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ヒッグス粒子発見に日本の貢献

政治・経済・社会
ヒッグス粒子発見に日本の貢献

今回はNHK科学文化部のブログ『NHK「かぶん」ブログ』から転載させていただきました。
※この記事は2013年10月08日に書かれたものです。

ヒッグス粒子発見に日本の貢献

ヒッグス氏やアングレール氏らの予言からおよそ半世紀の歳月を経て見つかったヒッグス粒子。
その発見を可能にした巨大な実験装置の建設には、日本企業の高い技術力が欠かせませんでした。

ヒッグス粒子発見の舞台となったのは、スイスのジュネーブ郊外にあるCERN=ヨーロッパ合同原子核研究機関の巨大な「加速器」という実験装置です。
この装置は、LHC=大型ハドロン衝突型加速器と呼ばれ、地下100メートルにある一周27キロの円形のトンネルの中に、真空のパイプが通されています。
この中で、原子を構成する陽子を2つ、それぞれ逆方向から光と同じぐらいの速さで飛ばして正面衝突させることで、極めて高いエネルギーを生み出し、ビッグバン直後の状態を再現します。
衝突の回数は1秒間に数億回。
その時に生まれる無数の粒子の中から、「検出器」を使ってヒッグス粒子の可能性がある粒子を瞬時に選び出します。
こうした実験装置の建設に大きく貢献したのが、日本企業の高い技術力です。
例えば、「加速器」の中を光に近い早さで飛ぶ陽子の軌道を制御する電磁石のコイルには、日本の金属素材メーカーの導線が使われています。
この特殊な導線を作るには、これまでにない繊細な技術が必要で、メーカーは試行錯誤の末、長さ1メートル余りの銅の筒を40キロメートルまで引き延ばす技術を開発しました。
また、この導線を超電導状態とするためにマイナス271度の極低温に冷やす冷却装置も日本のメーカーが製造しました。
一方、「検出器」には、日本の半導体メーカーの高い感度のセンサーが採用されるなど、CERNは日本企業の技術を高く評価しています。
CERNでプロジェクトの責任者を務めたリン・エバンス博士は、「日本はヨーロッパにはない高い技術をもたらした。日本企業の貢献は加速器の建設にとって欠かせないものだった」と話しています。

膨大なデータを研究

ヒッグス粒子を見つけるための実験は、スイスのCERN=ヨーロッパ合同原子核研究機関で5年前に始まり、世界30か国以上からおよそ6000人の研究者が参加しました。
日本からも100人余りの研究チームが加わり、日本とスイスを往復しながら、ヒッグス粒子の発見に貢献してきました。
日本の研究チームが取り組んだのが、膨大なデータの中からヒッグス粒子が存在する証拠を見つけ出す作業です。
CERNの巨大な「加速器」を使った実験では、原子を構成する陽子を光に近い速さまで加速して正面衝突させ、その際に飛び散る無数の粒子のデータを検出器を使って集めます。
日本の研究チームはこの膨大な粒子のデータの中から、ヒッグス粒子を見分ける特別な分析方法を開発し、発見につながるデータ解析に成功しました。

関わった日本企業も喜び

ヒッグス粒子発見の舞台となった巨大な加速器の実現に貢献した日本企業の関係者も、ヒッグス氏らのノーベル賞受賞を喜びました。
このうち古河電工は、装置の中を飛行する陽子の軌道を制御するための電磁石の製作を担当しました。
ヒッグス氏らのノーベル賞受賞が分かると、東京・丸の内にある本社では、技術者ら4人が集まって手をたたいて喜び合っていました。
開発にあたった古河電工の技術者、高木亮さんは「このような大きな賞をもらえる仕事に関わることができて、とても光栄に思います。
当時はノーベル賞の受賞は予想もしていなかったのでとてもうれしいです。
自分たちの仕事が立派な賞に貢献できたことを、ともに苦労した仲間と分かち合いたいと思います」と話していました。
一方、IHIは、強い磁力を作るための冷却装置の製作を担当しました。
東京・江東区にある本社では、製作に携わった責任者などがインターネットの中継で発表を見守りました。
そして午後8時前、ヒッグス氏らの名前が読み上げられると、拍手をしながら声をあげて喜んでいました。
受賞について、装置の製作にあたった朝倉啓さんは「心からお祝いを申し上げたいです。
私たちの技術が世界的な発見に貢献できたことをとても光栄に思います。
これからもさらなる技術革新を目指してチャレンジしていきたいです」と話していました。

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