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いまさら人に聞けない黒田日銀総裁の異次元緩和とその検証

いまさら人に聞けない黒田日銀総裁の異次元緩和とその検証

今回は藤沢数希さんのブログ『金融日記』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/416914をごらんください。

いまさら人に聞けない黒田日銀総裁の異次元緩和とその検証

最近、アゴラ*1の主宰者の池田信夫さんとアベノミクスの主にリフレ政策に関して対談する機会があった。これは近々どこかで発表されると思うが、今日は、リフレ政策が何なのかざっくりとおさらいし、黒田日銀総裁による極めてアグレッシブな量的緩和政策(黒田バズーカ、異次元緩和などと呼ばれている)にどのような効果があったのか振り返ってみよう。

*1:「Kazu Fujisawa」 『アゴラ 言論プラットフォーム』
http://agora-web.jp/author/kazu_fujisawa

僕は思うのだが、金融政策の議論では、様々な「金利」が登場し、話者によってその金利が具体的に何を示しているのか不明瞭で、時として話者が何も理解していなかったりして錯綜しがちだ。だから、このエントリーでは、とりわけこの点に気をつけて議論を進めたいと思う。

まずは簡単にゼロ金利下での金融政策をおさらいしよう。金融政策は金利と経済成長率の関係で考えるとすっきりと理解できる*2。企業が金を借りてくる調達コスト(金利)より、その金を使って事業をする平均的なリターンが高ければ、金を借りてリスクを取ったほうが儲かる確率が高くなるので、企業は借金を増やし、その結果、市中に出回るお金が増える。ここで事業の平均的なリターンと、経済成長率はほぼ同じものだと考えられる。なぜならばその国で企業が生み出す付加価値の合計がGDPで、GDPの増加率が経済成長率だからだ。つまり、金利<成長率なら金融緩和となり、逆に、金利>成長率なら金融引き締めになる。

*2:「日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門 もう代案はありません [単行本(ソフトカバー)]」 藤沢数希 (著) 『Amazon』
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4478017158/

しかし、日本は人口が減っていく国なので、経済成長率が元々低い。だから、日銀が直接操作する短期金利(大手銀行同士が1日の金の貸し借りをする金利)は早々にゼロになってしまった。ちなみにゼロ金利政策でいう金利は、この短期金利のことである。それで日銀は満期が短い国債もじゃんじゃん買っているのだが、満期が1年未満の短期国債の金利もほぼゼロである。日銀はこれらの短期金利を自分がプレイヤーとなり民間の銀行と取引することにより操作する。たとえば短期国債の金利をゼロにしたかったら、額面価格まで買い上げればゼロになる。日銀は国債を買うときに自分で金を刷ることができる。

ところで実際の経済に関係する金利は、企業が金を借りるときの金利*3であり、個人が住宅を買うときのローン金利である。大手銀行同士が貸し借りする金利や短期国債の金利なんてほとんどの人に関係ない。しかし、銀行はこれらの大元の金利に適切な儲けなどを乗せて、企業への貸出金利や住宅ローン金利を決めるので、中央銀行は通常は大元の基準となる金利だけを操作するのである。なぜならば、世の中の金利は、リスクなどを勘案して市場原理の中で決まるべきだからだ。市場原理が金の値段である金利を決めることにより、金という資源をもっとも効率よく配分できるからである。それが資本主義経済である。

*3:「対談:エディ・タカタvs藤沢数希『LIBOR不正操作事件の真相と邦銀の金利カルテルの疑い』」 2013年07月02日 『金融日記』
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51971106.html

実際にゼロ金利政策により、企業への貸出金利も、住宅ローン金利もかなり低くなっていたが、それらの低金利でさえ、停滞する日本経済では十分に低いとはいえなかった。しかし、金利はゼロより下げられないのだから、慢性的な金融引締めになり、それゆえに日本はデフレが続いていた、というのが一般的な理解である。

そこで短期金利がゼロになったあとに、さらに金融緩和をする方法が色々と考え出されたのだが、そのひとつが量的緩和である。量的緩和というのは、中央銀行がひたすらと短期国債を額面通りの値段で買い続けることだ。こうして日本の銀行が銀行の銀行である日銀に持つ日銀口座にはどんどん現金が積み上がっていく(その分、民間の銀行が持っていた短期国債は日銀に渡る)。これだけ現金を積み上げれば、さすがに外に滲みだして行くだろう、という狙いだ。

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