五輪招致の勝因から学ぶプレゼンの極意
五輪招致を実現した最終プレゼンテーションでの「声と話し方」
2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催を勝ち取ったIOC総会での最終プレゼンテーション。明確なメッセージ、完成度の高いパフォーマンス、プレゼンターの個性や経歴を生かしたチームプレーが見事でした。 では、プレゼンテーションの3要素「声と話し方」「話の内容」「ジェスチャー」から勝因を探ってみましょう。
まず、「声と話し方」で素晴らしかったのは、トップバッターを務めた佐藤真海選手です。彼女が明るく張りのある声でメンバーを紹介すると、一瞬にして聴き手を惹きつけ、会場の空気を「チーム・ジャパン」に好意的なものに変えた感がありました。 そして、彼女の素敵な笑顔が一転し、ときに声を詰まらせながら「スポーツの力」で乗り越えた2つの試練について語った場面も見逃せません。声の明暗やテンポに変化をつけたことが、彼女のストーリーの感動をさらに深め、多くの人の心を動かしたのです。
また、安倍晋三首相の朗々とした声でのリズム感あるスピーチも、自信に満ちあふれ、信念を持って語っているように伝わりました。原発の汚染水問題に言及したくだりでは一段と声を張り、「完全にコントロールされている」と「ノープロブレム」のジェスチャーとともに伝えたのも信頼感を高めた要因といえます。
数字とジェスチャーを織り交ぜることで、説得力と好感度をアップ
次に、「話の内容」については、具体的で「数値化」した表現が説得力を持たせる鍵です。竹田恒和理事長の「日本人選手は誰ひとりとしてドーピング違反をしたことはない」や、フリーアナウンサー・滝川クリステルさんの「昨年1年間に3000万ドルの現金が東京の警察に届けられた」などは、具体例が数字で示されているため誰にでもわかりやすく、心に刻まれる表現でした。
最後の「ジェスチャー」は、日本人が特に苦手としている分野です。しかし、「ロックスターのよう」と評された太田雄貴選手のキレのある動き、滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」は、国際的に高い評価を受けました。そして、プレゼンターの交代時に握手を交わし、肩を叩きあうしぐさも好感度をアップさせたようです。聴き手の目にどう映るかを十分に計算し尽くされた演出が功を奏しました。
以上のように考察すると、プレゼンテーションの極意は「自信に満ちた張りのある声と笑顔で話し、相手を聴く気にさせる」「内容は具体的に数値化して伝える」「ジェスチャーを織り交ぜ、聴き手に好印象を与える」の3つのポイントにまとめることができます。「五輪招致の最終プレゼンなんて、真似できない」とあきらめずに、取り入れてみてください。プレゼンテーションの場で意識すれば、きっと成果が変わってきます。
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