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問答無用で『ニーア・ゲシュタルト』はスクエニの最高傑作

ニーア・ゲシュタルト

スクウェア・エニックスの新作ゲーム『ニーア・ゲシュタルト』(ニーア・レプリカント)は秀逸すぎる作品だ。物語、音楽、キャラクター、世界観、すべてにおいて昨今のスクウェア・エニックス作品のなかで最高傑作であり、『週刊ファミ通』がゲーム批評コーナー『クロスレビュー』で満点をつけなかったのが不思議なくらいである(ゲームを最後までプレイしなかったのだろう)。その素晴らしさは稚拙な文章で語ることはできないが、ストーリー上におけるネタバレにならない範囲で解説していきたい。

・いつまでも浸っていたい世界観
あまりにも素晴らしい映画や小説、漫画に出会ったとき。いつまでもその世界に浸っていたい。いつまでも終わらずに永遠に物語を楽しんでいたい。そう思うときがある。そんなときは、自分自身がその世界観に入り込んでしまっているときだ。『ニーア・ゲシュタルト』もそう感じる作品のひとつで、自分、家族、自分の住む村、仲良くしている村人たち、すべてがリアルに大切な人のように感じ、プレイヤーにとって非常に居心地の良い環境となっている。ストーリーには直接関係のない単純なクエスト(おつかいゲーム等)をしているときも、作業とは思わずゲーム内の住人の一人として活躍し、人々の助けになりたいと感じてしまう。そんな魅力ある世界だからこそ、ストーリーが進むにつれて悲しみが増していく。特にラストバトル前の悲しみは最高潮に達する。そう、ゲームを終わらせるということは、この物語が終わりを告げるということを意味するからだ。

・秀逸なる音楽
『ニーア・ゲシュタルト』の「いつまでも浸っていたい世界観」を構築する上で必要不可欠なのが音楽だ。どのゲームも音楽は魅力を語る上で重要なポイントではあるが、『ニーア・ゲシュタルト』における魅力の50パーセントは音楽が占めていると言っても過言ではない。『ニーア・ゲシュタルト』の素晴らしいところは、音楽が一貫して「静かなる調べ」であるところだ。シーンに合わせて激しい曲もあればのどかな曲もあるが、激しい曲のなかにも「悲しみに包まれた何か」が存在し、そのもの悲しさがプレイヤーの心の中に静かに染み入るのである。町での会話中も、ボスとの戦いも、ダンジョンの探索中も、いつでも心に入ってくる秀逸なる音楽だ。いや、「音楽」というよりも主人公や取り巻く人たちの心を音として表現している「心の環境音」と言ったほうが適切かもしれない。

・言葉に深みがあるのは『ニーア・ゲシュタルト』
『ニーア・ゲシュタルト』と『ニーア・レプリカント』は主人公の設定が違うだけで同じ物語とされているが、厳密に言えば別物である(スクウェア・エニックスが何と言おうと別物である)。『ニーア・ゲシュタルト』は主人公が少女・ヨナの父親で、『ニーア・レプリカント』はヨナの兄として登場する。『ニーア・ゲシュタルト』は父親という設定であり、人生経験が豊富な設定となっている。このゲームには白の書と呼ばれている、しゃべる本が登場して主人公と共に冒険をするのだが、『ニーア・ゲシュタルト』では主人公と白の書が深みのある会話をするのである。インターネット上ではその会話を「オヤジの居酒屋会話」と呼んでおり、『ニーア・レプリカント』にはないディープな会話をする。また、設定上『ニーア・ゲシュタルト』のほうがゲーム展開としてしっくりくるという人も多い。さらに、汚い言葉を使う美少女キャラクターのカイネが、英語でバリバリにば声を発言するのも人気の秘密である(『ニーア・レプリカント』の日本語音声のようにピー音が入らない)。

・2周目から物語の本質がわかる
『ニーア・ゲシュタルト』はマルチエンディングで、4種類のエンディングが用意されている。1周目のエンディングはどんなプレイをしようと同じで、2周目ではエンディングに至るまでのストーリー上でも新しいムービーが挿入される。1周目ではわからなかった事実が多数盛り込まれており、2周目のエンディングは涙なくしては語れないものとなっている。『ニーア・ゲシュタルト』の事実を知る上で、最低でも2つ目までのエンディングを観てもらいたい。1周目のエンディングは、本当のエンディングとは言い難い。また、単にプレイ時間を引き延ばそうとしてマルチエンディングにしていないのも素晴らしい点だ。

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