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「今治タオル」に学ぶ中国商標への必要な対策

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「今治タオル」事件の経緯

中国で第三者が勝手に商標を取得する、いわゆる冒認出願事件は、青森事件、クレヨンしんちゃん事件と繰り返し発生しています。「今治タオル」も2009年以来、次のような経緯をたどり、対応を迫られています。

2009年:四国タオル工業組合が中国において「今治タオル」の商標出願
2010年:中国商標局は、先に出願された商標に似ているとして、同出願を拒絶
2014年:中国商標評審委員会は先に出願された商標のうち、織物やタオルの分類について商標登録を認めないと裁定
2014年:今治市と、同組合は「今治タオル」に関する商標を再度出願

中国における商標登録の原則

基本的に商標権は国ごとに発生し、法律も国ごとに異なります。日本で商標権者であったとしても、自動的に中国で商標権者となるわけではありません。さらに、日本も中国も先願主義を採用しているため、原則としてはその国で先に出願した者が権利者になります。今回の今治タオルも、第三者が先に中国に出願したため、後から出願した四国タオル工業組合の出願が拒絶されてしまいました。

中国商標法では、中国国内で有名な外国地名は登録できないことになっています(商標法第10条)。しかし、日本の都市名は一部の都市を除いて一般的には知られていません。このため、日本の地方都市の名前は中国商標法でいう有名な外国地名に該当しないため、登録されてしまうことがあります。なお、商品の地理的表示を含む商標は、当該商品が当該表示に示された地域に由来するものでなく、公衆を誤認させるときはその登録をせず、かつその使用を禁止するという条文もありますが(商標法16条)、善意の場合には取り消すことができません。

冒認出願されることによるリスクと対策

中国で第三者に商標を取られてしまった場合、自社が中国においてその商標を使用すると、自社が商標権を侵害したことになってしまいます。例えば、日本企業が正当にライセンスした商品を中国で販売したところ、中国において商標権侵害とされてしまった事例もあります。

では、どのようなものが第三者によって商標登録が出願されるのでしょう?中国向けの見本市に出展したり、中国語のウェブサイトを作成するなど、中国進出する可能性が高い場合に冒認出願されることがあります。冒認出願をした中国企業や中国の個人を道義的に責めるのは簡単ですが、文句を言っても事態は解決できません。冒認出願の解消には、数年にわたる時間と、大量の費用がかかってしまいます。さらに、解決するまでは安心して当該商標を使うことができません。このような事態を防ぐためには、先に中国において商標権を取得するしかないのです。

中国だけではない身近な商標出願の問題

最近では中国だけにとどまらず、日本においても個人が「ラブライブ」や「倍返し」などの流行言葉を大量に出願するという事件が起きています。これらの言葉も、道義的にはともかく、商標法上の拒絶理由に該当しなければ登録されていまいます。

このように、どの国でもルールの不備をついて利益を得ようとする者がいます。それを避けるために、ビジネスを行う予定のある国・地域には事前に商標出願するほうが良いでしょう。

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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