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ぶあつさと高さが幸せの象徴!?マンガ談義にも花が咲いた『原宿・夏のパンケーキ祭』イベントレポート

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海外の有名店の進出もあり全国的なブームの最中にあるパンケーキ・ホットケーキ。その海外事情やマンガに登場した時の扱われ方、より深い楽しみ方をテーマにしたトークイベント『原宿・夏のパンケーキ祭~食べたり 読んだり 喋ったり~』が東京・原宿のVACANTで2013年8月4日に開催され、『パンケーキ・ノート おいしいパンケーキ案内100』(リトルモア)の著者トミヤマユキコさんと、お菓子研究家の福田里香さんが登場し、”食”のみならず”文化”にも及ぶスケールの大きなパンケーキトークを展開しました。

著書の発売後にパンケーキのワークショップも開いているトミヤマさんは冒頭で「有名店に行列するのも楽しいし否定はしないけれど、真夏に長時間並ぶのは大変だし自宅で作る楽しみもあるよ、ということを伝えたい」と話して、ブームとは少し距離を置きたい様子。
それに対して、福田さんは「ファッションフードという言葉がありますが、昔から面白いものを食べるというのは、大金持ちでなくても出来る楽しみ方。流行だからいけないという感じでもない。人間は海のモノやきのこや、変なモノを食べて進化してきた。その繰り返しの壮大な実験の途中です」といきなり人類の起源にも繋がる視座を示しつつ、流行になっている理由も分析しました。

「(ピエール)エルメのコレクションにも呼ばれることがあるのですが、相当難しい、頭を使う味です。そういったハイエンドなスペックのものを食べる快楽というのはなくなることはないですが、去らない流行はない。男子的なお菓子の到達点を極めて、出尽くした感じがある。ドーナツやスコーン、カップケーキを経てパンケーキのような素朴系はその対極で、10年に一度は流行が来ます」(福田さん)

また、福田さんは「列に並ぶ人は情報を食べていて、おいしいかどうかは関係ない。食べてみて味について意見が分かれてほしいし、議論になった方がいい。並んでいる人には意味があるのだから、それを見てバカだと思うのは短絡的」と語り、「流行がないと本は出せないから、ありがたいと思います」と終始説得力のある語り口で会場を圧倒していました。

福田さんがパンケーキ好きになったルーツとして挙げられたのは、子供の頃に両親からもらった電気コイル式のママレンジ。パッケージがレトロでかわいい!

「絵本の『ちびくろサンボ』を読んで、相当おいしそうだと刷り込まれて絶対欲しかった。子供なので数回使って飽きましたけど」(福田さん)

また、サンフランシスコやロサンゼルス、シアトルといった西海岸のパンケーキが紹介。昔ながらのものからグラノーラ入り、フルーツがふんだんに使われたメニューなど、おなかがすいてきそうな画像が次々と登場しましたが、歴史を踏まえた解説もあり、パンケーキ文化を深く知る機会ともなったのでは?

トークではさらに福田さんが著書『ゴロツキはいつも食卓を襲う』(太田出版)で提唱する「フード理論」のパンケージバージョンをトミヤマさんが披露し、フィクションの中でパンケーキがどのように描かれているかを分析。
それによると、フィクションの中でのパンケーキは、「宙を舞いがち」「海外では高さ、日本ではぶあつさを主張しがち」「幸福な円満な人間関係を象徴しがち」とのこと。
例としては、萩尾望都さんの『ケーキ ケーキ ケーキ』や、あずまきよひこさんの『よつばと!』、笠井スイさんの『猫とパンケーキ』などが挙がり、特に川上未映子さんの『誰もがすべてを解決できると思っていた日』(『早稲田文学増刊π』所収)は「フィクションの中ではおそらくパンケーキを一番積み上げているだろう」とのこと。
「パンケーキブームに乗じて、今後パンケーキがマンガが出る機会がますます増えると思います」(トミヤマさん)

終盤には、福田さん自らが焼いてきたというパンケーキが! 「子供の頃よく母がフライパンいっぱいにタネを流して作ってくれた」というホームメイドな一品は、卵一個に牛乳・薄力粉・ベーキングパウダーを使うシンプルなレシピ。きび砂糖のほんのりとした甘みが懐かしさを際立たせています。
作る時には、フライパンにふたをして弱火で焼くのがポイント。これがしっとりとした食感につながります。

パンケーキ好きにとっては有益すぎる話題がいくつも飛び出したこのトークイベント。
同じく原宿にあるROCKETで2013年8月2日から6日まで開かれていたトミヤマさんの『原宿・夏のパンケーキ自由研究』では、厳選された5種類のミックス粉の販売やセットプレートの提供が行われたほか、絵本に出てくるようなぶあついパンケーキを実際に作ってみるワークショップも盛況でした。

「パンケーキを食べる習慣を残していくためには、行列店に並ぶだけでなく、家で作る文化も必要」と話すトミヤマさん。国内外の有名店に行くだけでなく、さまざまな粉や調理アイテムが登場しているからこそ、たまにはフライパンを出してさまざまなレシピに挑戦してみると、パンケーキのことがもっと好きになるかもしれません。

リトルモアブックス 『パンケーキ・ノート おいしいパンケーキ案内100』
http://www.littlemore.co.jp/store/products/detail.php?product_id=855

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記者:

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

ウェブサイト: http://yaplog.jp/parsleymood/

TwitterID: parsleymood

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