報を失うことなく空間的に分離されたSTAMP照明光は、露光状態に保たれたイメージセンサーのそれぞれ異なる位置に入力される。このとき、どの時間がどの波長に対応しているのか、どの空間がどの波長に対応しているのかわかるため、波長を介してそれぞれの空間に飛び込んだ画像がどの時間に対応するのか知ることができる。
 これらの情報から、取得した画像を動画として再構成することで、完全なシングルショットでの超高速撮影が実現される。STAMP カメラは連続撮影の可能な高速度カメラであり、通常のビデオカメラのように何千枚・何万枚といったフレーム数を得ることは困難ではあるが、代わりに極めて高いフレームレートで超高速ダイナミクスを観察することが可能である。(東京大学プレスリリース)
画像:水滴 https://www.flickr.com/photos/jerrylai0208/8644901494/in/photostream/
記事トップの水滴画像はイメージであり、本記事とは関係ありません

※この記事はガジェ通ウェブライターの「なみたかし」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

ガジェ通ウェブライターの記事一覧をみる ▶

記者:

ウェブサイト: http://rensai.jp/

TwitterID: anewsjp

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP