健康な生活のために・・・お塩と地方(中部大学教授 武田邦彦)
今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
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健康な生活のために・・・お塩と地方(中部大学教授 武田邦彦)
「お塩を取り過ぎると健康を害する」と繰り返しいわれている。この元になるデータは第二次世界大戦後のアメリカ調査団が東北地方を調べた結果でかなり古い。下のグラフはおよそ100年間の日本の地域と寿命の関係を示している。
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今から90年ほど前、日本で短命というと富山、石川、福井などの北陸と、東京、大阪などの大都市だった。それが戦争から10年ほど経った時代には、秋田、青森、岩手のような東北地方が短命だった。
この頃、お塩と脳血管疾患の関係が調べられて大いに報道されたので、私たちの頭の中には「お塩をとると東北の人のように脳卒中などで死ぬ」というイメージが定着した。
ところが2005年の調査では都道府県によってほとんど寿命が変わらない。僅かに青森がまだ少し短命だが、かつてのバラツキと比較すると「同じ寿命」と言っても良いぐらいの差しかない。
私は青森にも関係しているので、少し調べてみたが、特にお塩を取るからという問題でもないようで、もちろん血圧が低いと起こりがちな青年の無気力、登校拒否、老人の認知症などはそれほど多くない。
また長野県はお塩を多く採る県だが、もっとも長寿である。つまり、「東北の人はお塩を多く採るので短命だ」というのは、戦後の一時期だけで、すでにそうではない。また肉類などの良質な蛋白をとる機会もふえ、野菜も食べるようになっている現在では、お塩をむやみと少なくするのはかえって人生を貧弱にし、病気を増やすこともあり得る。
「減塩食事は健康に良い」という言葉はなんとなく思考停止病のように感じられる。
執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年10月01日時点のものです。
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