表現規制の犯罪抑止効果について「一概にお答えすることは困難」 樽井良和参院議員の質問主意書に対する政府答弁
政府は6月11日の閣議で5月31日に樽井良和参議院議員(民主党)より提出されていた『コンテンツの表現の規制に関する質問主意書』に対する答弁書を閣議決定しました。答弁では法律や条例、業界の自主規制が敷かれる直前直後で犯罪の認知件数がどのように変化したかについての統計数値を明らかにしたうえで有意の変化が認められるか否か政府の見解を求められたのに対し「一概にお答えするのは困難」としています。今回決定された答弁書の全文は樽井議員のブログに掲載されています。
参議院議員樽井良和君提出コンテンツの表現の規制に関する質問に対する答弁書
http://ameblo.jp/4289tarui/entry-11549797163.html
以下は答弁書の要旨です。
1. 性犯罪の認知件数について
児童ポルノ禁止法施行(1999年11月1日後)以降および2004年の改正前後における年代別の性犯罪認知件数については、施行前の1998年(平成10年)と施行直後の2000年(平成12年)の強姦及び強制わいせつの合計は1998年が6124件・2000年が9672件で両年を比較した場合は3548件の増加。
また、2004年改正直前の2003年(平成15年)が12501件、改正法施行直後の2005年(平成17年)が10827件で両年を比較した場合は1674件の減少。
2. 東京都の未成年者検挙人数について
東京都で青少年健全育成条例が制定された1964年(昭和39年)の前後に関しては、統計記録が存在しない。警察庁の犯罪統計によれば、2005年(平成17年)の条例改正前後は2004年(平成16年)が凶悪犯・知能犯・粗暴犯・窃盗犯・風俗犯・その他の刑法犯合計で7312件、2006年(平成18年)が6282件で両年を比較した場合は1030件の減少。
いわゆる「非実在青少年」で大きな論議を巻き起こした2010年(平成22年)の条例改正前後は同年が5286件、施行後の2012年(平成24年)が3908件で両年を比較した場合は1378件の減少。
3. 粗暴犯・性犯罪・いじめの認知件数とCERO倫理規定について
コンピュータエンターテイメントレーティング機構(CERO)が倫理規定を制定した2002年(平成14年)の前後では2001年(平成13年)が暴行・傷害・脅迫及び恐喝の合計で72529件、2003年(平成15年)が78386件で両年を比較した場合は5875件の増加。2006年(平成18年)のCERO倫理規定(Z指定=18歳未満販売禁止導入)改正前後では2005年(平成17年)が合計で73428件、2007年(平成19年)が72661件で両年を比較した場合は767件の減少。
強姦及び強制わいせつに関しては2001年が合計11554件、2003年が12501件で947件の増加。また、2005年が合計10827件、2007年が9430件で両年を比較した場合は1397件の減少。
文部科学省調査による児童・生徒間のいじめ認知件数に関しては2001年が25037件、2003年が23351件で両年を比較した場合は1686件の減少。また、また、2005年は21671件で2007年は124898件だが、これは2006年(平成18年)度より調査方法を改めたことが主な理由で両年の単純な比較は不適当。
4. 1~3の統計結果に見る表現規制の効果について
社会環境の変化等の様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられるため、一概にお答えすることは困難である。
5. 児童ポルノ禁止法における単純所持禁止について
議員立法の内容に関する事項であり、政府としてお答えすることは差し控えたい。
画像:樽井議員( @tarui_yoshikazu [リンク])のブログより転写
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