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デスクワークの作業でコンピュータができないこと(メカAG)

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今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

デスクワークの作業でコンピュータができないこと(メカAG)

仕事がどんどんコンピュータ化される未来、人間に残された仕事はクリエイティブな仕事だという。そうだろうか。たとえばWebで商品を購入したとしよう。すべて順調に商品が届けばよし。でも届かなかったら…?

物事が必ずしも予定通りに進まないのは、誰でも思い知ってるはずなんだけどね。基本的に仕事というのは、未来を予測する作業を含んでいる。たぶんこれだけ注文があるだろうと、仕入れの個数を決めるわけだし、さらにいえば生産数を決めるわけだ。部品の調達や原材料、すべて予測で成り立っている。

商品の価格決定も、どれだけ売れるかの予測だ。まあこの点はコンピュータが力を発揮するかもしれないが、どれだけコンピュータが賢くても予測が外れることはあるだろう。

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またあらゆる仕事がコンピュータ化されているなら別だが、途中に人間が介在すれば、人間はしばしば予測できない行動をするから(仕事が嫌になって会社に来ないとか、遅刻するとかw)、コンピュータが完全に予測することは不可能だろう。

人身事故で電車が遅れたり、土砂崩れで道路が通行止めになって予定していた荷物が届かない。労働者のストライキで原材料が届かない…。不確定要因は無数にある。

ホテルは予約しても来ない客が一定数いるから、多めに予約をとる。だからその読みが外れると、予約したのに部屋がないということになる。商売はリスクとの戦い。

「トイレットペーパーが切れてるよ」「あらおかしいわね、いつもの業者さんが、遅れてるみたいなの、ちょっと電話してせっついてやらなきゃ」とか。

自動車保険の支払いとかも、客は無理難題を言ってくるだろう。勧誘とかもWebサイトを作って、座して待っていれば客が来るとは思えない。

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結局のところ仕事の難しさというのはイレギュラーな処理、トラブル処理だと思うのだよね。この部分をコンピュータ化できるだろうか。多分コンピュータに任せると、お役所仕事のような杓子定規の対応になるだろう。

逆に評判のいい店というのは、トラブルに対して精一杯融通を聞かせてくれた店になるだろう。融通というのはある意味不公平な対処ということだ。「この日までにどうしてもこの商品がないと大変なことになる」という客を優先し、「まあなくてもなんとかなりそうだ」という客には「もうしわけありません」で押し通す。同じ日に同じ価格で同じ条件で注文した客を差別すること。

でも仕事ができる人間というのは、結局はそういう人だ。優先順位をつけるのが上手いというのは、そういうこと。「なんとかなりそうだ」という客を犠牲にして、絶対起こらせてはならない客を優先する。少なくとも逆だと大変なことになるわけで、キレイ事ではすまない。

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ネットには「どうしてこうなった」という、にわかには信じられない話が、面白おかしく語られているよね。読んでみると一つ一つはそんなにおかしくない判断なのに、偶然が積み重なってとんでもない結果になっている。

予想できないのが我々の世界。ソフトウェア開発でよく俺が例に出すのが、ジェット機で世界一周するのと、アマゾン川を筏で下るのは、本質的に違うという事。前者のタイプのプロジェクトもあれば、後者のタイプのプロジェクトもある。

前者は予測を精度よく行えば行うほど予測と現実は一致する。航空機の発着時刻を調べ、乗り換え時間を計算し、さらに航空会社毎の事故発生率とかも調べれば、どんどん精度は上がるはず。

一方後者はもう予測というのが無意味に近い。よくわからない原因で筏が転覆し、持ってきた食料の大半を失うかもしれない。そういう事態に遭遇しても、なんとか生き延びれる能力をもつ人間を揃えて、「あとは現場で対処してくれ、幸運を祈る」と送り出すしかない。

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でもこれはソフトウェア開発に限ったことではないだろう。どんな仕事もアマゾン川を筏で下る要素を持っている。手がけた仕事を成功させる人間というのは、アイディアが優れているというよりも、筏がひっくり返ってもなんとかしてしまう人間だ。トラブルをどう乗り切るか?というのも、ある意味創意工夫なのかもしれない。クリエイティブな作業なのだ。

サラリーマンマンガが面白いのもそういうところだよね。絶体絶命のピンチをなんとか乗り切る。マンガほど鮮やかではないかもしれないが、現場の仕事ができる人間というのはそういう細かな工夫の積み重ねだ。

なにも小説を書いたりブログをかくだけが人間の創造性発揮の場ではない。トラブル処理こそ、地味だが、クリエイティブな仕事。しかも望まなくてもやらせてもらえる(笑)。サラリーマンの仕事は創意工夫に満ちている。遅刻の言い訳を考えるのだってクリエイティブだよね!

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年05月12日時点のものです。

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記者:

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