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不動産取引でのインターネット利用、一部を除き引き続き禁止へ?[連載:岩盤規制(7)]

役人の掟

不動産取引でのインターネット利用、一部を除き引き続き禁止へ?(国土交通省でパブリックコメントを募集中、8月22日締切)

以前の連載4回目(7月19日掲載)で、不動産取引でのインターネット利用について取り上げました。
http://getnews.jp/archives/626181 [リンク]

・せっかく新たな技術(インターネット)が生まれて普及しているにもかかわらず、規制によって禁止されている分野があること、
・医薬品取引でのインターネット利用が大きな問題となったが、不動産取引でも同様の問題があり、重要事項説明の際に必ず「対面」が求められていること、
・2014年4月、国土交通省で「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」が設置され、「対面」規制の見直しについて議論スタートしたこと、
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000092.html [リンク]
・しかし、議論の様子をみると、「インターネットを利用すると危険」という相変わらずの議論(一見もっともらしいかもしれないが、実のところ根拠不明な主張)が再三なされていること、
をご紹介しました。

そして、こんな状況では、結論として「インターネット利用には、まだまだいろいろ問題があるので、部分的な解禁にとどめるべき」といったことになってしまうのでは……との推測を述べました。

残念なことに、この推測は、現実化しつつあるようです。

パブリックコメントの募集、はじまる

7月23日、国土交通省のホームページで、この検討会の「中間とりまとめ案」が公表され、パブリックコメントの募集が始まりました。
http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000107.html [リンク]

「中間とりまとめ案」をみると、位置づけは、「これまでの検討会の議論を踏まえ、IT化の可能性やニーズ、留意点等についての整理を行い、年内に予定する最終とりまとめに向けた今後の議論の方向性を記したもの」(1ページ)ということです。

あくまで中間的な論点整理ということで、文面全体も「……ではないか」といった疑問文が中心であり、結論をはっきり示したものではありません。

しかし、こういった役所の審議会・研究会では、中間的整理という体裁をとりつつ、結論につながるキーメッセージをしっかりと埋め込み、実際にはその段階で結論をほぼ決めてしまう……といったことがよくありますから、注意しないといけません。

今回の「中間とりまとめ案」でも、さらに読み進めると、
たとえば3ページでは「消費者の同意」、4ページでは「消費者の理解の確認」といった局面で、厳重な制約をかけようという方向性が垣間見えます。

そして、最も注意すべき部分が9ページです。
ここでも「……ではないか」という疑問文の形をとってはいるのですが、今後の方向性として、当面、インターネット利用を解禁する対象は「賃貸契約(しかも、遠隔地の賃貸物件の契約に限る方向?)や法人間の取引」に限る……というメッセージがしっかりと示されているのです。

この方向性をどう評価すべきでしょう?
たしかに、
・「遠隔地物件の賃貸契約」は、インターネット利用のニーズが特に高いであろうこと、
・また、「法人間の取引」では、誤解に基づくトラブルなどが比較的少ないであろうこと、
は理解できないではありません。

しかし、
・「近距離物件の賃貸契約」や「売買契約」でも、何度も現地に出向く面倒を省きたい、家族でそろって話を聞きたいなどの理由で、インターネットを利用するニーズは十分ありえます。
・「法人間」ではなく、個人の関わる取引でも(むしろ個人だからこそ)、そうしたニーズはより高い場合があるはずです。
・そして、こうした取引で、なぜインターネット利用を禁止するのか(インターネットを利用すると、どういったリスクがあるのか)、「中間とりまとめ案」やそれに至る検討会の議論で、納得のいく説明がなされているとは思われないのです。

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記者:

株式会社政策工房代表取締役、特定非営利活動法人「万年野党」理事。

ウェブサイト: http://yatoojp.com/

TwitterID: HaraEiji

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