仲間由紀恵が敵由紀恵に寝返った時のために憲法がいる

仲間由紀恵が敵由紀恵に寝返った時のために憲法がいる

今回はessaさんのブログ『アンカテ』からご寄稿いただきました。

仲間由紀恵が敵由紀恵に寝返った時のために憲法がいる

仲間由紀恵が敵由紀恵に寝返ったらお前らどうすんの?という有名なネタスレがあるが、仲間とうまくやるためには憲法はいらない。敵とうまくやるために憲法が必要なのだ。国というものは、仲間が寝返ったからと言って、簡単に出ていってもらったり自分が出ていくことができないので、敵とうまくやる装置はどうしても必要だ。

私は、9条は変えるべきだと思っているし、原発以外については、おおむね自民の政策がマシだと思っている。原発も新設阻止より廃炉と福島第一の処理の方が重要だと思っていて、それがうまくできそうなのは自民ではないかという気がしている。

だが、というか、それだけにむしろ、自民党の改憲案には絶対反対だ。

あれが通って、その後で、民主党がもう一度政権を取ってしまったら、どうなってしまうか心配するからだ。

民主党がもう一度政権につくことはないと思うが、それよりもっとひどい政党が政権につくことはあり得るだろう。

自民党支持者の方に問いたい。もし将来、民主党よりもっとひどい第二民主党が政権を取ってしまったとしたら、あなたはその政権を批判するだろう。その時に、憲法はあなたを守ってくれるのか?あなたの言うことは正しいし国を思ってのことだろうが、何が公共の秩序なのかは、時の政権が決めるものだ。あなたの言葉が説得力を持てば、児ポ冤罪その他、敵はあらゆる手段であなたの口をふさごうとするのだ。民主党は一歩間違えばそういうことをしかねない政党ではなかったのか?

そう、憲法は敵からあなたを守ってくれるものだ。

価値観が違っていて、というか、気持ち悪い考え方をしてて、ちょっとやそっとではそれを改めそうにない人はたくさんいる。しかし、相手にとってはあなたがそうなのだ。あなたが危険な考え方をしていて、国を害するとんでもない連中なのだ。

憲法は、そういうとんでもない連中に対して、してもいいことと、「それはやりすぎだろう」という所に線を引く。

その線が「人権」だ。「人権」という言葉はとんでもない連中に汚染されてしまったが、本来はそういう意味だ。

憲法のあり方も人権の定義も欧米が決めたもので、それを律儀に守る必要はないとは思う。日本が新しい憲法のあり方を決めてもいいと思う。

しかし、それをやるなら戦略的にやらなきゃだめだ。欧米は、敵がいっぱいいる中で国を運営してやっとのことで憲法とか人権という概念を決めた。「国家と国民は必ずしも対立するものではない」とか言って、これを変えると言ったら、ポカーンとしてからたぶん怒る。怒りだしたらものすごい勢いで怒る。

それに対して理論武装をしてからやるならかまわない。

自民党の改憲案は、空想的平和主義のようで、敵が攻めてきたら話し合いをすればいいくらいに思っている。そこが二重にマズいと思う。

「国家と国民は必ずしも対立するものではない」なんて言ったら、ほとんど戦争だよ。ものすごい勢いで攻めてくるよ。そんな憲法がウチにも感染してきたら大変だと思うから、絶対つぶしにくる。何をやるかわからない。

相手のことをきちんと研究して、強み弱みを把握してからやるならまだいいのだが、自民党は外国の憲法がどういうものか知らずに、徒手空拳で戦いをいどもうとしている。

「自民の方が廃炉をうまくやる」と思っていたが、改憲案を見てからその考えは変えた。

政治家として、官僚や自衛隊を動かすのは自民党の方が一日の長があると思っていたのだが、あの改憲案がどれだけトンデモなのか諫める人をスタッフとして持てないのでは、原発についても現場の声より自分たちの空想的な理念を優先しそうだ。

「トンデモ」と言うのは、間違っているという意味ではなくて、距離があるということだ。どっちが間違っているかは主観の問題だが、あの改憲案が外国から遠く隔たっているのは客観的な事実だ。事実を元に戦略を練れないのでは、どんな政策もまともに実行できないだろう。

「国家と国民は必ずしも対立するものではない」というのが改憲案の基本的な理念だそうで、これがどこまで条文に反映されているかは知らないが、この理念が危険だ。「国家と国民は必ずしも対立するものではない」=「国民はみんな国家の仲間だ」=「仲間でないものは国民ではない」=「敵は殲滅すべきであって憲法がその足枷になるのは望ましくない」という意味になるからだ。

危険なだけではなくて、時代に逆行している側面もあって、今は、内部に敵や気持ち悪い奴がいっぱいいても壊れない国を作らなきゃいけないのであって、むしろこれからは、その度合いがほとんど国力を決定してしまうと思う。

執筆: この記事はessaさんのブログ『アンカテ』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年07月24日時点のものです。

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