【科学の教室】いわゆる「温暖化」で台風や豪雨、災害はどうなっているのか?(中部大学教授 武田邦彦)
今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
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【科学の教室】いわゆる「温暖化」で台風や豪雨、災害はどうなっているのか?(中部大学教授 武田邦彦)
気象庁のいわゆる「有識者」が今年の気象は「異常気象」(30年に一度以上の異常。統計学的には3σ)と言い、座長の東大教授が「温暖化の影響」と言ったので、官庁の発表に右へならえのテレビ局は一斉に異常気象、温暖化を報じている。
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気象庁は気温が上がっているとグラフを出している。このグラフは名称が「平均気温」となっているが、本当の所は「都市の平均気温」だからヒートアイランド現象を含んでいるが、ともかくまずこれを元に先に進もう。
今まで、「温暖化したら台風が増える.その理由は海水が温かくなるので、台風が増え、それも大型になる」と言っている。それでは、記録のある60年ぐらいの期間の台風の発生数を見てみよう。これも同じ気象庁のデータだ。
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字が小さいので見にくいが、一番上が1951年、つまり終戦から6年目のことだ。その時には台風の発生数は年間20から30である。その後、少し増えて年間40ヶぐらい台風が発生することもあった。しかし、1997年、この年は奇しくも地球温暖化の国際会議が京都であった年だが、台風の発生数は減り始め、21世紀に入ると30を超える事は無くなり、2010年は実に14ヶまで落ちた。
温暖化したから台風が増えたと言えないし、まだ温暖化していないとも言いにくい。今年も今の所、台風は少ない。
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次に大雨だが、こちらはアメダスが設置された1980年代からのデータだが、1日に200ミリ以上の豪雨はやや増加傾向にあるが、2008年から2010年は100回前後でかなり少ないので、一概に増えているとは言いにくい。
東京などの都市の豪雨は都市化による影響が大きく、テレビ局の周辺で降るので報道されがちだが、全国的にはあまり変化はないと言うことができるだろう。
次に、自然災害による犠牲者、家屋の損害を警察庁と消防庁がまとめたもので、気象庁とは少し違うデータになっている。
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これによると1950年から現在まで死者、行方不明者は1年1000人から100人に10分の1になっている。また床上浸水などの水害は1年に10万件から3000件ぐらいに30分の1だ。
治水、防災などの努力もあるが、それを超えた被害が出ていないことを示している。
これと同じようなデータが気象庁からも出されているが、すこし違う、あまり変化がないようなデータになっている。結論としては、「温暖化が進んでも、台風も大雨も、災害規模も減ることはあっても増えることはないということが判る。
でも、NHKや朝日新聞報道などの影響を受けて、「温暖化で台風や大雨が増え、自然災害で苦しむ」と思っている人が多い。しかし科学的に言えば、「温暖化では増えない」のか「温暖化していない」のかがハッキリしないからだ。
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このカラーのグラフは「都市を除いた気温の変化」で、ほとんど変化がない。これと同じく青いグラフ・・・地球の上空の気温は人工衛星で測定されているが、その気温も変化していない。
つまり都市化の影響を受ける地上の平均気温(日本では人のあまり住んでいない所の気温は気象庁が除いている。あまり巨大ではない大都市と中都市の都心のアスファルトの中で測定している気温の平均を取っている)ではなく、地方の気温や上空の気温は変化していない。
このことから「温暖化しても台風の発生数や大雨の頻度が変わらないのではなく、温暖化そのものが認められないので、必然的に台風や大雨もそれほど変化がない」と言うことができる。
科学者としてはNHKや朝日新聞を中心としたマスコミの自制を求めたい。マスコミは政府の誘導によって自ら「間違った空気」を作り、それに報道が縛られている。
執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年09月09日時点のものです。
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