「ペットにも119番を!」 動物病院検索アプリ『アニマルホスピタルnavi』代表インタビュー

「ペットにも119番を!」 動物病院検索アプリ『アニマルホスピタルnavi』代表インタビュー

病気、骨折、誤飲……言葉がしゃべれない分、飼い主が気づいた時にはすでに深刻な状態になっていることの多いペットの体調不良。人間ならば24時間いつでも119番で救急車を呼ぶことが出来るが、ペットではそうもいかない。せめてスピーディーに、ベストな条件で受け入れてくれる動物病院を見つけたいというのがすべての飼い主の望みだろう。
そこに朗報! 日本初の動物病院検索アプリ『動物病院検索 アニマルホスピタルnavi~ペット119』がリリースされた。

・『iphone』版 https://itunes.apple.com/jp/app/id731295249?mt=8&ign-mpt=uo%3D4
[リンク]

・『Android』版 https://play.google.com/store/apps/details?id=com.richessenet.animal119 [リンク]

これさえあれば煩雑な操作をすることなく、パソコン、スマホ、ガラケーからも2~3ステップほどで「クレジット対応」「深夜対応」「駐車場の有無」「犬、猫以外の動物への対応」など条件のあう動物病院が検索でき、しかも現地までのナビゲーションも受けられる。

このアプリを開発した株式会社リシェスネットの代表、稲岡祥寛さんにお話をうかがった。

アプリを開発する悲しいきっかけ

「ペットにも119番を!」 動物病院検索アプリ『アニマルホスピタルnavi』代表インタビュー

――『動物病院検索 アニマルホスピタルnavi~ペット119』はどんなきっかけで開発されたのでしょうか?

稲岡祥寛さん(以下稲岡):あるとき、友人の飼っている犬が深夜に骨折してしまったんです。僕が緊急に受け入れてくれる動物病院探しを頼まれたんですが、インターネット上の情報量が少なすぎて条件にあうところを見つけることが出来なかった。結局、朝に動物病院が開くのを待ってから治療を受けることになったんですが、処置が遅くなったせいか障害が残ってしまったんです。責任を感じました。そして「なぜ、こんなインターネット全盛の時代に動物病院を探しきれなかったんだろう」という疑問が「こんな悲劇が繰り返されないよう、自分が便利な検索ツールを作ろう」という発想につながったんです。若者からシニアまで幅広いユーザーにとっての利便性を追求したら、アプリという形が一番自然でした。

――既存の検索サイトなどは無かったのでしょうか?

稲岡:あることはあるんですがインターフェイスが古く、手間がかかるわりに住所、電話番号などごく基本的な情報しかわからないんです。掲載件数も少ない。ヒマな時ならともかく、緊急時に役立つしろものではないと感じました。飲食や美容のお店を探すなら『ぐるなび』や『ホットペッパー』などユーザーのニーズを反映した、相当に便利なサイトがありますよね。ところが、ペット、動物病院の業界ではそういうシステムづくりが相当に遅れているんです。

待ち構えていた数々のハードル

――けっして小さな業界ではないのに不思議ですね。

稲岡:これはアプリ開発を始めてからわかったことなのですが、法的な規制、業界の体質、実務面、さまざまなハードルがありました。

――具体的にどのようなハードルがあったのでしょうか?

稲岡:動物病院は農林水産省の管轄なんですが、広告規制が非常に厳しい。「広告バナーはダメ」、「テレビも『YouTube』でもCMが放送できない」とか。開発中もいろいろ相談してすり合わせをしなければならない手間があるし、商業的に扱っても、収益や展開がきわめて限定的なものになるおそれがありました。

また業界団体の『日本獣医師会』やその関連団体からはまったく協力が得られませんでした。電話で問い合わせても「民間企業なんか相手にするか」みたいな対応で、アプリに必要な情報、業界に関する知識などすべて独自に収集しなければならなかった。

最後に実務面ですが、掲載する15000件以上の動物病院のデータを入力する作業量の多さですね。通常のアプリなら、ものによっては一週間程度で仕上げてしまいますが、この『アニマルホスピタルnavi』は一年以上かかっています。弊社だけで出来たわけではなくウッズモールさんという企業にもシステム構築の面でずいぶんご協力いただきました。

――それだけ大変な要素が重なったら他の業者が手をつけないわけですよね。

リリース直前に悪性腫瘍が発覚

稲岡:大手も二の足を踏むでしょうし、開発しようとしても普通なら心が折れると思います。そういう僕も、これのせいとは言い切れないけど病気になって生死の境をさまよいました(笑)

――ストレスや過労ということでしょうか?

稲岡:ストレスや過労がわざわいしたのか、悪性の腫瘍ができてしまったんです。どうも調子が悪くて「おかしいな」と感じていたんですが、去年の10月に診察を受けたら「今すぐに入院と手術の段取りを!」と。

――すでに相当悪化していたわけですか?

稲岡:はい。はっきり言って死を覚悟しましたしタイミングも最悪でした。『Android』版のリリースが10月21日、『iphone』版のリリースが11月7日。アプリ開発はリリースしたら終わりってわけじゃないんで、何があっても仕事を継続できるようスタッフに引継ぎしなければならなかったのですが、その間にもどんどん腫瘍は大きくなっていきました。手術は11月6日。摘出した箇所の大きさは奥行き5cm、幅10cmでした。

せめて一つでも人のためになるものを残したい

――とんでもない状況の中でアプリがリリースされていたんですね。

稲岡:災難でしたが、おかげで生死や人生の意義について考えるきっかけになりました。「せめて一つでも人のためになるものを残したい」と、このアプリに対する思い入れも深まっていきました。幸い術後の経過がいいんで、まだまだ死にたくはないですけどね(笑)。

――ぜひ長生きなさってください! リリースから3ヶ月ほどが過ぎましたが、反響はいかがでしょうか?

稲岡:ユーザーから「緊急に病院を探すことができた」と何件もメッセージをいただくなど、うれしい反響が多いですね。自分の目指したものが実現されているなと実感しています。おかげさまで『Google Play』のメディカルランキングでも3位まで上昇しました。

――今後のさらなる展開などは考えておられるのでしょうか?

稲岡:こういう検索アプリは常に新鮮な情報を保てるようにメンテナンスし続けていかなくてはいけませんし、ユーザーの声を反映して機能面も成長させていきたいと思っています。

あと、すでに開始していることですが、アプリの副産物として『迷子・犬 猫 鳥 検索 里親探しサイト』(http://www.animal119satooya.net/)というサイトを立ち上げました。『Twitter』や『facebook』などのSNSをしていて感じたんですが、迷子のペットを探したり里親を探してる書き込みって非常に多いんです。でもああいうSNSは地域を特定して発信するのが難しいし、他の話題にまぎれてすぐに情報が流れていってしまう。『迷子・犬 猫 鳥 検索 里親探しサイト』は地域ごとの掲示板に情報を書き込めるサイトなんです。

「ペットにも119番を!」 動物病院検索アプリ『アニマルホスピタルnavi』代表インタビュー

つい最近まで病床にあったとは思えないほど情熱的で力に満ちたインタビューだった。
筆者も猫を飼っているのでさっそく『アニマルホスピタルnavi』をダウンロードしてみたが、たしかに使いやすく欲しい情報が素早く手に入る。さまざまな困難を乗り越えて世に出たこのアプリ。今後の広い普及を期待したい。

※画像は株式会社リシェスネットより
http://www.richessenet.com/

※この記事はガジェ通ウェブライターの「中将タカノリ」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

  1. HOME
  2. エンタメ
  3. 「ペットにも119番を!」 動物病院検索アプリ『アニマルホスピタルnavi』代表インタビュー
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。