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抱っこして歩くと赤ちゃんがリラックスする仕組みの一端を解明 -経験則を科学的に証明、子育ての新たな指針に-

抱っこして歩くと赤ちゃんがリラックスする仕組みの一端を解明 -経験則を科学的に証明、子育ての新たな指針に-


今回は独立行政法人理化学研究所の『報道発表資料』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/329957をごらんください。

抱っこして歩くと赤ちゃんがリラックスする仕組みの一端を解明 -経験則を科学的に証明、子育ての新たな指針に-

ポイント

・ 抱っこして歩くと赤ちゃんの泣く量や心拍数が顕著に低下
・ 哺乳類の仔がおとなしくなり運ばれる「輸送反応」には触覚、固有感覚と小脳皮質が必要
・ 子は輸送反応により親の育児に協力




(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=VNCfbFEmwJI

要旨

理化学研究所(野依良治理事長)は、哺乳類の子どもが親に運ばれる際にリラックスする「輸送反応」の仕組みの一端を、ヒトとマウスを用いて科学的に証明しました。これは、理研脳科学総合研究センター(利根川進センター長)黒田親和性社会行動研究ユニットのジャンルカ エスポジート(Gianluca Esposito)国際特別研究員と吉田さちね研究員、黒田公美ユニットリーダーらと、精神疾患動態研究チーム、トレント大学、麻布大学、埼玉県立小児医療センター、国立精神・神経医療センター、順天堂大学による共同研究グループの成果です。

私たちは、母親が赤ちゃんを抱っこして歩くと泣き止んで眠りやすいことを、経験的に知っています。同様な行動はライオン、リスなどヒト以外の哺乳類にも見られ、母親が仔を口にくわえて運ぶと、仔は、丸くなって運ばれやすい姿勢をとります。これを「輸送反応」と呼んでいますが、これらの子どものおとなしくなる反応についてはあまり科学的な研究がされておらず、その意義や反応を示すときの神経メカニズムも不明でした。

共同研究グループは、まず生後6カ月以内のヒトの赤ちゃんとその母親12組の協力を得て、母親に赤ちゃんを腕に抱いた状態で約30秒ごとに「座る・立って歩く」という動作を繰り返してもらいました。その結果、母親が歩いている時は、座っている時に比べて赤ちゃんの泣く量が約10分の1に、自発的な動きが約5分の1に、心拍数が歩き始めて約3秒程度で顕著に低下することを見いだし、赤ちゃんがリラックスすることを科学的に証明しました。次に、母マウスが仔マウスを運ぶ動作を真似て、離乳前の仔マウスの首の後ろの皮膚をつまみあげると、ヒトの場合と同様に泣き止み、リラックスして自発的な動きと心拍数が低下し、体を丸めました。さらに、体を丸めて運ばれやすい姿勢をとるには運動や姿勢の制御を司る小脳皮質(小脳皮質は、小脳核とともに小脳を形成し、精密な運動や姿勢の制御に重要な役割を果たす。)が必要なこと、おとなしくなる反応には首の後ろの皮膚の触覚と、体が持ち上げられ運ばれているという感覚の両方が重要であることが分かりました。また、この仔マウスの「輸送反応」を阻害したところ、母親が仔マウスを運ぶのにかかる時間が増加することも分かりました。

今回の成果から、哺乳類の赤ちゃんはおとなしくなる「輸送反応」によって自分を運んでくれる親の子育てに協力しているといえます。またこのような研究は今後、科学的な知識に裏付けられた子育て方法のための新しい指針作りに役立つと期待できます。本研究成果は、米国の科学雑誌『Current Biology』(5月6日号)に掲載されるに先立ち、オンライン版(4月18日付け:日本時間4月19日)に掲載されます。

背景

哺乳類の赤ちゃんは未熟に生まれるため、親が毎日子育てをしなければ成長できません。そのため、親は子を守り、哺乳や保温といった「子育て行動」に必要な神経回路を備えています。一方、子どもも親を覚え、慕って後を追い、泣くことで意思を伝えるなど、さまざまな「愛着行動」を本能的に行っています。しかし、見た目に分かりやすく研究が容易な親の行動に比べ、子どもの行動はあまり研究されていません。 例えば、ヒトの場合、親が赤ちゃんを抱っこやおんぶして歩くと、赤ちゃんが泣き止み眠りやすいことを私たちは経験的に知っています。同様な親子の行動は、ネコ、ライオン、リスなどさまざまな哺乳類でも見られ、母親が仔を口にくわえて巣や安全な場所に運ぶときには、仔は運ばれやすいように丸くなる姿勢をとります(図1)。こうした行動を「輸送反応」と呼んでいますが、科学的な研究の対象として取り上げられるケースは少なく、その意義や神経メカニズムについてはあまりよく分かっていませんでした。

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記者:

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