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PCゲームが元で【約5000万円の保釈金】を支払うハメに

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アメリカのゲームプレイヤーであるジャスティンが投獄され、50万ドルの保釈金を支払う!?

というと、「格闘ゲームで世界一のプロゲーマーであるジャスティン・ウォン*1が!?」と勘違いするゲーム好きも多いかもしれないが、そうではない。アメリカ在住の19歳の無名の“ゲームオタ青年”の身に突如振りかかった騒動が、ネットを中心に話題になっているのだ。
*1:ジャスティン・ウォン『ニコニコ大百科』
http://dic.nicovideo.jp/a/justin%20wong

画像が見られない方は下記URLよりご覧ください。
http://rensai.jp/wp-content/uploads/2013/07/1003144_405861369532806_1331819594_n.jpg

こちらのジャスティンがプレイしていたのは、先日アメリカ政府がスポーツとして認定したことでも話題を集めたPCゲーム『League of Legends』(リーグ・オブ・レジェンズ)だった。彼の名前はジャスティン・カーター。まだ19歳の青年である。彼に科せられたのはテロ容疑保釈金は50万ドルにものぼった。なぜゲームを遊んでいただけの19歳の青年が、テロ容疑で逮捕されなければならなかったのか。

ゲーム好きなオタ青年がテロ容疑犯になった日

2013年2月14日のバレンタインデー。さるカナダの女性ネットユーザーから当局に通報が入る。
「ネットでテロの計画を投稿している人物がいます」と。

警察はただちに捜査を開始した。そしてFacebook上の投稿を理由に、ジャスティン(当時18歳)をテロ容疑で逮捕してしまう。その犯罪的な投稿というのは、彼がFacebookで『リーグ・オブ・レジェンズ』のゲーム仲間と交わしたこんな会話だ。

「お前は頭のイカれたやつだよ」
「たしかに俺は頭がおかしいかもな。幼稚園を銃撃して血の雨を降らせ、ピクピクしている心臓を食べてやるぜ」

後者がジャスティンの発言だ。どこにでもありそうな仲間内の会話である。いささか悪趣味であるとはいえ、文脈にのっとって判断するならば、このようなたわいもない会話を、真剣なテロ計画の一部であるとか、特定の団体への脅迫であるなどという解釈をする人は少ないだろう。さらに補足するならば、この文章の後には、日本でいうところの「(笑)」や「」に相当する『lol』が付けられ、ただのジョークであることを示すネットスラング『jk』まで添えられていたのだ。『リーグ・オブ・レジェンズ』というゲームの注目度の高さゆえに大勢が目にしてしまう投稿とはいえ、このようなことで通報するのはやりすぎかと思われた。

ところがアメリカの司法は、この一連のFacebookの投稿に対して「テロ容疑を立件するための証拠としては十分」との判断を下してしまったのだ。その後の家宅捜索によって、ジャスティンの部屋からは銃器はおろか武器と呼べるようなものは何も見つからなかった。証拠として発見されたのは、Facebookの投稿とゲームに使われたコンピューターとモデムだけ。しかし、それでも彼のテロ容疑が晴れることは無かった。ジャスティンは19歳の誕生日を、テロ容疑者として牢獄の中で孤独に過ごすことになる。

家族の戦い

ジャスティンの両親は息子を助けるために立ち上がった。彼の容疑を晴らすために『ジャスティン・カーターの釈放を訴える公式サイト』を設立して、事件のあらましを世界中に訴えかけ署名を募ると共に、テロ容疑についての50万ドル(日本円にして約5000万円)という莫大な保釈金を集めるための支援を呼びかけた。

7月までに集まったジャスティン釈放の署名は10万件以上。そして7月11日のニュースが伝えるところによると、ある匿名の人物を通じて、保釈金を賄うだけの多額の振込があったという。こうした家族と大勢のネットユーザーの支援によって、ジャスティンは数ヶ月ぶりに開放された。しかし「刑務所内では暴行も受けた」といい、数ヶ月にわたりテロ容疑者として扱われたことで、すっかり神経が参ってしまったようだ。

ジャスティンとその両親は、完全な無実を証明するために、引き続きウェブサイト上での活動を続けている。

サイトではジャスティンを支援するTシャツの販売も行われている


画像が見られない方は下記URLよりご覧ください。
http://rensai.jp/wp-content/uploads/2013/07/freeJustin.jpg

あなたもテロ容疑者にされる日が来る?!

日本においてもネット上の些細な書き込みから、犯罪予告として扱われて逮捕されるケースが多発している。FacebookやTwitterの投稿から社会問題にまで発展するケースも珍しくなくなった。

ほんのちょっとしたネット上の会話が(たとえそれが他の誰かにとって趣味の良くない冗談だったとしても)、「人生が台無しになるほどの“重犯罪容疑”の証拠として成立してしまう(場合がある)」と考えると、非常に恐ろしくはないだろうか。また、そういう会話に目を光らせて、積極的に通報しようと考えてしまう人間が存在するのなら、まるで“密告社会のような息苦しさ”を感じるだろう。

今回のジャスティンの事件は「来るべき日本の姿である」という見方も考えられる。

もちろんネット上の発言にも一定のルールが必要なのは言うまでもない。だが、たった一度のうっかりしたミスが、取り返しの付かない事態を引き起こしかねないというのでは、ネットサービスを安心して利用する事は不可能だ。ネットと司法、ネットと行政という係わりについて、これからも我々は厳しく監視していく必要があるのだろう。

 

 

参考
Official Free Justin Carter Site(画像もこちらのサイトから引用させていただきました)
http://freejustincarter.org/

PCゲームがスポーツとして認定された!!(『League of Legends』の人気について)
http://getnews.jp/archives/383125

※この記事はガジェ通ウェブライターの「戸田健太郎」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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